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敗北少女と三英傑  作者: H-show
2/3

1話 「敗北少女の初勝利」

登場人物


神条しんじょう 姫凛きりん (16) ♀

アイテーラ剣魔学園に通う女の子。優しく、明るい性格。

だが、入学してから一度も戦闘で勝つことができずその明るさは失われている。

その負けっぷりから、敗北少女のあだ名が付き

100連敗となったら退学とまで言われてしまう。

学園でのランキングは断トツの最下位で、レートもD。

能力のタイプすら明らかになっていない。


篠宮しのみや たける (18) ♂

学園ではトップクラスの実力を持つ男。

自分の強さに自信があるのか、基本人を蔑んだ態度。

数少ない武装霊魂を持つ新型タイプの能力者で、

現在99連勝中。次の対戦相手に姫凛があたり

学園の連勝新記録である100連勝目を狙っているが、

霊魂のアレスと二人で勝ちを確信している様だ。


武装霊魂・アレス (?) ♂

アレスの名を持つスペルセイバー。

神話の軍神アレスの名に恥じぬパワーを持ち、

彼自身好戦的である点もまた神話のアレスと同じである。

普段は槍の姿をしているが、人型で居る時も多々見られる。

その時の容姿はがたいの良い身長180後半の赤髪のオールバック、と言った感じ。


中途なかず 半蔵はんぞう (28) ♂

学園の教師。姫凛の負けっぷりを見て

諦めかかっており、なんとも声をかけづらい。だが担任だから

なんとかしてやりたい、とも思っているが

実際何をしてやればいいのかわからないのか何もできていない

中途半端な教師で人望も見た目もやることも中途半端である。


小森こもり 美月みつき (16) ♀

姫凛の数少ない友人。友達思いで困っている子は放っておけない、

世話焼きな女の子。次負けたら退学となった姫凛をなんとか元気づけようとするが

彼女の応援も空振り、美月自身も落ち込みつつある。

レートBの能力者でスペルセイバーは銃。


武装霊魂・エランド=レグルス (?) ♂

姫凛が見つけた剣、ルミナスエンペラーに宿りし霊魂。

1000年前に魔王軍を滅ぼした三英傑の1人で

その性格は穏やかで、優しく、悪を許さず。正義感に溢れている。

霊魂にとどまっていた彼の力を引き出すことのできる

姫凛と出逢い、彼女と共に戦う事を決める。

人であるときの姿はズバリ男前。

金髪にすんだ青色の瞳。整った顔立ちで身長は180手前といったところ。

既に死んでいるものの見てくれだけで言えば19歳ぐらいだろうか。


木藤きどう 浩太こうた (16) ♂

モブ。おわり


姫凛 ♀:

武  ♂:

アレス/木藤♂:

半蔵 ♂:

美月 ♀:

エランド ♂:




『』は心の声です。


--------------


木藤 「スペルセイバー!!」

(スペルセイバーが巨大なバズーカへと姿を変えて)

姫凛 「嘘ッ!? あれ何!? バズーカ!?」


木藤 「敗北少女が俺に勝とうなんて、生意気なんだよッ! StarCanonスターキャノン!」


姫凛 「っ! スペルセイバー! どうして…! スペルセイバー!!」



半蔵 「勝者、木藤 浩太!」


姫凛 「げほっ…げほっ……っ…」


木藤 「やーりぃ、やっぱ敗北少女と戦うと勝ち数稼げていいなぁ」



姫凛 「くっ……どうして…私ばっかり…」


半蔵 「神条! 神条!」


姫凛 「…先生…」


半蔵 「……さっきの試合で99連敗になったそうだな」


姫凛 「……はい」


半蔵 「このまま…だと…キミは退学になってしまうそうだ」


姫凛 「え…?」


半蔵 「…うち、アイテーラ剣魔学園は数々の優秀な魔剣士を輩出している学校だ。だが…キミは……少し違う。これではうちの学園にとって良い評判ではない…と…」


姫凛 「このままだと…って、どういうことですか…?」


半蔵 「…100連敗目を迎えたら…キミの退学が決定する」


姫凛 「…そ…そん…な……」


半蔵 「試合は明日だ。レートの低い相手になることを祈っている」



(喫茶店)

