私をモデルにするの?
「望月君、それってどういうこと?」と呆れるような声で早川カズミは自分の部屋に誘ってしまった、兄の弘樹の大学の同級生、望月智彦のお願いに聞き返していた。
望月は兄の昔からの友達で中学生の時からチョクチョク遊びに来ていたので、警戒感がなかったがカズミももう高校三年生。年頃の女になっているのに若い男を自分の部屋に入れる意味を失念していたが、変な事にならなければいいと心配し始めたところだった。
もし、秘め事をしてしまった日には、あの馬鹿兄貴におっかない親父に告げ口されてとんでもないことになりそうだった。親父はよく「ワシのところに彼氏を紹介してもいいが、そいつがお前にふさわしいか折檻してやるぞ」と言っており、望月のような男ではたぶん無事にすまないように思っていた。
そう心配していたところでお願いされたのは、「カズミの全身石膏像を作らせてくれ」だった。なんでも銅像といっても強化樹脂製のオブジェを作りたいので、カズミの身体を原型にしたいというものだった。実際の製作は従姉妹の工房で製作するので問題ないというが、少し不安になって「あのう、あたいは裸にならないといけないの?」と聞いたら。「大丈夫、古着かなんかを着とけばいいよ」といってくれた。
カズミはその後、どのようなオブジェを作るのかの話をしたが、その様子を見ていた兄、弘樹にもっと変な事を頼まれるのはその数日後だった。