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225不敵なり安藤守就(佐近のターン)

 土岐頼芸ときよりあきの復権を狙う頼芸の旧臣金蔵は、役河王の元で金庫番として一万貫にも及ぶ隠し金をこしらえた。


 金蔵の後をつけ、金蔵が一満貫を手見上げに織田家と対立する武田家へ下ろうとする秘密を盗み聞きした左近と宗傑は、曽根の主、稲葉一鉄に相談しようと養老山を下っていると、したたかな織田信長配下の甲賀忍上忍、鵜飼孫六・孫七に出くわした。


 どうやら孫六・孫七兄弟も、金蔵の秘密をどこかで盗み聞きしていたらしく、金蔵の武田家への支度金一満貫をせしめようとしていたところを、左近と宗傑に出くわし、山分けを申し出た。


 しかし、鵜飼兄弟は、左近と宗傑が油断したところを騙し討ちにして、矢を放ち、逃げ切れずに宗傑の背中に矢が突き立ち木立の陰に身を隠すのがやっとだった。


 万事休す!


 今にも、鵜飼兄弟の追っ手に囲まれて、後は離れたところから矢で針鼠にされるのを待つばかりとなった左近のもとに、


「ううぉーーー!」


 と、大きな声を上げて兵の一団が現れた。


「あれに見える旗は、丸に上がり藤、あれは稲葉様と同じ西美濃三人衆の安藤守就様にございます」


 と、背に矢を受けた宗傑が言った。


「安藤様がなにゆへここへ?」


「わかりませぬが、西美濃三人衆の稲葉一徹様の曽根城、安藤守就様の北方城、伊勢一向一揆討伐で残念ながら討ち死にとなった氏家卜全様の大垣城は、いざ戦となれば三位一体にことに当たります。安藤様が兵を挙げてここにいると言うことは、大殿より西美濃三人衆にも出陣の布令が出たのではないでしょうか」


 安藤守就隊の登場を受けて、それまで、左近と宗傑を遠巻きに囲んでいた甲賀忍の鵜飼孫六・孫七の兄弟は、姿をくらました。


「うん、お主は、稲葉のところの渓華寺の僧宗傑ではないか、背に矢傷を受けているのか、よし、誰か、医者を呼びすぐに手当をいたせ!」


 左近と宗傑が背にする木立に大将の安藤守就自身が騎馬で乗り付けてそう声をかけた。


(しかし、おかしい・・・・・・)


 ここは曽根領内だ。あまりに安藤守就の到着が早すぎる。確かに、養老山から揖斐川にかけて広がる大垣の平野は、大垣、北方、曽根と順番にある。大殿織田信長から西美濃三人衆に出陣を命じたなら、安藤守就だけが先駆けて出陣するとは考えられない。この安藤守就の先駆けの意図は一体どこにあるのだろうか?


 左近は、そう考えずにはいられなかった。


「お主は、確か正月に・・・・・・」


 宗傑から、左近に目を移した安藤守就が名を思い出そうと思案した。


「はい、私は、正月に岐阜で稲葉様と明智殿の間あった一悶着で、稲葉様預かりになった渡辺勘兵衛と申します」


「おお、そうであった。一鉄の元に仕えて居った斎藤利三めが、突然、明智光秀めに転属を変えおったからに、あの頑固者が引き抜きじゃと事を荒立て居った時に、折衷案として、代わりに明智から稲葉へ転属しておったお主が渡辺か」


「左様でござります」


「うむ、お主の武勇は聞き及んでおるぞ。かの伊勢長島一向一揆討伐戦で、殿軍を任された林通政殿の一隊におって相当な活躍をしたと聞いておる。その時、あの氏家卜全めも殿軍に巻き込まれ奮戦したが横槍を入れられ戦場に散った。まったく、林通政も氏家卜全も織田家の重鎮を二人も失うとはつらい戦であったわ」


