0 ある時の死闘
「もう終わりか?先程までの威勢はどこへ消えた?」
そこは大広間になっていた。黒曜石をふんだんに使い、外からの光を反射し黒光りしている。莫大なお金がかかっているのだろう。
しかし、現状は悲惨な状態だった。世の中の石の中でもトップクラスの硬さを持つ黒曜石がひび割れ、頭上のガラスはあちこち割れている。そんな状態の大広間には、二人の男が居た。
片方は金髪混じりの白髪の髪をした青年。その両目には龍が渦巻いているかのような文様が浮かんでいる。体中に血を滲ませ、床に這いつくばっている。
もう片方は黒を基調としたローブを着た男。背に4対の漆黒の羽を広げ、左に錫杖、右に長剣を持っている。男は青年をその緋色の瞳で見下していた。
「ふん。所詮は人間。神である私に敵うはずがないのは分かり切っている事だろうに」
「それでも、戦わなければいけないんだ」
青年は体を起こすと、傍に転がっていた剣を手に取る。右手に黄金の長剣、左に紫黒の長剣を携え、青年は叫ぶ。
「これ以上、お前らの好きなようにはさせない。ここは、俺ら人類の世界だっ!」
「...貴様のような下等生物は黙って我の従僕になればいいのだ」
二振りの剣を持ち駆け出す青年に男は錫杖を向ける。青年も右手を後ろに引き、思い切り跳躍する。
「邪魔者は失せろ」
「ハァァァアアア!!!」
そして、辺りを白い光が覆いつくした。