美月 「きゅ…急すぎない…? 明日って…」


姫凛 「うん…そうだね」


美月 「だ、大丈夫だよ…! …きっと…勝てるよ」


姫凛 「美月は…さ。いいじゃん、レートもBだし…」


美月 「れ…レートなんて関係無いよ…強い人は強いんだし弱い人はBでも弱いよ…」


姫凛 「そうだよ、私はDってついてるけど実際はD以下だから。スペルセイバーが使えない生徒なんて…私だけだよ…」


美月 「……た、対戦相手が…誰かにもよるじゃない…!」


姫凛 「……ごめん、美月。私…もう帰るね」


美月 「ま、待って! ……姫凛…」



(姫凛・自宅)

姫凛 「…中学の時に魔法がたくさん使えたからって…高校になっても優秀でいれるとは限らないんだね……どうせ…明日戦っても負けるんだよ…敗北少女が勝てるわけないよ……」




(学園・屋上)

アレス 「なあ武? 次勝てば100連勝、学園の新記録更新だぜ?」


武 「ああ、そうだな。対戦相手も決まったらしい」


アレス 「ほぉう? 誰だ?」


武 「学園一弱い生徒だそうだ、あだ名は敗北少女」


アレス 「はーっはっは! 赤子の手をひねるようなもんだなぁ? レートはDってことでいいな?」


武 「ああ。Aの俺に勝てるわけがない、最強クラスの俺と最弱の女が戦う。面白いだろ?」


アレス 「明日が楽しみだなァ…!」


武 「初の100連勝者だ、見てろ…敗北少女」



(夜・河川敷)

姫凛 「……スペルセイバーッ!! ……はぁ…やっぱりだめか…」



美月 「姫凛!」


姫凛 「美月…」


美月 「ケータイ繋がらないんだもん、心配したんだよ…?」


姫凛 「…ごめん」


美月 「特訓?」


姫凛 「…うん。どうせ負けるにしても今までで一番かっこ悪くない負け方がいいなって…少しでも反撃出来たらって…」


美月 「…そっか…どうして河川敷?」


姫凛 「ここ…ずっとずっと昔…まだ魔物が居て…勇者とか…魔王軍とかそんな概念があった頃…」


美月 「うん、知ってる。魔討三英傑まとうさんえいけつ、エランド=レグルスが生まれた地。フォーリエって里がここにあった。だよね?」


姫凛 「…あれ…知ってたんだ…」


美月 「知ってるも何も姫凛が私に教えてくれたんだよ」


姫凛 「そうだったっけ…? ははっ…。ここでなら強くなれるんじゃないかなって…思っただけ…何も変わらなかったけど…さ」


美月 「…私も付き合うよ」


姫凛 「え…?」


美月 「姫凛が学園に来れなくなるなんてイヤだから…私も特訓に付き合うよ」


姫凛 「…! わかった……。私と…戦って!」


美月 「い…いいの…? それで」


姫凛 「うん…変に基礎を練習しても何も得られないって…私が私に感じたことだから…それなら戦って何かを得たいから」


美月 「! …わかった、全力で行くね」


姫凛 「…! うんっ!」



美月 「スペルセイバー…!」

(銃へと姿を変え、美月の手に握られ)

姫凛 「…凄い」


美月 「WhiteShotホワイトショット!!」


姫凛 「っ! やっぱり…スペルセイバーが無いと…! PhotonBreathフォトンブレス!」


美月 「スペルセイバーが使えないのに魔法だけで粘れるなんて私にはできないよ! BlackShotブラックショット!!」


姫凛 「うぁぁっ! しまった…!」


美月 「GrayShotグレーショット!!」


姫凛 「きゃぁぁぁぁっ!」


(吹き飛ばされ、姫凛は川の中へ)


