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selection.07 ダンジョンに潜ろう!(発掘編)

「大丈夫よラグラ。怖くて漏らすなんてよくある話だわ」

「貴様が俺をからかう意図などなく心の底から元気付けるつもりでその言葉を吐いているのだろうと思うとかえって無性に腹が立つ」


 ミルが持ってきたズボンとパンツに履き替え、ラグラは腕を組んだまま憮然とした表情を浮かべていた。ぐちょぐちょになった2着は現在、ミルのギルドカードに霊子情報化して保存されている。フィリシスはラグラに対し、哀れむような顔をするでも、見下すような顔をするでもなく、いつものような、何かに対して勝ち誇ったかのような自信満々な態度を浮かべ、拳を握りしめて言った。


「わかった! 恥を忍んで言うわ! 私もさっきちょっとちびったのよ!」

「乙女にそんなことを口走らせといてなんだがその情報は俺にとって何のプラスにも働かない! 一億万年に一人の天才を騙るならばもう少し卓越した慰め方を身につけろ!」

「そう言えばミル強かったわねー」

「話題の変え方が下手か!?」


 フィリシスが視線を向けると、ミルはダンジョンの床に流れ出たおびただしいまでの血を、モップと水かきで掃除している。帝国が1個師団を投ずると言われたヒュドラ種を、単騎で2匹、それも一瞬で葬り去った仕事人は、特に勝ち誇るでもなくせっせと後片付けに専念していた。

 ミルが使った武器は、指輪から伸びる10本のオリハルコン製ワイヤー。それだけだ。ガーターベルトに挿したナイフを見るに、おそらくもっと多くの得物を隠し持っているのだと思われるが、彼女はそれすら使うことはなかった。


「暗器使いなの? 彼女」

「ミルは武器を選ばん。ありていに言って無敵だ」


 ふん、と鼻を鳴らしてラグラは語る。


「ただメイドの仕事の邪魔にならないよう、小さめの得物で固めさせた結果、今の形に落ち着いた」

「ふーん……」


 フィリシスがラグラのもとに居ついて1週間。まだまだ彼や彼の父が厳選した全てを目にしたわけではないのだが、フィリシスから見て〝最高傑作〟と言って差し支えないほどのベストオブセレクションが、メイドのミルであった。

 顔を突き合せることもしょっちゅうなのだが、ミルは自分自身のことをまったく語らないので、どうした事情であの城に雇われることになったのか、まったく不明だ。


「坊ちゃま、フィリシス様、ひとまず通れる程度にはお掃除が終わりました」

「ご苦労! さすがだな!」

「クリプトヒュドラの体液は触れると肌を溶かしますので、お気をつけてお通りください」


 なるほど、だからせっせと掃除していたのね、とフィリシスは納得する。


「ラグラ、大丈夫?」

「何がだ?」

「だってあなた、今までのパターンで行くと絶対にずっこけて体液の海にダイブするじゃない」

「フッ、俺を見くびってもらっては困る」


 ラグラは不敵に笑い、胸を張った。


「俺はレベル600の冒険者だぞ? このダンジョンに何度挑んできたと思っている。クリプトヒュドラの体液に塗れた床など幾度となく見てきたし、絶妙なムーブでそれをかわしてきたのだ。見ていろ」


 厳選王子ラグジュアリー・セレクションは、まるで生まれたての子鹿のようなプルプルとした足運びで、ゆっくりと通路を渡っていく。たった数メートルの道筋が、永遠にも感じられる単独行。さながらフィリシスは、初めてのお遣いを見守る保護者のような心地で、ラグラの行進を見守った。ハラハラものである。


「ぐわあっ!!」

「ああっ!?」


 途中、ラグラは足を滑らせ、そのまま体液の海へとダイブしそうになった。思わず口元を押さえ悲鳴をあげるフィリシスだが、ラグラは数秒、必死で宙を掻き分けるように手を動かし、バランスを取ろうと努力する。通路の途中で両手をバタバタさせもがくラグラの姿は、まるで死にかけのハクチョウだ。ニワトリの盆踊りの方がまだ見応えがある。それでもフィリシスは拳を握って応援した。頑張って、ラグラ!

