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森で美少女に助けられた  作者: 碧水
4/5

デイビッド視点

「誰かああ……助け…て!何でも…言うこと…聞くからぁ…もうムリ…助けてぇ!!」



女の叫び声が聞こえる。

何事かと剣を構え声のする方へ急いで向かった。


200mぐらい先に女が裸で倒れていた。


痴女か?


来た道を戻ろうとした時、フェンリルが女の方へめがけて走っているのに気がついた。


ああ。フェンリルに追われて逃げていたのか。こんな森に入るからだ。バカな女め。

この状況、どうしたもんやら。

助けるか?そう言えば、助けてくれたらなんでも言うこと聞くとか叫んでいたよな。

ちょうどいい。


ラッキーだったな。


そう呟いて女の方へ向い、フェンリルの首を切り落とした。







「おい。大丈夫か?助けてやったぞ。」


女に声を掛けるが一向に返事が返ってこない。...ん?気絶してるのか?


「起きろ。おいっ!おいっ起きろ!」


大きな声でモーニングコールをするが返事はない。



「おいっおいってば!」



今度は頬をかるく叩いた。


「おい。死んでいるのか?」



そろそろいらついてきたので頭を殴った。

女はやっと目を開けた。

瞳の色は漆黒。その色は吸い込まれそうなほどに深く美しいと思った。

黒髪黒眼。まずこの辺りでは見ない。

こんな森に入るぐらいだ。余所の国の旅人か異世界人なのだろう。



「やっと起きたか。随分遅いお目覚めだな!」


皮肉で笑みが零れる。


「おい。その汚い顔をどうにかしろ。」


本当に汚い。余程怖かったのだろう。涙と鼻水と土でぐちゃぐちゃだ。


「そんなことを言われてもどうすることも出来ません。私の顔なので。」


何を言い出したのかと、一瞬理解出来なかった。どうしてそう言う言葉の捉え方をする。

苦笑するしかなかった。

それにしても、女の喋りには少し驚いた。訛りがなく、上流階級の発音だった。これは、嬉しい誤算だ。使える。

まあ、それはさておき


「違う。その顔についた土や涙や鼻水をどうにかしろと言ったんだ。」


言葉と共にハンカチを放ってやった。



「おい。なに浸っているんだ。目が覚めたのだから、そろそろひざからどけよ。」


ひざの上に頭をおいてやっていたが、もうそろそろいいだろう。


女は立とうとして顔を歪めた。


足を痛めたのか?


「仕方のないやつだ。」


ゆっくりと起き上がらせてやった。

女は周りを見渡して目を見開いた。


「っっ…ここ天国じゃないの!?」


「はっ!?何を言っているんだ?ここはウガネラ森だぞ!どうみても森の中だろう!」


こいつ、頭でも打ったんじゃないか?頭大丈夫か?それとも元々なのか?


「えっ。えっ?だってあなたは天使でしょう?死んだ私を迎えに来た。」


ダメだこいつ。


「どんな発想してるんだ。とにかくここは天国でもないし、私も天使ではない。ついでにお前は死んでいないぞ。」


「えっえっえー!?なんで、私は狼みたいなヤツに食われたのよ!?生きてるはずがないじゃない!!」


混乱してるようだが、こっちが混乱しそうだ。どうやらフェンリルに殺されたと思っているらしい。


「お前はそもそも食われてない。」


苦笑するしかない。


「はぁ?だって私のすぐ近くまで来ていたのよ!?あいつは何処へ行ったって言うの!?」


「ほら」


そう言ってフェンリルの首を突き出した。


………また気絶してしまったんだが。

しょうがない。部屋に連れて帰るか…

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