美月 「……姫凛!! 手伸ばして!」

 

姫凛 『手……んっ! あれ……これじゃない…何これ…』

   (姫凛が掴んだものはただの黒い棒)

   「げほっ! ごほっ…! はぁっ…はぁっ……」

美月 「昨日の大雨で増水してたもんね……ごめん……大丈夫…?」


姫凛 「…ごほっ…! ごほっ…! うん……大丈夫だよ…気にしないで」


美月 「…何…それ…?」


姫凛 「これ…? 美月の手に見えて掴んだんだけど…なんだろう…これ…」


美月 「物凄く汚れてるね……泥も相当固まってるみたいだし…捨てたら…?」


姫凛 「…うーん…でも…何かわからないものをそのまま捨てるのも…」


美月 「そっか…それも…そうだよね……どうする…? 続ける?」


姫凛 「…うん……もう一度…お願い」


美月 「…わかった…!」



姫凛 『その後何度も私は美月と戦った、だけど私のスペルセイバーはやはり応えてくれなかった』



美月 「…大丈夫かな…姫凛」




姫凛 「さて……これ…どうしよう…」

(河川敷で拾った謎の黒い棒上の塊をまじまじと見つめ)

   「これ…泥…なのかな……せっかくだから…汚れを落としてみよう…! ……うわ…硬っ……むむ…ぅ…っ…えい! 泥の向こう側は……え? 金属…? な…なにこれ……が、がんばって落としてみよう…!」


(そして奮闘すること1時間)


姫凛 「お…終わった…日付変わっちゃってるよ……早く寝ないといけないのに……これ……剣…だよね……? 新品…? ものすごくキレイ……傷も刃こぼれも…無い……あれ…何か…彫られてる…D…255年…………え? えぇっ……えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!? こ、これ…1000年以上前に作られた剣ってこと!? だ…ダメだ…凄く気になるけど…明日というか今日…試合だし……気になって眠れないかもしれないけど…寝よう」



(朝・学園)

半蔵 「神条…」


姫凛 「お、おはようございます…先生」


半蔵 「…対戦相手は…レートAの篠宮君だ」


姫凛 「れ…レートA!? そ…そんな…よりにもよってAなんて…」



武 「お前が俺の相手の敗北少女か」


姫凛 「…!」


武 「せいぜい最後の試合を楽しむんだな、敗北少女」


アレス 「っは、じゃあなぁ?」



半蔵 「彼は…スペルセイバーではなく武装霊魂だ…正直…キミに勝ち目はない…」


姫凛 「……」


半蔵 「…精一杯…やりなさい」


姫凛 「はい」


(試合前・控室)

美月 「なに…? その剣」


姫凛 「昨日拾った黒い棒の正体はこれだったみたい。今日の試合のお守りにならないかなって…」


美月 「道具の持ち込みは1つまで…。スペルセイバーを持ち込まないつもり?」


姫凛 「私には使えないから…この…剣でがんばるよ」


美月 「…そう……応援する!」



(そして試合)

武 「スペルセイバーも持たずに試合か?」


アレス 「俺達もなめられたもんだ」


武 「まあ俺が100連勝を達成できるならどんな相手でもいい」


姫凛 『負けたら退学……そうだ…負けでもいい…今までで一番マシな試合にしてやるんだ…!!』



美月 「姫凛…頑張って…!」


姫凛 『来る…!』


武 「…武装霊魂…アレス!!!」


アレス 「おうよォっ!」


武 「FlareSlayerフレアスレイヤー!!」


姫凛 「っ! 危なかった…」


半蔵 「危ないっ……中学では相当に優秀な生徒だった…それは本当みたいだ」


美月 「はい…姫凛の基盤はとても優秀です…ただ…スペルセイバーを扱う高校になると…」


武 「アレス!」


アレス 「後ろだぜ! そぉらァッ!」

(姫凛の背中に強烈な一撃)