 果たして彼女の応援の甲斐あってか(たぶん関係ない)、ラグラは再度バランスをとり、ピタリと静止することに成功する。フィリシスは思わずガッツポーズを取った。もちろんラグラも取った。


「フハハハハハハ! 見たかフィリシス! これが俺の実力だ! 一人でこの通路を渡り切るくらい造作もないこと! もう何も怖くない!」


 洞窟の奥から、空を切り裂くような翼が飛来したのは、まさにその時である。


「あっ、後ろ」

「後ろがなんだと……ぐわあああああ!!」


 高い魔導知覚能力を持つフィリシスは、その影を取り巻く流線形の魔脈を読み取ることで、辛うじて形状を理解する。ワイバーンと猛禽類とコウモリを掛け合わせたようなそのモンスターは、翼の外側に衝撃波を撒き散らしながら、ニワトリダンスを踊っていたラグラに迫った。目で追うこともかなわない速度であれば、ラグラがその足に捕らえられるまでは一瞬であった。


「ミルー! 助けて、ミルー!!」

「な、なにあれ……」

「ノイズラプターと呼ばれるサイレントワイバーンの一種です」


 フィリシスの疑問に対し、ミルは冷静に答えた。2人の真横を、高速で飛翔するノイズラプターが飛び去っていく。ミルは衝撃波を華麗にかわし、フィリシスはそれが直撃したものの、がんばって耐えた。


「主に高山帯、年を重ねた個体は電離層の魔導雲に生息します。にわとり人間ワーニワトリを好んで捕食するのですが、坊ちゃまの先ほどの手の動きがワーニワトリの求愛ダンスによく似ていたので、間違えたのでしょう」

「なんかあいつ、事あるごとには無事でいられない体質なのね……」

「ご心配なく」


 ミルが右腕をくいっと引くと、ちょうどUターンして戻っていこうとするノイズラプターの両翼が、ひゅぱっと切断される。ノイズラプターは高周波の悲鳴をあげながらきりもみ回転し、通路の壁をバウンドしながら、最終的には床に叩きつけられた。

 あれではタダでは済むまいが、その両足には確か、あのラグラが握られているはずなわけで……。


「ラグラは大丈夫なの?」

「坊ちゃまでしたら、既にこちらに」

「えっ」


 フィリシスがミルの方を向くと、彼女の胸に顔を埋めて泣きじゃくる厳選王子の姿があった。フィリシスが気づかない一瞬のうちに飛びかかり取り戻したのか、あるいはワイヤーをザイル状に束ねてラグラに引っ掛けたのか、方法は定かではない。が、相変わらず恐るべき神業だった。


「ミル、怖かったよー。ミルー」

「よしよし。申し訳ありません坊ちゃま。やはりクリプトヒュドラの血は、今後すべて掃除してから通りますか?」

「いや、良い……。大丈夫……」


 このやり取りももう慣れた。


 さて、何度か壁に叩きつけられ、さらには翼を失ったノイズラプターが現在通路の先にいる。モンスターはゆっくりとその上体を起こし、視線をこちらに向けた。両翼の付け根をバタバタと動かし、必死に威嚇行動をする。


「フィリシス、近づくなよ」


 ぐすぐすと涙を拭いながら、ラグラが言った。


「翼を失い、高速飛行戦闘ができなくなっても、ノイズラプターは高周波ブレードやディストーションハウルといった攻撃手段がある」

「あなた詳しいのね」

「厳選王子だからな。厳選に必要なのは知識なのだ」


 言いながら、ラグラは幾らか調子を取り戻した様子である。


「耳を畳んでいるだろう。あの耳は普段はソナー受信機の役割を果たすが、音波による攻撃を行う際は自滅しないようああやって畳むのだ」

「えっ、じゃあヤバいんじゃないの?」

「問題ない。ミル」

「かしこまりました、坊ちゃま」


 ミルがくいっと右腕を引くと、ノイズラプターの全身がびくりと跳ね、そのまま首が転げ落ちた。

 その時フィリシスはようやく、通路にいつの間にか張り巡らされていた、ワイヤーの網に気づく。目を凝らせば、ノイズラプターの全身は既に細い裂傷でボロボロになっていた。先ほど通路をバウンドした時点で、既にこの大量のワイヤーが仕掛けられていたのである。


 やっぱり只者じゃないわ。フィリシスは珍しく戦慄した。

 ミル自身に対してではない。ミルをここまで鍛え上げた、何者かに対してである。素材は良かったのだろうが、それだけではない。フィリシスと同等クラスの実力者。その手による指導や調整が、まったく無駄のないステータス配分を実現しているのだ。


 フィリシスは魔導調整師である。アイテムや人材のステータス配分を調整するのがその使命だ。だが、アイテム製造にしたところで魔導調整にしたところで、常に都合の良い最適解というものは存在しない。様々な条件と、流行の兼ね合い、複雑に絡み合う因子が環境を決定し、そこより一歩先んじた調整を考案、実行して初めて、他者より優位に立てる。かも、しれない。

 そこを読み誤れば、すべての計算がゴミの山だ。だからこそ、一つ一つの調整は命がけである。

 そんなフィリシスの苦労を高みから見下ろすかのような、万能調整。それこそがミルに施された調整なのだ。その実力を目の当たりにするたびに、フィリシスの心の奥底にある、名称不明の感情がピリピリと震える。


