表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
森で美少女に助けられた  作者: 碧水
2/5

2話 天使

「…………おいっ!おいっ起きろ!」



……ん?なんか聞こえる。おぼろげに人らしき姿が見える。なんだろう…



「おいっおいってば!」



今度は頬をかるく叩かれた。

そう言えば私、狼みたいな獣に追われていたんだった!そうして石につまづいて転けて、食われて、あれっ食われたんだっけ?おぼえてないや。

でも死んだのだろう。と言うことはここは天国か?

思案していると



「おい。死んでいるのか?」



今度は頭を殴ってきた。

痛いなあ!起きます起きますって!

目を開けると、とても美しい少女が視界いっぱいに入り込んできた。艶やかな腰ぐらいまでの長い金髪。吸い込まれそうなぐらい深く綺麗な青の瞳に透き通るような真っ白な肌、ほのかにピンクに染まった頬、そしてぷっくりとした整ったピンクの唇。


ああ、これが天使か…


「やっと起きたか。随分遅いお目覚めだな!」


ハッと笑いながら、天使が皮肉を言ってきた。てか、本当に天使か?天使はもっとお上品なような…いやまあ。天使にあったことないからしらないども。ただの勝手な私のイメージですが!それにしたって、口が悪いと思う。その麗しい美貌が台無しである。


「おい。その汚い顔をどうにかしろ。」


そんなこと言われても困る。確かに私の顔は可愛かったり美人だったりでは無いけれど、汚いと言われてもどうしようもない。

相手が美少女すぎる故怒こる気もしない。


「そんなことを言われてもどうすることも出来ません。私の顔なので。」


答えると天使は苦笑した。


「違う。その顔についた土や涙や鼻水をどうにかしろと言ったんだ。」


と私にハンカチらしきものを渡してくれた。

そう言えば、転んで、怖くて悔しくて泣いたんだった。きっと顔は酷いことになっているのだろう。

ひさしぶりにあんなに泣いたなぁ。会社の上司にしごかれた時でもあんなに泣かなかったのになぁ。死の危機に対面したのだから、仕方ないと言えばそうなんだけど。まあ結局、私は死んでしまったわけだけど。

死んでしまうと何もかもがどうでも良くなった。なんで、風呂の窓が変な森に繋がっていたのだとか。なんで、私は死ぬ羽目になったのかとか。あの獣はなんだったのかとか。

その全部がどーでも良くなってしまった。

そう言えば、天使様私が喋ったとき少し驚いたような顔していたな。なんでだろう。

そんなことも正直どうでもよかった。

天国はいいところだといいなとぼーっと考えていたら


「おい。なに浸っているんだ。目が覚めたのだから、そろそろひざからどけよ。」


と頭上から声が降ってきた。

ああ、そう言えば私は天使様のひざに頭を乗せて地面に横になった体勢だったんだ。

慌て起き上がろうとしたら足に激痛がはしった。転んだ時に挫いたところだ。死んだのに痛みを感じるとは、不服だ。

私の表情から足を怪我してるのを読み取ったのか


「仕方のないやつだ。」


とゆっくり起き上がらせてくれた。

そこで私はやっと異変に気づいた。

周りの風景がまだ森の中だ。


「っっ…ここ天国じゃないの!?」


「はっ!?何いてるんだ?ここはウガネラの森だぞ!どうみても森の中だろう!」


頭が混乱してきた。


「えっ…えっ?だってあなたは天使でしょう?死んだ私を迎えに来た。」


「どんな発想してるんだ。とにかくここは天国でもないし、天使じゃないぞ。ついでにお前は死んでないぞ。」


「え??なんで、私は狼みたいなヤツに食われたのよ!?生きてるはずがないじゃない!!」


頭がついていけない。


「お前はそもそも食われてない。」



相手は既に苦笑気味だ。


「はぁ?だって私のすぐ近くまで来ていたのよ!?あいつは何処へ行ったって言うの!?」


「ほら」


天使…じゃなかった。美少女が片手に私を食べようとしたヤツの頭をつかんで、私に突き出してきた。


不覚ながら私は本日二回目の気絶をしてしまった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