旅は道連れ、落とし穴
話は元に戻る……
「兄さん!もっとシャキッと歩いてください!背中押すのもキツいんですからね!」
なんとか茜に背中を押され、家を出て数時間…………新幹線、在来線、バスを乗り継ぎ只今、徒歩で獣道を歩いております(笑)
「なんか久しぶりですね♪こんなに長い時間兄さんと一緒にいるのも♪小さい頃はよく二人で遊びに行ってましたもんね!」ニコッ♪
「あぁ。そうだな………所で茜。もしかして今……」
「あっ、兄さん!小学校の遠足!覚えてますか?あの時は帰りたくなった私をおぶってあるいてくれましたよね~………」ウルウル♪
「あぁ。そんな事もあったな。いや、そうゆう話をしてるんじゃなくて……これって迷……」
「兄さん!あんなところにウサギさんが!!」
「なぁ、茜。お兄ちゃん怒らないから教えてほしいんだけど……まさかとは思うけど迷ってないよな?」
「そんな事ありませんよ。もらった地図通りに進んでるから間違うわけがないのです!」
うわぁ……めちゃくちゃ屈託のない笑顔を見せる妹…………
でもな…………お前、持ってる地図、逆さまなんだけど……………
詰まるところ、出不精だったこいつの要因の1つとして、究極の方向音痴がある。どうやったら100メートル先のコンビニまで1時間も迷った挙げ句、警察に迷子として自宅まで送り届けられるのだろうか(笑)それが今でも健在なのだ(笑)
結論から言おう。
……………携帯の電波の届かないどっかの森の中で男性1名、女性1名、計2名。遭難中………………
とにかく、いまだ目を爛々と輝かせて爆進中の茜の首根っこを捕まえ引き返す事にする。散々ゴネてたけど(笑)
しかし、引き返そうにも元来た道すらわからないのである。
ええいままよ(笑)行くしかねぇ!!!!!(笑)
―――― 1時間後 ――――
「兄さーん!。おーい。兄さーん!」
妹。兄さんもう疲れたよ。だってどんだけ歩いても景色が全く変わらないし、同じ場所に戻ってきてるような感覚に襲われるし………
大量にかいてしまった汗を拭う。
季節は春。運動はまぁまぁしていた方だが、それでもキツい。
肉体もだが、精神的に参ってしまっていた。
さて、本格的にどーしようか?と考え込んでると………
(しょうがないなぁ。ちょっとだけ助けてあげる。)
「えっ?」
ビュウッ――――――
冷たい風が頬を切る。
振り向いた先には無造作に森が開いていた。不自然にも何か大きな獣が通ったかのような。
なんにせよ。やっと抜けられるかもしれないと淡い期待を抱く。
怪しさMAXだが、不思議と怖くはなかった。
「茜。行くぞ。」
「本当にいくんですか!?いくらなんでも怪しすぎます!違う道を探しましょうよ!」
そりゃそうだ(笑)
でもここからじゃなきゃいけない気がした。
そう。行けない気がしたのだ。
まるで導かれるように、吸い込まれるように……
茜の手を強引に引き、その獣道へと足を踏み入れる………
そして………………………ズボッ…………
「どわぁーーーーーーー」
「きゃあーーーーーーー」
真っ逆さまに落ちた。(笑)