「私も負けてられないわね……!」

「何に対して闘志を燃やしているのかわからんが、先に行っているぞフィリシス」


 ラグラは鼻を鳴らし、ずんずんと通路を進んでいく。そんな彼の背中に、ミルが珍しく声をかけた。


「あっ、坊ちゃま……」

「ん、なんだミル」


 ひゅぱっ。


 ラグラが振り返ったその瞬間、通路に張り巡らされたワイヤーの一本が、彼の柔らかい左頬に牙を剥いた。皮が裂け、直線状の血がじんわりと滲む。


 ダンジョンに、ラグラの悲鳴が響き渡った。





「これよりアイテムの探索を行う!」

「長かったわね!!」


 頬っぺたにクマさんの絆創膏を貼ったラグラが腕を組み、胸を張って叫んだ場所は、ダンジョン内に設置されたノイズラプターの巣であった。


 本日のアイテム探索は、どうやらここで行うらしい。フィリシスは、ノイズラプターは巣にアイテムを溜め込む習性でもあるのかと尋ねた、ラグラの説明は違った。

 ダンジョン内に自然発生するアイテムは、情報排泄物、言わばダンジョンのウンコである。モンスターもまたダンジョンのウンコであり、情報排泄物の集中しやすいモンスターの巣は、アイテムの自然発生率も極めて高いのだ。なので、強力なモンスターを討伐し、その巣を探索するのがアイテムの厳選を行う上で効率的というわけである。


「例えばこれだ!」


 ラグラが巣をガサガサと漁ると、中からは一冊の本が出てくる。


「このダンジョンは傾向として本型のアイテムが出土しやすい。ある程度溜まったら俺に見せろ。簡単に鑑定する! 今日の目的は理想品の魔導書を入手することだ!」

「ちなみにその本はどうなの?」

「うむ。表紙の装丁に、魔力伝導率の高い金属を用いた魔導書だな。それ自体は非常にレアなので良いものに見えるが、魔法攻撃力への修正値が300、更にスキルスロットに既にスキルパーツが入っている。素材の割には低い修正値と、スキルスロットに融通が効かない点から判断して、鑑定屋に持ち込む価値もない! ゴミだ!」


 ラグラは、ぽいっと魔導書を放り捨てた。放物線を描いて巣の外へ飛んでいく魔導書を、フィリシスは見送る。


「勿体無いわねー。その装丁素材ならエンチャント効率も高いでしょうに。限界値の引き上げとか、固定パーツに合わせたカスタムとか、活かしようはあるわよ?」

「数多の厳選漏れアヒルちゃんを転生させた貴様ならそうだろうな!」


 腕を組みながら、強く頷くラグラ。その言葉を受けて、フィリシスが少し得意げに胸を張る。


「が、どうせカスタムするなら、一級品を更にカスタムしたほうがいいだろう。見て和むアヒルちゃんとは訳が違う。魔導書は原則、戦うための装備なのだ!」

「ようやく私に調整を任せる気になったのね! 嬉しいわ!」

「なってないし! 一般論だし!」

「照れなくても良いのよ。さっき言ったじゃない。『貴様ならそうだろうな』って。ようやく素直になったのねラグラ。私嬉しいわ!」

「ちょっと褒めるようなこと言ったらこれだよ……」


 ラグラはぶつくさ言いながら、巣の中を物色し始める。


「間抜けなことを言っている暇があったら手足を動かせフィリシス。ミルはもう探しているぞ」

「あらホント」


 見れば、既にメイドのミルが巣の中を干し草熊手で掻き分けていた。あれはラグラが厳選したミスリル銀の超一級品干し草熊手だ。アタッチメントによって先端部の換装が可能であり、実は先ほどの使っていたモップや水かきとも互換性がある。


「わかったわラグラ! 私にすべて任せなさい! 一億万年に一人の天才美少女である私は、この巣の中からアイテムを探すことにおいても……」

「俺、間抜けなことを言っている暇があったら手足を動かせって言ったんだけど!」

「あっ、ダメだわ! 私素材探すのだけは致命的にヘタクソだったわ!」

「最初から期待してないから! もう黙っててお願い!!」


 とは言え3人だ。数十分も探していれば、アイテムはあらかた探索し尽くしてしまうだろう。その時にアイテムの再発生リポップを待つか、別の巣を探しに行くか。こういうのはパーティメンバーが多ければ多いほど、他の巣を探す方が効率が良くなるのだが、基本、ラグラはミルと2人で潜ることばかりだったので、状況に任せることの方が多かった。モンスターの巣の場所は探索する時々に応じて変化するので、下手に探し回るよりもリポップを待ったほうが得なことも多々あるのだ。