姫凛 「きゃぁっ!? …ぅ……く」


半蔵 「武装霊魂の持ち主相手に戦うなんて2対1の様なものだ…相手が悪すぎる……」


姫凛 「くぅ…私…は…」


美月 「見て…られない…! 姫凛!!」


姫凛 「えっ!?」


アレス 「トドメだぜ! なぁっ!」


武 「BlazeSlayerブレイズスレイヤーッ!!!」


姫凛 『…負けた……やっぱり…私は…敗北少女…勝てるわけ…無いよ…』


半蔵 「何だあれは!」


(姫凛に握られた剣が輝きだし)


エランド 「せやァァッ!!」


武 「…何だ……俺のブレイズスレイヤーが…相殺された…?」


アレス 「…あの女の仕業とは思えねぇ…誰だ…!」


美月 「姫凛! 姫凛! 大丈夫!?」


姫凛 「う…うん…! え…だ…誰…?」



エランド 「…お前か」


姫凛 「ひっ…」


エランド 「俺を見つけ出してくれたのは…お前か」


姫凛 「見つけ出す……? あれ…剣は!?」


エランド 「…俺だ、お前が握ってた剣は」


姫凛 「あなたが…剣…? ど…どういうこと…!?」



アレス 「間違いねぇ…あの野郎…武装霊魂だ…!」


武 「武装霊魂…だと…!?」



半蔵 「スペルセイバーが使えなかった神条がどうして武装霊魂を…!」



エランド 「姫、お前は俺を救ってくれた」


姫凛 「ひ…ひめ…? 私が…あなたを…助けた…? 私…何にもしてないよ…?」



アレス 「だべってる今がチャンスだぜ…武!!」


武 「! …あぁ! 行くぞッ!!」



エランド 「…ゆっくり話もさせてくれないのか…手を」


姫凛 「手…?」


エランド 「勝ちたいんだろ…姫」


姫凛 「…でも…私…」


エランド 「でも、なんて使うんじゃねぇ。勝てるもんも勝てなくなるぞ、ほら…立て!」


アレス 「行くぞ金髪ァァァ!」


エランド 「…ReflecSignリフレクサイン!!」


アレス 「何!?」


武 「アレスの攻撃がいなされた…!?」


姫凛 「……私に…できるの…かな…」


エランド 「ああ、できるさ。逃げる理由を探すな、戦う理由を探せ!」


姫凛 「…! 武装霊魂・ルミナスエンペラー!!」

(エランドが再び剣へと姿を変えると姫凛の手に握られ)

