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トイソルジャー  作者: 三色の水風船
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隻腕の人形

 薄暗く鉄臭い店の奥には鉄格子の牢が並んでいた。これからオークションにかけられる人形たちだ。とある人形は絶望した顔で目が空洞のようになっている。涙を流す人形もいる。

 やはり自己破産者だけではなく無理矢理連れてこられた者も混ざっているのか、とアランは納得する。そして同情するが、具体的な行動は何もできない。

 ここは路地裏から入る秘密の商店街だ。こういう違法行為が行われていることはある程度承知で来ているため、アランは良心を馬車に置いてきた。

 身内が捕らわれているのなら別として、赤の他人を助ける気にはなれない。


 無表情で牢の中の生きた商品を眺めていると、支配人がアランに質問をした。

「その隻腕の軍人の名前はわかりますか」

 アランはそれがただの質問ではなく、自分を試しているのだとわかった。

「ミナトだろ。疑ってるのか」

「いえ。そんなことはありませんよ」

 支配人は悪びれもせずに続ける。

「ただこういう商売をやっていますとね、軍服を着て私たちが保護している軍人を盗みにくる、そんな連中がいますのでね。最終確認です」

「そうかい」

 支配人はアランに対して、軍人を保護している、と言った。これは支配人が、私たちは違法行為をしていない、という言い訳だ。疑いが完全に晴れたことを感じてアランは内心ほっとしている。


 こつこつ、と靴音が冷たく響く通路を歩くこと5分。アランは気持ち悪くなってきた。胃から喉へ酸が逆流してきそうな感覚だ。

 5分間歩き続けてようやく終わりが見えるほどの長い通路を歩いている間、気力が失われた人間たちを常に見ていたのだ。無理もないだろう。

 目的の牢に着く直前で支配人が声をかけた。あまり気が進まないのか、支配人の口調は重い。アランは思わず吐き気を引っ込めて身構える。

「その探している軍人なんですが、問題がありまして」

「問題?隻腕のことか」

「それ以外の問題が1つ。すぐにわかりますよ」

 情報では隻腕になったこと以外は何も問題はないとされていた。これはいくら情報通でも人形商のもとにあるミナトと交流ができなかったからであり、外見だけの判断になっていたからだ。

 それはアランもわかっている。ここまで危険な賭けをして細部まで情報を拘っていないということは予想できていたから。


 隻腕ということは片腕が何らかの衝撃で吹き飛んだということ、その傷口から病気にかかった?いや、それはない。コイツらはミナトを商品にする気だった、病気にかかっているのなら治療するはず。軍人人形は高値がつくから治療に金を使っても利益が出せると考えるはずだ。

 アランは思考を張り巡らせてどんな問題が起きているのか考え、その対処法を導き始めた。

 その思考は、とある牢の前で止まった。


「彼ですよね」

「ああ――」

 立ち止まった牢の中にはアランと同じ軍服を着た少年が無気力に座り込んでいた。

 軍服の左袖は垂れ落ち、左腕を失っているのは確かだ。黒髪は目にかかるまで伸びており、長い間放置されていたとわかる。

「――ミナトだ。間違いない」

 髪はずいぶんと伸びて少し痩せてしまっていたが、馬車の中で想像していたミナトを他人と間違えることはない。

 親友の忘れ形見、ミナトと出会えたことにアランは喜びを感じながらも、ずいぶん待たせてしまったと申し訳なさも感じる。そして、アランの視線はミナトの両足を繋ぐように嵌められた足枷に向いた。


「なんで足枷なんかついてんだ。保護のはずだろうが」

 様々な感情が交錯するなかでもアランは軍人として見られているという立場を忘れていなかった。怪しまれないようにするだけの冷静さは残していた。

 この発言は軍人としての姿勢にも見せられる、そう判断してから私情を露にした。

「それは……こちらの手違いでして」

「手違いで済んじゃ法なんていらねぇんだよ」

「申し訳ありません」

 アランの自制された怒りの声に支配人は勢いよく謝罪をした。

 心の底から謝罪をされて仕方なく許した、という形にすれば後々本物の軍人だったのか、なんて問い合わせはしないだろう。そう判断してアランは脅しを終わりにした。


「もういい。休戦中で外の相手で手一杯なんだ、内側に構ってる暇はない」

「ありがとうございます」

「コイツの人生、貰っていくぞ」

「それはもちろんです。我々は保護していただけですから」

 支配人に牢の鍵を開けさせ、アランは中へ入った。

こんばんは。なんとか三日坊主最終日まではいけましたよ。よかったです。

あと文章が途中で途切れているのですが、私が集中して執筆できる量がこのくらいのようで。

少なくて申し訳ないです。

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