 しばらくしていると、いつの間にかフィリシスもすっかり大人しくなって、彼女なりに真剣にアイテムの探索を始めているようだった。ラグラもようやくホッとする。

 ラグラは巣の中から本を探し当てては、《鑑定眼》スキルによって確認し、溜め息をついて放り捨てていた。ただひとつだけ、魔法攻撃力修正+520を誇る、人皮装丁の魔導書をキープしてあるが、人皮装丁はカースエンチャントによって呪われている確率が非常に高いので、あまり期待していない。


「坊ちゃま」

「む、なんだ」


 いつの間にかミルが背後に立っていたので、ラグラは作業を中断する。


「本型アイテムが一定数集まりましたので、ご確認を」

「うむ、貸してみろ」


 ミルが懐から取り出したギルドカードを受け取り、ラグラはその所有アイテムを確認した。このギルドカードはフィリシスの目に入れるとまた彼女が気絶したりしてめんどくさいので、さっさと済まさねばならないだろう。


<所持アイテム>

・ラグラのパンツ

・ラグラのズボン

・ラグラ安眠セット

・クマちゃん絆創膏

・傷にしみない消毒液

・万能解毒薬

・HPポーション


 このあたりは、冒険者の必携品だ。アイテム欄をスクロールし、下の方へとずらす。


・ドキドキする本(未鑑定)

・ムラムラする本(未鑑定)

・ワクワクする本(未鑑定)

・ギラギラする本(未鑑定)

・ペロペロする本(未鑑定)

・ハラハラする本(未鑑定)


 他にも、ずらっと本アイテムのが並んでいた。未鑑定アイテムはこのような特殊な名称で表示される。このレベルのアイテムを鑑定済みにするには、ネイティブスキルの《真・鑑定眼》による鑑定を行うよりほかはない。ラグラにできることは、ある程度性能を見極めて、取捨選択を行うことだけだ。


「この、ワクワクする本とペロペロする本はゴミだな。捨てて良い」

「はい、かしこまりました」

「魔導書よりは技能書が多いな。ドキドキする本、ギラギラする本、他もほとんど技能書だ」


 技能書とは、読むことで特殊な効能を得られる、本というよりもドーピング薬に近いアイテムである。質による差はほとんどないが、入手手段も限られているため市場にはあまり出回らない。初心者はもとより、プラチナランクに上がりたての冒険者たちも泣いて欲しがるようなものだった。


 が、


「捨てて良いぞ」

「はい、かしこまりました」


 だいたいプラチナ限定ダンジョンの地下90階まで潜れるようになると、手に余るというか希少価値が薄れるというか、割とポンポン手に入るようになるので、所持品枠を圧迫するとして捨てられやすい。薬草と同じ扱いになるのである。この辺まで潜る冒険者は、高性能の装備アイテムを持ち帰るため、アイテム枠に余裕のある者が少ないというのも、地上に技能書が出回らない原因だったりする。


「ハラハラする本は……、これはアタリの可能性がある。ロックしておけ」

「ムラムラする本は如何しましょう」

「これはただのミステリー小説だ。そんなところだな」


 ラグラからギルドカードを返され、ミルはアイテム欄の操作を行う。


 その時、ラグラふと背後に気配を感じ、振り返った。見ればそこに立っているのはフィリシス・アジャストメント。ミルのギルドカードで気絶しないようにするためか、両手で目を覆ったまま踏ん反り返っていた。


「貴様は何がしたいのだ?」

「フッ、愚問ね」


 ちらっ、と指の隙間から前を見て、ミルがギルドカードをしまったことを確認したフィリシスは、改めて腰に手をあてて胸をそらす。


「アイテムが揃ったからあなたに見せに来たのよ。覚悟しなさい。きっと宝の山よ」

「そうか。自分がヘタクソだと知っておきながらそこまで自信満々になれる貴様のメンタルが正直羨ましくなってきたぞ」


 生ぬるい視線を送るラグラの前で、フィリシスはごそごそと自らのローブの中をまさぐる。ようやくもって取り出した、プラチナに輝くギルドカードを眺めながら、ラグラは頭を掻く。


