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ニートになろうとした男の末路

事の発端は一週間前…………

晩飯をたらふく食った後、保護者(ババァ)がその場の空気を凍りつかせた…


「1日3食は今日までじゃからな。」


「「は?」」


俺と茜はすっとんきょうな声を出してしまった。

もともとうちは裕福な家庭ではない。

ただ、昔から代々引き継がれている武家屋敷に住んでいるだけだ。内部事情を知らない人達にとっては裕福な生活を送っているように見えるだろうが、実際は違う。

掃除は大変。古いから雨漏りが酷い。訳のわからない骨董品の数々。住んでいる人間が少ないので幽霊屋敷と思ってガキどもが肝試しに忍び込んでくる始末。etc………

実際、デメリットだらけの屋敷に保護者(ババァ)、茜、俺の3人で暮らしている。早く売り払って引っ越せばいいものを保護者(ババァ)は断固として拒否し続けてきた。


「詳しく説明すると、貯金が底をつきそうなのじゃ……。わしと茜の稼ぎだけじゃ回らなくなってきたのじゃよ。」


ふーん……………………。ん?

茜?……………………稼ぎ?


「気づいたようじゃな…。お前がこの家の癌だということに…」


茜の方を見ると、明らかに目をそらして焦っている。


「に、兄さんの分も私が頑張って稼ぎますから!大丈夫です!」


こいつ…しれっとバイトして生活費入れてやがったな(笑)

茜は大学1年生の19才。介護の仕事がしたいと強い思いがあるようで福祉科の学部に在籍している。眉目秀麗でファンクラブがあるほど人気があるらしい。元々あまり活発ではなく人前に出ることを嫌って俺の後を隠れるようについてくるような奴だった。しかし、大学に入り少しは社交的になったのか、友達が増え明るくなったようだ。そこから茜フィーバーが到来したのである。今まで顔を隠すように伸ばし続けてた前髪を切り、兄から見てもドキッとするようなアイドル顔負けフェイスを披露したのだ!って話が脱線しまくってるな。これだけは念押ししておくが、決してシスコンではない(笑)……と思う!


そんなこんなで現実逃避をしていた俺に保護者(ババァ)が止めをさす。


「と、言うわけでじゃ。出ていくか、働くかの2択じゃ。選べ。茜に甘えるのは絶対に許さんからの。」


いやいやいや。前者はない。

俺この歳で家無しとか無謀だよ。仕事もないし、絶対餓死する自信がある!(笑)


「ばぁちゃんも、俺の状況知ってるでしょ?今デリケートな時期なの!ちょっとは空気読めよ!」


半年前に、2年間就活を頑張ってやっと受かった会社が内定式から2日で倒産したのである。しばらくは何も考えずダラダラ過ごすのだ。と決めたばかりであった。


「しばらくは何もしたくない。精神を休ませるために長い長い夏休みが欲しい(笑)」


「馬鹿かお前は。失敗をいつまでもウジウジ考えておるからお前はつまらんのじゃ。どちらにせよ穀潰しをそのまま放置するわけにはいかん。ただ、わしとて鬼ではない。何にも取り柄のないお前に朗報じゃ。専門学校に通わせてやる。その代わり4年間寮生活じゃ。そして卒業試験と資格試験に合格しろ。そしたら今まで通りここにおいてやる。卒業と同時に就職もできるのじゃ。良い話であろう?よいな?」


この保護者(ババァ)は孫に対する愛情はないのか。よくもまぁ人を傷つけられるな(笑)そしていつもいきなりなのだ。なんど振り回されたことか………


「ちょっと待て。色々問題があるだろ?俺、26だぞ?あと学費の問題とか、なんの専門学校なのか?とか聞きたいことが山ほど………」


バンッ……

机の上にパンフレットを1枚を叩き付けられた。


「ウダウダ言うな。子供は余計な心配せんでも良い。校長はわしの知り合いじゃから、話は通しておく。やる気があるなら、明日手続きに行ってくるのじゃ。」


どんな形にせよ就職出来るのは俺にとって願ったりかなったりだ。

だが、この堕落した生活にどっぷりはまり働く気が失せた俺にとって職業訓練校で勉強なんて続くわけがない。ていうかしんどい。優柔不断ってまさしく俺の事かもな(笑)


「あーーー男じゃろうが!腹くくらんかい!」


ゴツン!鉄拳制裁を食らってしまった。

御歳70歳とは思えないパンチ力に頭がクラクラする(笑)


「しょーがない。茜!お前も行け!」


「えっ?私?」


いままで、何か言いたそうだった茜に矛先が向く。


「お前がついとれば安心じゃ。このダメ兄貴の監督をしろ。ついでに社会常識を学んでお前の極度のブラコンを治すのじゃ。」


茜は顔を真っ赤にして、


「な、な、何を言ってるんですか。確かに兄さんは私がいないと何も出来ませんが、私はブラコンではありません!それに私大学あるから無理です!」


なんかすっごい悪口に聞こえる(笑)


「大学には私から言っておく。卒業だけは出来るよう取り計らう。あそこにも知り合いはおるからの………」


このババァ……マジで何者なんだろう。

そんな犯罪紛いな事をサラッとできるなんておかしいだろ(笑)


こうして選択する余裕もないまま俺と茜は、半ば無理矢理(?)入学することが決まってしまった。


どうなる?俺たち?

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