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250 ここまでのカケルの旅と、嶋家の集めたお金とお下劣菅沼大膳(カケルのターン)

 主 筒井順慶と武田信玄の同盟によって、体調の思わしくなかった武田信玄のため大和の名医 北庵法印派遣・護衛のため武田家へ出向いていた嶋左近と魂が入れ替わった現代の高校生時生カケルは、山県昌景との師弟の絆を結ぶ旅を経て、大和へ戻り、はじめて自分の領地で嶋家の家中と対面した。


 カケルは、武田家山県昌景麾下にある内に、奥三河攻略戦、三方ヶ原の戦い、信玄の遺言の瀬田へ武田の御旗を立てる旅をへて、奥三河の田峯城城主 菅沼定忠の嫡男、蜂の巣大膳こと菅沼大膳と親交を結びはじめての家臣にした。


 山県昌景麾下にあって武芸の初歩も知らなかったカケルは、女だてらにその娘、山県お虎を武芸の師匠にメキメキと腕を上げ三方原の戦いでは、山県隊の先鋒隊長として、徳川家の猛将 本多忠勝との華々しい一騎打ちの活躍を見せ漢をあげた。そのことによって、山県昌景に認められたカケルは、与力として昌景からお虎を付けられた。その縁で、お虎はおっちょこちょいの面のあるカケルを放っておけず姉さん女房的に大和までカケルに同行した。


 嶋家では、カケル、菅沼大膳、お虎の三人を、主 嶋左近の留守中を守った家族、家臣が待ち構えた。


 佐近の留守中家中をまとめたのは叔母のお良と夫の東樋口仁十郎の夫婦。

 政務全般は家宰の三代澤忠右衛門。兵権は都築義平、外交は朝護孫子寺の大僧正だった蜜虎の弟子 蜜猿だ。


 カケル、菅沼大膳、お虎に、嶋家の東樋口仁十郎、三代澤忠右衛門、都築義平、蜜猿の七人が、侍衆になる。これに、常時の足軽七人、中間、馬の口取り、槍持、はさみ箱持ちの小物十人、総勢二十四人が嶋家の兵力だ。換算すると、嶋家の石高は一六〇〇石~二〇〇〇石あたりであろう。


 三万石そこそこの筒井家では大身の家老衆の嶋家も、織田信長から突きつけられた東大寺に伝わる天下人の保持する香木 蘭奢待獲得への朝廷工作費用一万貫はどう工面してもまかなえる物ではない。それは、主の筒井順慶 筒井家全体で総石高の1/3にあたる一万貫の金の工面などできるはずもない。


 信長から蘭奢待獲得と、朝廷への献金一万貫の工面を、押しつけられた大和衆をまとめる原田直政が厄介ごとを組衆の筒井順慶と松永久秀に押しつけようとしたところ、ライバルの松永久秀が簡単に一万貫の金の工面を引き受けたものだから、筒井順慶も引けなくなった。


 不本意ではあるが筒井家は、ライバルの松永久秀に負けじと蘭奢待の朝廷工作を請け負うことになった。


 筒井家は順慶の一族、家老衆を集めて額を付き合わせても、大和の田舎者。良い知恵など出るはずもない。とうとう、原田直政から厄介ごとを引き受けた責任をとって家老の松倉右近が切腹を申し出ようとしたときに、嶋左近ことカケルが帰ってきた。


 カケルは、根本的にアホだから、親友に瓜二つの松倉右近の苦悩を放っておけず簡単に、蘭奢待の朝廷交渉と、調略費用一万貫の金の工面を引き受けた。



 さあ、困った。カケルはここまでの事のあらまし全てを嶋家の面々に打ち明けた。すると、叔母のお良が、スススと自室に下がって、しばらくあって戻ってきたお良は、台所の下女に銭箱を運ばせて戻ってきた。


「勝猛殿、あなたの留守中に、いざ戦となれば軍資金が必要になると思い、この叔母と義叔父はコツコツと食事を削って金を工面してきました。それでこしらえたのが、ここにある一千貫です。とても、一万貫には足りませんがお役に立てなさい」