「もうオチが見えているような気がするが、まあ良い。見せてみろ」

「テンション低いわね! まあ良いわ、見なさい! これが私の見つけ出したお宝の数々よ!」

「どれどれ」


<所持アイテム>

・苔

・苔

・苔

・苔

・苔

・苔

・苔

・苔

・苔

・苔


「貴様はいつも俺の予想の斜め上をいくなー……」


 ラグラはフィリシスのギルドカードを見つめながらぼやいた。


「宝の山でしょ?」

「ゴミの山だよ!!」


 べしっ! とギルドカードを床に叩きつけて叫ぶ。


「ああっ!?」

「なんだよ苔って! 俺が探しているのは魔導書と言っただろうが! 何故本を探して苔

拾って来るんだ! ワケがわからん! 貴様俺をコケにしているのか!?」

「今のダジャレ!? 面白いわ、さすがラグラね! 私あと1年は思い出し笑いできそうな気がするわ!」

「ああもう好きにしろ! 笑え! いっそ大爆笑して笑い死にしてしまえばなおのこと良い!」

「この苔のどこが悪いのよ!」

「苔という前提がそもそも悪い! 俺が探しているのは本だ! 断じて苔じゃない!」

「似たようなもんじゃない!」

「貴様の世界の常識をここに持ち込むな! 捨てろ! さもなくば苔の女神としてここで余生を送れ!」

「ツッコミにいつものキレがないわよラグラ」

「疲れてるんだよ!!」


 はーっ、はーっ、と荒い呼吸を繰り返しながら、ラグラは金切り声を上げた。フィリシスは巣に叩きつけられたギルドカードを拾い上げ、ぱんぱんと砂を払う。


「ま、待ってラグラ。苔だけじゃないの! 苔だけじゃないのよ! ちゃんと見て!」

「ああ!?」


・苔

・苔

・苔

・苔

・苔

・苔

・苔

・ノイズラプターの幼生

・苔

・苔


「なに拾ってんだよ!」

「だって可愛かったんだもん! この子の親はあなたが奇っ怪な踊りをおどったが為にミルに首を落とされたのよ! 責任取ろうと思わないの!?」

「自然の摂理だ! 貴様のような脳天お花畑が『稀少種であるマーシュヒュドラの保護を!』とか訴えてガデッサ湿原で抗議デモを行ってはモンスターに囲まれて帝国魔導騎士団に出動を要請したりするのだ! 猛省しろ!」

「この子ねー、撫でてあげると耳を畳んでピーピー鳴いて私の顔を羽で撫で返してくれるのよー」

「それ高周波ブレードだよ! 攻撃されてるんだよ!」


 幸いにして、ノイズラプターの幼生は現在アイテム扱いとなってフィリシスのギルドカードに収まっているため、特に実害はない。

 また、別にダンジョンからモンスターを連れ帰るのは御法度ではない。しかし、野生のモンスターは性能に非常にムラがあり、また人間には容易に懐かないため、好き好んで連れ帰る者はいない。苦労の割には身にならないため、ラグラもあまり厳選しようとは思わないのだ。

 ラグラの家で大量に運用されているプラチナゴーレムなどは例外で、あれにしても野生産の優良個体をベースに大量生産した養殖ゴーレムだ。ゴーレムに関しては量産のノウハウが確立しているので、ベースとなる個体さえ確保すれば、野生産よりもはるかに質の高い個体を量産できる。


「でも、この子放っておいたら生きていけないでしょ……?」

「ふむ、生後1年経っていないか……。まぁ無理だな。餌もろくに取れんし、それに天敵も多い」


 《鑑定眼》スキルで個体情報を確認しながら、ラグラは答えた。


「天敵?」

「さっきのクリプトヒュドラは、このダンジョンでは生態系の上位に位置するから、それとかだな。親のいないノイズラプターの子供など絶好のエサだ」

「なるほど……。クリプトヒュドラはノイズラプターを捕食するのね」

「うむ。成体になれば返り討ちにすることもあるが、それでも原則としてはヒュドラ種の方が上位だ」

「つまり、クリプトヒュドラはノイズラプターの巣を探すこともあるのね?」

「地上では生息域が離れているのであり得んが、このダンジョンではあるかもしれんな。ノイズラプターはこうした高い場所に巣を作るが、ダンジョン内ではせいぜい50メートルが限度。成体になったクリプトヒュドラなら十分届く高さだ」

「なるほど」


 フィリシスは神妙な顔で頷いて、ローブの中にギルドカードをしまう。


「じゃあラグラ、あなたの後ろにいるクリプトヒュドラは、おなかを空かせているのね?」

「なんだと?」


 ラグラがくるりと振り返ると、そこにはラグラの身長をちょうど覆い隠すほどの顎が、ぱっくりと開かれていた。牙から滴る毒液、ちろちろと動く舌。今までいくつもの命を飲み込んできたであろう喉の奥からは、暖かく生臭い吐息が……、


「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!」


 フィリシスは既に逃げていた。人後に落ちない、どこに出しても恥ずかしくない逃げっぷりであった。





 結局クリプトヒュドラはミルによって瞬殺されたが、その後も様々なアクシデントが重なり、結局探索は思うよう進まなかった。それでも、アタリの可能性があるキープ品を10冊ほど地上に持ち帰り、金角獣ヴァホリクスの荷車に引かせて、スラグ鑑定雑貨店まで運んでいく。

