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いざっ、精霊都市へ


キュイーン…

パラケスス先生の足元に魔方陣が刻まれる。


「"転移" "フォンニエス"」


眩い光の中、目を開けるとさっきまでいた大草原から景色が一変。活気ある城下町へと移動していた。


「啓祐、茜。ここがお前たちが暮らす街、"精霊都市フォンニエス"じゃ。」


綺麗な石畳が敷き詰められ、中世のヨーロッパを彷彿とさせる建造物。路肩には出店がたくさん出ており、威勢の良い声が響き渡る…


─武具をお求めなら、是非当店で!─

─お子さまの入学祝にアイテム一式はいかがですか!?─

─今日は大特価だよ~─


─にいさんっ。あれ絶対っ欲しい!─


最後のは幻聴かもしれない……

よくよく店員さんを見てみると、人間っぽい人や角やら鱗がある人、黒いローブを着て顔も見えない人など様々だ。


「フォンニエスには他種族交流法というのが定められており、自由に商いをする事ができるのじゃ。他の国ではまだまだ種族に対する差別意識が高くてのぉ。商いに対する規制緩和も兼ねた法律ということじゃ。」


なるほどな。こんな大事な説明をしてくれてるのに、茜はキョロキョロと辺りを見回し、隙あらばいなくなろうとする。


「茜。俺たちお金持ってないんだから、静かに説明を聞きなさい。」


「兄さんっ!だって、半額なんですよっ。ゲームの中のアイテムなんですよっ。ポーションなんですよ~~~」


涙目で駄々をこねる茜。

あ~~~この涙に弱いんだよなぁ~

耐えろ俺!………………………ダメ!無理!

そんな服の裾掴みながら上目遣いされたらもう買ってあげたくなる!

しかし、今の俺は無一文……

あっそうだ!パラケススをじっと見て念を送る。


「言っておくが、わしは貸さんぞ。」


はぁ~どうしよう……ア○フルとかあるかな……


「そんな事より、今日は忙しいのじゃ!呑気にしていると日が暮れてしまうわい。」


パラケススはA4サイズの紙を取り出す。

・制服の採寸

・教科書及び物品購入

・学章の発行

・学生証の発行

・証明写真の撮影

・寮での備品の購入 ……etc……


やらなくちゃいけないものたくさんある…


「先生!俺ら身一つで来ちゃったんですよ。先程も言いましたが、お金とかないんですが…………」


「それは大丈夫じゃ。必要最低限の物はこちらから支給する。ここに書いてあるものは大抵賄える。それ以外は自分でなんとかしろ。」


「"マージナル"では、各所方面からお前らにも受ける事が出来る"依頼"が来る。それらの中には報酬が出る場合もあってな。それで小遣い稼ぎをしよる奴らも多いぞ。」


バイトみたいなことか……

こんな勤労とは無関係な俺でもコンビニのバイトくらいならしたことある!

1週間で辞めたけど…………

マジで社会不適合者だな。俺(笑)


「衣・食・住に関しては、寮におればまず心配はない。まぁ、あまり欲を出さないということじゃな」


「兄さんっ!早く依頼を受けに行きましょう!」


欲望に忠実だな。そこまでしてポーション欲しいのか?何を回復したいのか謎過ぎる(笑)


「そろそろ行くぞ。あまり時間もない、まずは制服からじゃ。」



正直、現段階で"何とかして家に帰る"っていう選択肢は俺の中から消え失せた。

茜も楽しんでいるみたいだし……

まぁ、ばぁ様の手のひらの上とは言え俺も結構楽しんでる。堕落していくだけだと思っていた人生が変わりそうな予感がしていた。

楽しい毎日の始まりかもって……………。





この時の俺は、そう思っていたのだ。

思っていたかった。

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