水着を試着していただけなのに
その日、カズミは買ってきた水着の試着をしていた。今度友達と市内の海水浴場に遊びに行くのでかわいいものを買ってきていた。もし親父に頼んだら「男に見せるんじゃあるまいし必要ない、お前は学校の授業で使っているもので充分じゃ」と言われるので、お母さんに事情を話して五千円札を渡してくれた。
足らないのは自分の小遣いから出したが、派手な友達もいるのにスクール水着でいくのは恥ずかしいというもの、かわいい水着が買えて本当によかったと、ウキウキしていたところ。ドアが開いて誰か入ってきた。
しまった、ドアの鍵をしていなかった。と焦っていたところ、入ってきたのは兄の弘樹だった。弘樹はカズミが通う高校に隣接している大学に通っているが、正直成績はいいとはいえなかった。どちらかといえばオタクのタイプであち、同級生から「美少女とオタクの兄妹」とからかわれていた。しかもウジウジしたところがあって男らしくなく頼りなかったので、いつも一言注意したくなるような兄だった。
そんな弘樹が入ってくるなりいきなり弘樹は大きな声で「そうだ!カズミをロボットにすればいいのだ」と叫んだのだ。いきなり、妹の水着姿を見ての会話とは思えない。本当は詫びの言葉をいってもらいたいし、次いでカワイイ水着ねとほめても欲しかった。
それでカズミは思わず「変なことを言わないでよ馬鹿兄貴!あたいを改造人間にでもするつもり?そんなスキルもないくせに!変態!」と水着姿のままで罵ってしまった。本当に訳のわからない事を口走るオタク野郎と憤慨していた。