 女店主のスラグは、すっかり疲れ切った様子のラグラを見て、『ずいぶんやつれてるね』と言った。


「ああ、今日は疲れた……」

「ふーん。それで10冊か。ずいぶん少ないもんだね」


 例によって、ラグラの周りには黒山の人だかりができる。カウンターに積まれた本を見て集まってきたのは、魔法職の冒険者たちだ。それからスラグによる詳細な鑑定が始まったわけではあるが、


 まぁ結論からいえば、すべてハズレだった。


「くそッ! 全部ゴミだ!!」


 頭を掻きむしりながら、ラグラが叫ぶ。集まった冒険者たちは、妥協品と言うには粒ぞろい過ぎるラグラの厳選漏れ魔導書について、何やら明るい顔で話し合っていた。スラグはくわえ煙草をしたまま、パチパチとソロバンをはじいている。


「この人皮装丁の魔導書なんか、かなり良かったと思うけどね」


 スラグはカウンターに積まれた10冊の本に目を配せながら、そんなことを言った。


「カース込みで魔法攻撃力修正が520。人皮装丁の魔導書としちゃ最高値だろ。《魔力供給》とか《エンハンサー》とかもかなり高レベルでついてるしさ。そこに《海魔召喚》の魔導書技能までオマケで入ってくるなんて、そうそうないよ」

「それは妥協勢のセリフだな。《海魔召喚》とカースエンチャントの相性は最悪だ。そもそもカースがついてる時点でゴミだ」

「そうかい。人それぞれだね。まぁ、この後の競売じゃこいつが一番値が高くつくだろうさ」


 ソロバンをはじき終わったスラグは、ラグラに値段を見せる。もとより金銭に関しては無頓着なラグラであるため、その額も大して確認せずに頷いた。かくして、10冊の超高性能魔導書は、市場価格の1/100にも近い大特価で、スラグ鑑定雑貨店に買い取られた。それでも、麻袋パンパンに詰め込まれた金貨を、ミルが何度か往復しながら荷車に詰め込むことになる。

 ラグラの集めた魔導書の買い取りが終わり、品定めに集まっていた冒険者たちは次第にその輪を解散していく。当のラグラはすっかりグロッキーで金角獣にもたれかかっていたが、その真横をウキウキしながら通り過ぎ、雑貨店のカウンター前に立つ影があった。


 フィリシスである。彼女の肩にはノイズラプターの幼生が、耳を畳んだままぺちぺちとフィリシスの頬を叩いている。


「貴様、何を考えているんだ……」

「決まっているでしょう。私の持ち帰ったものも鑑定してもらうのよ!」

「苔ばっかりじゃないか……」

「そうよ! この苔も鑑定してもらうの! あなたはバカにして鑑定してくれなかったもの!」

「貴様、元気だな……」


 あの後何度もモンスターに遭遇して死にそうな目にあい、そのたびに脱兎のごとく駆け出しては死なないよう逃げ回っていたのがフィリシスである。その割には大層元気を有り余らせている様子だった。心臓部に無尽蔵のエネルギー機関が搭載しているならば、是非厳選させてほしいものだと、ラグラは思った。


 フィリシスは胸を張って、鑑定雑貨店のカウンター、たくさんの苔を丁寧に置いていく。さしもの女店主スラグもこれには面喰った様子で、左腕の義手で頭を掻いた。


「あのー、アタシんとこの鑑定料、結構高いんだけどね」

「安心しなさい。お金ならあるわ! もうすぐなくなりそうだけど、まだあるわ!」


 ふんー! と鼻息も荒く、フィリシスはふんぞり返る。その間、ノイズラプターの子供はやっぱり彼女の頬をぺちぺちと叩いていた。スラグは苔の鑑定など任されるのはどうやら初めてのようで、困惑した顔でモノクルのレンズを弄る。これには、さしものラグラも少々同情した。と、同時に、このフィリシスとかいう自走式魔導核弾頭メンタルお化けに振り回される苦しみを、自分以外の誰かも味わえば良いと、呪詛めいた感情を抱きつつあった。


「これは……苔だね」


 スラグは他にどういえば良いのかわからないと言うように、鑑定結果を述べる。


「そうでしょうね! 他には!?」

「これも苔だ。あとこれも……これも苔だ。アタシ、上質な苔ってのがどんなんかよく知らないんだけど、まぁ、割とイキの良い苔だと思うよ。これなんか体力が18もあるし」

「ラグラよりタフなのね!」

「うるさい」


 困惑しながらも、面倒くさい客に対してそれなりに誠意をもって対応している。さすがにスラグはプロフェッショナルだった。ラグラが厳選した鑑定屋というだけのことはある。そのまま順調に苔の寸評は進んだが、大量の苔の鑑定がほぼラストに差し掛かった頃、それを眺めるスラグの表情が変わった。


