欺瞞の王とunknown
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神川啓祐
種族:人族(異世界人)
職業:学生(見習い精霊使い)
Lv.1
HP(体力):3
MP(魔力):3
STR(筋力):3
VIT(耐久力):3
INT(知力):3
MND(精神力):3
LUK(運):0
スキル:『unknown』
称号:《欺瞞の王》
契約精霊: ****
: ****
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A4のコピー用紙に書かれた文字を改めて読んでみる。
…
……
………
…………さっぱりわからない。てか何て読むかわからないものまである。
続いて、茜の番だ。
"ステータスオープン!"
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神川茜
種族:人族(異世界人)
職業:学生(見習い精霊使い)
Lv.1
HP(体力):100
MP(魔力):350
STR(筋力):50
VIT(耐久力):50
INT(知力):350
MND(精神力):300
LUK(運):1000
スキル:『料理』『洗濯』『掃除』『精霊魔法(光)』
称号:《神竜の巫女》《家事熟練者》
契約精霊: 神竜【白夜】
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「マジか。」
心の声が漏れてしまった。
いやいやいやいや。
何この差。ありえねぇ。いじめか?
俺のステータスくそじゃん。
「兄さん?どうしました?」
「いやいや、何でもねぇですよ?」
「語尾がおかしいですって。目泳いでますよ。兄さんのも見せてください!」
「お前のとあんまり変わらないから!大丈夫だから!気にすんな!」
「そ、そこまで見せたくないんですか?本当に心配になってきました……」
すごく悲しい表情をする妹。
ヒョイッ……
「ふむ。こ、これは酷いのぉ。誰にも見せたくないのはわかるぞ。」
パラケススがいつの間にか俺の手から紙を奪い取っている。
いやぁぁぁ、やめてくれぇぇぇー
赤点のテストを貼り出されているような気持ちになる。
パラケススが茜に紙を渡す。
茜は驚いた表情を一瞬したのち、何かを決心したようで、
「に、にいさん。その……兄さんは私が守ります!」
何故そうなる。
というかやっぱりこのステータスはとても悪いらしい。
オール"3"って(笑)
通知表ならまぁまぁの点数だと思うが、これに関してはバグかなんかとしか言いようがない。
だって、同じ"レベル1"だよ?同じ"見習い精霊使い"だよ?
てか、家事熟練者って……
家事ってスキルなのね。もう何でもありやな。
「まぁ、これも素質の違いじゃな。"白夜"も茜についとるようじゃし……」
「あの……そろそろ説明が欲しいんだけど……」
「わからんかったら、その場で聞かぬか。どこらへんからわからんのじゃ❔」
「「最初から!」」
見事にハモってしまった。
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パラケススの話を要約するとこうなった。
この場所はパラケススの"空間魔法"って奴が作り出した隔離された空間。
ヴィルゼバウムの住人たちは産まれた時からステータスを確認する事ができるが、異世界から来た者はここで自分のステータスを確認するとの事。1回確認すると紙は消えてしまい、以降は念じれば目の前に出てくるみたいだ。
ステータスに関しては種族と職業、Lv.はそのままの意味。
HP(体力) → そのままの意味。レベルが上がるにつれて増加する。
MP(魔力) → 魔法及びスキルを使う際に消費される。レベルが上がるにつれて増加する。
STR(筋力) → この値が高いほど物理攻撃力が増大する。筋力によって扱える装備品もある。レベルが上がるにつれて増加する。
VIT(耐久力) → この値が高いほど物理防御力が増大する。また体力の減少も少なくなる。レベルが上がるにつれて増加する。
INT(知力) → この値が高いほど魔法の力が増大する。また知力によって扱える装備品もある。レベルが上がるにつれて増加する。
MND(精神力) → この値が高いほど魔法抵抗力が増大する。また魔力の減少も少なくなる。レベルが上がるにつれて増加する。
LUK(運) → この値が高いほど幸運に恵まれる。基本的にはこの値は変わることがない。
スキル → 使用することができる魔法及び特技
称号 → 何かを達成したとき、何かを獲得したときなど、一定条件を満たしたときに獲得できるものの総称。
契約精霊 → 精霊使いのみの表示。契約中の精霊が表示される。
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本当にゲームの世界だな。
俺は目の前に浮かぶ半透明のステータス画面を出したり消したりしてみる。
「ぐふっ。ぐふふふっ。これは本当に……」
隣でゲームオタクが気持ち悪い声を出して歓喜しているのを無視し、パラケススに質問する。
「先生!俺のステータスってどのくらいヤバイの?」
「そうじゃのー。同じレベルでも村人の方がまだマシじゃな。例えば……」
そう言いながらパラケススは何もない空中に手を伸ばした。するといきなり手首から先が消える。
水槽に手を突っ込んだみたいに手首の周りの空中が水面のように揺れている。
この不思議な光景に若干引いている俺だが、もう驚くのに疲れてしまったので、何もツッコまない。
「おっ、あったあった。」
― ヒュン…………カンッ ―
パラケススはそう言って取り出した"何か"を持って俺に向かって投げつける。
"それ"は俺の右頬をかすめ後方に落ちていった。
右頬を伝う赤い液体。血だった。
そして後ろを振り返ると"ナイフ"がある。
「あっぶねぇぇぇぇーーー!」
「男の癖にうるさいのぉ。掠り傷だろうが。それよりステータスを確認せぇい。」
こいつは絶対ヤバイ奴だ。生徒にナイフ投げつけてくる先生がどこにいる?
そんなことを思いながら、ステータスを確認すると、
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神川啓祐
種族:人族(異世界人)
職業:学生(見習い精霊使い)
Lv.1
HP(体力):2
MP(魔力):3
STR(筋力):3
VIT(耐久力):3
INT(知力):3
MND(精神力):3
LUK(運):0
スキル:『unknown』
称号:《欺瞞の王》
契約精霊: ****
: ****
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嘘だろ(笑)
冷や汗が止まらない…………
ナイフかすっただけでHPが1減りやがった…………
「このように、今のお前ならすぐHP0になって死ぬぞ。気を付けるのじゃ。」
見捨てないでぇーーー
俺は心のそこから願う。
「兄さん!私の側から離れないでくださいね!」
茜が無い胸を張って言う。何でコイツ嬉しそうなの?
「ともあれ、契約精霊したらいくらかはステータスも上がじゃろ。ほれ早く契約するぞ。」
そうゆうことは早く言えっての……………………
「あっ、この"欺瞞の王"って奴と"unknown"ってのは何?」
「"unknown"は今は使えないスキルじゃな。条件が揃えばきちんと表示されるじゃろ。"欺瞞の王"ってのは、わしもわからん。自分で調べろ。」
はい。ミス理不尽。
多分おしえてはくれないだろうなと思ってましたよ…………
試しに称号"欺瞞の王"を念じてみる。
《称号》欺瞞の王
全てを欺き、手段を問わず目的を終わらせる神より愛を受けた者に贈られる称号。
「は???(笑)」