 伊勢一向一揆の感慨にふける安藤守就の言葉に嘘はない。心の底から、斉藤氏からの同僚である氏家卜全の死を惜しんでいるのだろう。


 しかしだ、例え織田信長の出兵命令があるにせよ、安藤守就がここへ稲葉一鉄よりも先に曽根を通過するのは腑に落ちない。絶対に、何か裏がある。


 と、左近が、安藤守就の一挙手一投足に目を光らせていると、黙って聞いていた守就の娘婿の遠藤慶隆えんどうよしたかが、騎馬で近づいて、


養父上ちちうえ、ここは急ぎませんと」


 と、守就へ声をかけた。


 なんだ、安藤は何かを隠そうとしている。絶対に、なにかある。


 その時だ、安藤隊の後方の荷駄隊に、見覚えのある男が近づいた。


「あれは金蔵だ!」


 左近は、声には出さなかったが、その名を叫んだ。


 土岐頼芸復権をもくろむ金蔵は、武田勝頼に支度金一満貫を準備している。現在、こうして、安藤守就隊につながりがあることを見れば、自分一人が、持参金を持って武田に与する段取りではない。おそらく、秘密裏に手を回し、金の力で籠絡した仲間がいるだろう。おそらく、その一人がこの安藤守就なのだ。


 この事実を稲葉一鉄に伝えようにも、ただ金蔵が安藤守就隊に接触しただけで、武田とのつながりを示す物的証拠はない。下手に、一鉄にその事実だけを伝えて、三位一体の西美濃三人衆の結束を乱しては戦にならないだろう。


「仕方ない、今は、宗傑殿の受けた傷の手当てが先決じゃ。それに、ワシに一鉄殿より任された任務は、深芳野様の周りで起こる曽根領内の拐かし事件の解決じゃ。武田と土岐氏の復権を企む金蔵とのつながりの解明は二の次だ。それに、甲賀衆はすでに動いている。おそらく信長の耳にもその周辺の情報は入っているだろう。ならば、俺が動くべくもない。




 つづく

皆さん、こんばんは星川です。

いや~、最近、三十度に迫る勢いですね。

私、星川は、仲間とテニスをすることがあるのですが、テニスコートって屋根が無いから、この季節はたまりません。

こないだ、日差しの下でプレーしたらもうサーファーのように褐色の肌になってしまいました。丘サーファーなのに。。。


私、記憶力が病的に衰えているので、前回、話したかも知れませんが、こないだ共に師匠に学んだ友人の家に行くことがあって、彼の家が書庫みたいになってるんですね、彼の本棚をあさっていると、脚本の書き方の本がありました。


「シナリオ創作演習十二講 川邊一外 著」


これね、私が探していた本でした。


今から二十年前、学生の頃に師匠が授業で使っていた松竹のシナリオ研究室だかのテキスト。


私のように、ライティングで悩まれてる方におすすめです。


脚本や小説は、文章の綴り方をいくら磨いても仕方ありません。人が見たいのはドラマが見たいんですね。そこを忘れちゃ行けませんよと、構造的に書かれていました。


詳しく内容は言いませんが、作家必読の本です。

ちょっと、ためになる本紹介したので雑談はこんなところで。


では、ブックマーク、ポイント、感想、いいね よろしくお願いいたします。

ホントに、皆さんのちょっとした応援で、創作者は救われるのです。


ちょっと、脱線ですけど、アイドルたくさん居るじゃ無いですか、そのアイドルが10組だか、20組でフェス的にするイベントご存じないですか、5~7人のユニットが20組。

私、性格悪いですから、会場のキャパとチケット代で計算したんです。

あんなに一生懸命に踊って歌うアイドルの方々って、多分、日当一万円も無いんです。

あれですよ、絶対、嫌な客がいて笑いたくも無いのに笑顔を振りまいて、一万円無い。

めちゃめちゃハードな商売なんですね。

まあ、私のような売れない物書きも似たようなもんです。

どこかでバズって、天文学的にキャパ化けしないと自転車操業なんです。

「あたしも応援してほしいけど、推しのタレントさんやアイドルさんがいらっしゃったら、物販とかも買ってあげてくださいね☆キラッ!」

そこで、ようやくペイできる構造なんです。


まあ、物書きは、せいぜい紙と鉛筆、最近では、パソコンがあればできるので、先行投資が安くて済みます。リスクは少ない。


それでは、また、来週に。

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