「この苔は……」

「なに、その苔は!? 知力が20くらいあるの!? ラグラより賢い!?」

「貴様は俺より有能な苔を探して何をしたいんだ」


 スラグは何やら難しい顔になって、その苔をじっと眺めている。何度も何度も確かめるように、モノクルの倍率を変え、あらゆる角度から確認し、最終的には『う~ん』と唸りながら、その苔をカウンターに置いたのだ。


「これは……魔導書だね」

「なんだと!?」


 がばっ、と起き上がるようにしてラグラが叫ぶ。休んでいた金角獣が驚いて悲鳴をあげた。スラグは肩をすくめ、短くなったタバコを灰皿に押し付けながら解説を始める。


「魔導書だよ。魔法攻撃修正400。エンチャントはなし。スロットが14。えぇと、魔導書技能が《神威顕現》と……」

「待て、待て待て!!」

「なんだい、見てみるかい」


 スラグは鑑定書に結果を書きこみ、それをラグラに向けて提示した。


種別:魔導書/苔

素材:苔

魔導修正:20

魔法攻撃修正:400

スロット:14

エンチャント:なし

魔導書技能:

 《神威顕現》《地属性強化》《陣地作成補助》《バイタルチャージ》


「素材に紙片が入っていない魔導書なんて初めて見たぞ……」


 フィリシスは胸をそらして言った。


「どうやら私の正しさが証明されたようね! 苔も本も似たようなものだったのよ!」

「すまんちょっと黙ってろ! おいスラグ、どういうことだ!? 一応俺はこいつのアイテムを確認するとき、《擬態看破》も使ったはずだぞ! それが苔に偽装した魔導書ということはまずありえん!」

「だから苔であり魔導書なんだよ。アタシも始めて見た。これ新種だね。新種の魔導書だよ」

「し、新種だと……!?」


 驚愕に満ちたラグラの叫びに、周囲の冒険者たちが再び集まってくる。


「あんたも知ってるだろ。アイテムは結局、ダンジョンの排泄した情報体だからさ。ダンジョン内で発生する二つのアイテム情報が、顕現する際に混ざって妙な形になるのは稀にあることなんだよ。一度そのアイテムが発生すると、それが実例として登録されるから……」

「苔の魔導書が、今後も増える可能性がある……」

「そういうこと。で、どうする? この魔導書、そこそこ高性能みたいだけど……」


 ラグラは全身からおびただしい量の汗を流しながら、歯をがちがちと打ち鳴らしていた。情報体の顕現エラーによる、偶発的な新種アイテムの発生。ラグラは久しく、それに遭遇したことはなかった。苔の形状を持つ新種の魔導書。魔法攻撃修正400は魔導書の平均数値を大きく上回るものの、絶対的数値で言えば、これ以上のものはいくらでもある。しかし……。

 周囲の冒険者たちは、新種の魔導書の存在に目を輝かせ、ラグラの『ゴミだ』発言を今か今かと待っている。しかし、ラグラはごくりと喉を鳴らした後に、こう言ったのである。


「キープだ。持って帰る。良いな、フィリシス」

「え、別に良いけど……。どうしたのよラグラ、あなた顔色悪いわよ。相当疲れ溜まってるんじゃない?」


 そうだ。疲れが溜まっている。顔色が悪いのもやむなしだろう。だがラグラはぐるりと振り返ると、夕日が差し込むメインストリートに響き渡るくらいの大声で、従者の名前を呼んだ。


「ミルっ!!」

「はい、なんでございましょう。坊ちゃま」


 荷馬車の前で静かに待機していたミルが、恭しく一礼する。


「もう一度ダンジョンに潜る! 申請書を準備しろ! そして手すきのプラチナランカーをかき集められるだけかき集めて来い! 全員雇う!」

「契約金と報奨金はいかがなさいますか」

「すべて言い値で払ってやれ! こういう時の為のカネだろうが! 糸目はつけるな! 連中が望むなら、城の倉庫にあるAランク以下のキープ品をくれてやっても構わん!!」

「かしこまりました、坊ちゃま」

「ちょ、ちょっとちょっと!」


 一礼し、冒険者ギルドの方へ向けて一瞬で消え去るミル。一方のフィリシスは、珍しく驚いたような表情を見せながら、ラグラの袖を引っ張った。


「ちょっとラグラ、大丈夫? おかしいわよ。どうしたの?」


 ラグラは口元をにやりと吊り上げて、フィリシスを見る。身体中に溜まった疲労が吹き飛んでいくような感覚があった。少し前までは、このまま家に帰って寝るつもりだったのが、とてもそんな気分ではいられなくなる。心臓が打ち砕かれるような昂揚感だ。これを、どうしたの? と聞かれても、ラグラは上手く説明できない。