 と、カケルの面前に一千貫の銭箱を置いた。


「されば、勝猛様。この三代澤忠右衛門も些少ながら蓄えがございます。ご恩のある嶋家のため、すぐにここへ運ばせます。ご自由にお使いくだされ」


 そう言って、三代澤忠右衛門は自身の屋敷に遣いを走らせすぐに五百貫をもってこさせた。


「勝猛様、私も蓄えがございます!」


 都築義平と蜜猿の姉弟がそれぞれ声をあげて、三代澤忠右衛門のように屋敷に遣いを走らせ二百五十貫づつ合わせて五百貫もってこさせた。


 カケルの面前に積まれたのは合わせて二千貫。


「佐近、私も別れの時に父上から少ないが預かった金がおよそ百貫ある使ってくれ」


 お虎が袖から巾着袋をとりだしてドサリと嶋家の積まれた金に重ねた。


 すると、我関せずを決め込んでいた菅沼大膳が慌てた顔をして、袖の下を探し始めた。袖には平べったい銭袋があった。大膳は、嶋家の集めた金の上で銭袋を逆さにして紐を解いた。


 ポテリ!


「きゃーーー!」


 お良が悲鳴を上げた。


 大膳の銭袋から落ちてきたのは、トカゲの干物。いくら非常食の準備は在常戦場の戦国時代の侍にあってもそれはないよね。


 いくら気丈な嶋左近の叔母様お良様でもびっくりしちゃう。


「すまんすまん」


 菅沼大膳は、そう言うと、袴の中、フンドシの中に手を突っ込みゴソゴソし出した。


「またか」お虎は、大膳のすることはいつものことだろうと嫌な顔をした。


 お良は、聴衆の面前も気にせず、自身の一物をまさぐる菅沼大膳の行動に大きく目を見開いて注視している。お良は、声をふるわせて、

「菅沼殿、何をしておられるのです!」

 と、たまらず叱責した。


 大膳は、気にせずに、


「おお、あったあった。ちょっと、尻の方にあったから臭うございますが、ほれ!」


 菅沼大膳は、笑顔で永楽銭を一枚取り出して、お良の手の平においた。


 プンッ!


 お良の鼻腔に、大膳の下の香ばしい臭いが掠めた。


 お良は青い顔してばんざいして卒倒そっとうした。


「これ、お良!」


 倒れる寸前で、東樋口仁十郎が抱きとめた。


「お良様!」


 三代澤忠右衛門と、都築義平が立ち上がる。


「ダメだよ大膳さん、ここは三河の戦場じゃないんだし、下品なのはアカンよ」


 カケルは、そう言うと、顔の真ん中をムズムズさせ、バフッ! と、放屁一発広間の一同の顔を曇らせた。




 つづく





皆さん、こんばんは星川です。

最近、ネット以外の書き物で資料集めをしております。

古い作品は、青空文庫でかなりスマホで見れるようになったのですが、シナリオと申しますとまだまだ簡単にスマホでとは行きません。


そこでまず、捜し物の作品を地元の図書館で探します。

例えば、

「星川亮司の『魔道明石城』をさがしているのですが……」

と、図書館の貸し出し窓口で相談すれば、すぐに検索していただけます。


窓口で難しいようなら、図書館にあるレファレンス担当に相談すればより精しく調べてくれます。

「ああ、『魔道明石城』は絶版となっていますね、現在、ここにはありませんが、近隣の自治体ですと、大坂の中之島図書館と、河内長野にあります」


で、現在の図書館って、連携がとれていて取り寄せが出来るの、数日で送ってくれるの。


「ああ、『魔道明石城』は近隣の自治体にはありませんね。一度、国会図書館に問い合わせてみます」

そう、地元の図書館のレファレンスに相談すれば、すべての日本の書籍が集まる国会図書館に連絡して、複写コピーして有料でたいがいの本は調べられるんです。


「で、魔道明石城ですが、現在存在しない作品ですね……」


そう、拙作「魔道明石城」安寧に姫路本多家、明石小笠原家に身を落ち着けた宮本武蔵と徳川の天下転覆を狙う魔道衆の話は、なろうさんから18禁に触れるから削除しろって連載途中で引っ込めております。データはあるのでいつでもどこかのサイトでアップは可能なのですが、一冊分は超えてますので、その労力がごぜえませぬのだ。

あっしは、体力が以上にないので、連載はこの「オタ転」と公募用だけでやっとこさ。

「魔道明石城」もかなり応援していただいていたのに残念。


まあ、愚痴っても仕方ないので気持ちよく、今日も、

ブックマーク、ポイント高評価、感想、いいね よろしくお願いいたします。



それでは、また、来週に。

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