美月 「嘘…本当に!?」


半蔵 「まさか…彼女の能力タイプ診断で不明と出たのは…新型でも旧型でもなかった…ということなのか!」


エランド 『どうだ、姫?』


姫凛 「…凄い…何…これ…力が…どんどん…溢れてくる…それだけじゃない…使ったことも見たこともない技が…私にできる気がする…」


エランド 『そう、姫。姫には俺の力を引き出す力がある……大丈夫…俺がついてるだろ』


姫凛 「……うんっ…! 今の私なら…できる…!」


エランド 『その意気だぜ…!』



半蔵 「ルミナス…エンペラー…確かにそう言ったな…神条は…」


美月 「はい…何か…知ってるんですか…?」


半蔵 「知ってるどころじゃない…ルミナスエンペラーは魔討三英傑の1人…エランド=レグルスが振るっていたとされる剣だ……!」


美月 「え…エランド=レグルス…!?」


武 「新型の俺たちに勝てるとでも思っているのか! 敗北少女がっ!」


姫凛 『見える…凄い…相手の動きが…スローになってるみたい…』

   「はっ!!」


武 「ぐぁっ!?」


アレス 「どうなってやがる!」


武 「我が槍となれ…アレス!」


姫凛 「槍!?」


武 「GigaHornギガホーン!!」


姫凛 「せやぁぁぁっ!」


アレス 『なぜ! なぜあんな細い剣に止められる!?』


武 「しまった…!」


姫凛 「ふぅ…行くよ…ッ! ShineSplitシャインスプリット!」


武 「ま…まさかこの俺が!? ぐぁぁぁぁっ!!」




半蔵 「か…勝った…神条が…!?」


アレス 「信じられねぇ…嘘だろ…」


武 「100連勝…が……嘘だ……敗北少女に…!? この俺が!?」


美月 「凄い! 凄いよ! 姫凛!」


姫凛 「う…うん…え…えぇ…?」


エランド 「やったな、姫」




半蔵 「まさか…本当に勝つとは思わなかった…」


姫凛 「あなたは…結局誰なの…?」


エランド 「あぁ、俺はエランド=レグルスだ。お前らは武装霊魂って呼んでるみたいだけどな」


姫凛 「…え」


エランド 「どうした?」


姫凛 「エランド…レグルス…って…あの…魔討三英傑の…!?」


エランド 「まぁそう呼んでるやつもいるらしいな…1000年も前の話だろ…? もういいじゃねぇか」


美月 「いやいやいやいや! 良くないよ! ね!」


半蔵 「ルミナスエンペラーがまさか…この地に残っていたとは…」


エランド 「割と詳しいんだな、あんた」


半蔵 「詳しいも何も私の分野だ」


エランド 「泥だらけだった俺を姫が見つけてくれたんだ、恩返しをしたい」


姫凛 「お…おんがえし…?」


エランド 「俺をお前のそばに置いてくれないか?」


美月 「武装霊魂になる…ってこと…?」


エランド 「そう…なるか…? お前らの時代の言葉はわからないことばかりで困るぜ…」


姫凛 「…な…なってくれるの…? 私の…武装霊魂に」


エランド 「あぁ。姫、俺に護らせてくれないか」


半蔵 「いいんじゃないか、これで退学の話もなしになったわけで」


姫凛 「そ…そうだ…退学の話…!」


美月 「良かったじゃない!」


エランド 「良かったな、姫」


姫凛 「え…? 何の話かわかるの…?」


エランド 「嬉しそうな顔をしてたから言ったまでだ」


姫凛 「そ…っか……ありがとう、エランド」




アレス 「いいのか? これでよ」


武 「負けは負けだ、いつか必ず…倒す」


アレス 「そこで腐らねぇあたり俺はお前が好きだぜ」


武 「よせ、気持ち悪い」


アレス 「気持ち悪くてもなんでもいいだろうが、あの金髪みたいにすっとした見てくれが良かったか?」


武 「そういう話でもないがな」


アレス 「……っは、またやりあう機会があるだろうよ。S戦争でな」


武 「ああ、その時までにもっと強くならないとな」




半蔵 「で…エランド」


エランド 「ん?」


半蔵 「キミは本当に神条の武装霊魂として生きていくのか?」


エランド 「生きていくも何ももう死んでるぞ?」


半蔵 「茶化すな!」


エランド 「ははっ。ああ、俺の恩人だ。姫に何があろうと俺が護る」


姫凛 「ちょ…ちょっと…エランド…恥ずかしいよ…その言い方」


エランド 「…そうか?」


半蔵 「ルミナスエンペラーなんて剣、普通神条。キミのような人間が触れたら大犯罪になるんだ」


姫凛 「え…?」


半蔵 「魔術警察の方に連れて行かれて最悪死刑なんてこともありえるかもしれん。だが…剣であるエランドがキミを選ぶというのであれば国も口出しできん」


姫凛 「す…凄いんだね…エランド」


エランド 「…警察…? なんだそれ…?」


半蔵 「とにかく…神条。彼と上手くやれよ」


姫凛 「な…なんですかその言い方…」


エランド 「??」




(帰り道)