 だが、次にフィリシスがした質問に対しては、これ以上ないほど明確に答えることができた。


「何をする気なのよ。ねえ」

「検証だ!!」

「検証?」

「そうだ!」


 腕を組み、ラグラは頷く。


「俺は厳選は知識だと言った。だが知識は変わる。常識は塗り替えられる。良いかフィリシス、貴様は、俺たちは、新種の魔導書を、〝見つけてしまった〟んだ!!」

「う、うん……」

「そもそもダンジョンの苔総数に対して、苔の魔導書の比率はいかほどなのか!? 能力傾向は! 基本スロット数は! エンチャント効率は! 魔導書技能はどんなものがつくのか! 貴様が拾ってきたあの苔の魔導書! アレがゴミなのか理想品なのか、それすらもまだわからんのだ! ともすれば、世間が求める魔導書の性能ラインを大きく引き上げることになるかもしれんし、ならんかもしれん!」


 たった一つの新種が出てくるだけで、それまでの常識が崩れ去る。その新種の出現条件、理想品のライン、すべてが未知であり、そうしてそれは、今までに多くの探究者たちが追い求め厳選し続けてきた年月を、木端微塵に打ち砕く可能性を秘めている。


「なんかラグラ、あなた楽しそうね」

「楽しいとも!!」


 ばばっ、と両手を広げてラグラは叫んだ。


「俺が今までに必死にかき集めてきた魔導書の理想品! それらが全てゴミになるかもしれんのだ! 環境の変化はこれほどまでに残酷なのだ! こんなに楽しいことがあるか!? フハハハ……フハハハハハハハッ! これだから! これだから厳選はやめられん!!」


 周囲の冒険者たちが、何かよくわからないものを見るような目で、少し距離を取っていくのがわかる。

 そう、テンションが上がるといつもこれだった。ラグラが厳選王から受け継いだ、〝厳選〟の醍醐味。今まで集めてきたものがゴミになる瞬間に湧き上がる、途方もない衝動と昂揚感。こればかりは、誰ひとりとして理解してはくれないのだ。

 この街の住民は、自分を厳選王子などと持て囃してくれるが、結局のところは彼のかき集めてきたアイテムのおこぼれに預かりたいだけで、あるいは彼の保有するダンジョンに興味があるだけで、厳選の醍醐味を誰ひとりとして理解しない。


 だが、それでいい。


 と、そう、思っていたのだが。


「わかるわ」


 真横に立つ少女は、その場所から1ミリたりとも動かずに、そう頷いたのだ。


「なんだと?」

「私も同じよ、ラグラ。アイテム製作も、性能調整も、結局は流行次第なのよね。すべて環境の変化に合わせて変わっていくのよ。鉄板と呼ばれた調整式が、3日後には時代遅れになるの。私はずっと、そういう世界で生きてきたわ。楽しいのよ。時代の先、環境の一手先を呼んで、最善手を打ち続けるのが楽しいの」


 その時のフィリシスは、ラグラとまったく同じ笑顔を浮かべていた。そうして彼女は、冒険者ギルドの立っている方角へと視線を向ける。


「手伝うわ、ラグラ」

「フッ……」


 厳選王子は不敵な笑みを浮かべ、冒険者ギルドに向けて歩き出す。その時に浮かべた笑みの種類が、他のものとまた少し違うことに気づけるものは、この場には一人もいなかった。


「良いだろう、許可してやる。まずはダンジョン中の苔という苔を集める! 貴様の苔集めっぷりに期待しているぞ!」

「私を誰だと思っているのかしら。一億万年に一人の天才美少女よ」


 フィリシスも、やはり同様の笑みを浮かべてその後ろに続いた。


 この日は、ラグジュアリー・セレクションとフィリシス・アジャストメントにとって、互いに真の意味での同志を見つけた、記念すべき日となる。やがてそれは、帝国と冒険者ギルドに延々と語り継がれる、厳選伝説の幕開けでもあったのだ。





 が、





「フィリシス……。なんだこれは……」

「セミの抜け殻よ」

「誰がそんなものを集めろと言った! 俺は! 苔を集めて来いと言ったんだ、苔を!」

「なんか見つからないのよね……」

「そこにあるから! そこらじゅうに一杯生えてるから!」

「見つけらんないのよ! なんか、探そうと思うと見つからないの! あ、お腹減ってない? お菓子作ったのよ」

「それ材料絶対セミの抜け殻だろう! そうだろう!」

「味と食感と形状と摂取できる養分はプディングと同じはずよ」

「もう良い! 貴様は動くな! 何もするな! そこでじっと座っていろ!」

「任せて! 私はじっと座って何もしないことにかけても……」

「うるせー!」


 ちなみにフィリシスが連れて帰ったノイズラプターの子供は、ノイノイと名付けられて城で飼われることになった。

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