姫凛 「ね、ねぇ…エランド」


エランド 「うぉぉぉすげぇー! なんだ、なんだ! あれ!」


姫凛 「あ…あれはビルだよ」


エランド 「それは川とかで血を吸う生き物じゃないのか…?」


姫凛 「えっと…エランドの言ってるのはヒル。私が言ってるのはビル」


エランド 「俺が死んでいるうちにこんなに世界の文明が発達してたなんて…すげぇな…」


姫凛 「なんか言ってる事おかしいけど…エランドが言うと普通なんだもんね…」


エランド 「…いい匂いがする…なんだ…?」


姫凛 「あ…そっちは…ケーキ屋さんだよ」


エランド 「ケーキ…? 誰が死ぬんだ…?」


姫凛 「えっと…それは刑期…執行までの期間とか…でしょ…? どうしてそんなに知識に偏りがあるの…?」


エランド 「俺が生きてた頃に比べて、姫たちの時代は平和って事なんじゃないのか?」


姫凛 「確かに…ここも英名の人なんてほとんどいないし…住む人間も変わってるんだもんね。って…聞いてないし…」


エランド 「あれは、あれはなんだ!」




(自宅)

姫凛 「ここが…私の部屋…」


エランド 「…なんだ…これ…」


姫凛 「ちょ…ちょっと…女の子の部屋なんだから多少は気をつか…」


(テレビをまじまじと見つめるエランド)


エランド 「この箱…なんだ?」


姫凛 「それは…テレビ…だよ」


エランド 「テレビ…?」


姫凛 「うん、世の中の情報を映像にして流したり…誰かの考えた物語を役者さんが演じたのを流したり…」


エランド 「ど…どうやって見るんだ…?」


姫凛 「だめだ……何もかもがカルチャーショックすぎるんだね……よ…よし…こうなったら徹底的に教えてあげる!」


エランド 「おう! 教えてくれ!」



(再び外)

姫凛 「あれはコンビニ! 24時間営業してて、いつ行っても商品が買えるの! ちょっと高いケド…」


エランド 「おぉ! 買い物に行き忘れても安心だな!」


姫凛 「そしてこれはデパート! 服とかご飯とか…いろーんなものが買えるところ!」


エランド 「服か……姫たち、ちょっと変わった格好してるよな」


姫凛 「多分エランドの格好が古いだけだと思う…1000年前だから…」


エランド 「そ…そうか……たしかに…」


姫凛 「あはは…また買いに来ようね…」


エランド 「あ、あぁ…。その手に持ってるのはなんだ?」


姫凛 「これはスマートフォン! 携帯電話って言って遠くの人たちと簡単に連絡が取れるの!」


エランド 「手紙じゃなくてもすぐに情報交換ができるのか!」





姫凛 「こんなもんかな…」


エランド 「ほんと…俺が生きてた時代から残ってるもんなんて何もないんだな…」


姫凛 「全部とは言い切れないけど…ほとんど…そうかも…」


エランド 「……でも、俺もこの世界でこれから生活していくんだもんな…さっさと覚えないと…」




武 「お前達か」


姫凛 「あ…篠宮さん…」


アレス 「なに恋人みたいな雰囲気醸してんだ?」


姫凛 「そ、そんなんじゃないよ!」


武 「異性の武装霊魂と主人の関係か。面白そうでいいじゃないか」


アレス 「どうだかねぇ」


武 「エランド、だったか?」


エランド 「お…?」


武 「次戦う時は…」


アレス 「俺達が勝つぜ」


エランド 「っは、どうなっても知らねーぞ」


武 「フン、アレス。帰るか」


アレス 「じゃあな」




姫凛 「私達も帰ろう」


エランド 「帰る…あ…そうか」


姫凛 「私の家でしょ…?」


エランド 「おう! あ、そうだ…」


姫凛 「ん…?」


エランド 「さっき言ってたケーキっての…食ってみたい」


姫凛 「ふふっ、じゃあ買って帰ろうっ!」


エランド 「ほんとか! よっしゃっ!」




姫凛 『敗北少女の初勝利、もう敗北少女なんて呼ばせないんだから! 三英傑、エランドとの出会い。まさかこれがこれからの大きな戦いの幕開けになるなんて…私は思ってもみなかった』


1話 「敗北少女の初勝利」












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