TRY-9 悪役(わたし)の恋事情の話 side林檎
有央の新しいターゲットが決まった。佐伯柚子ちゃん…。今日、転校してきたばっかの子。いくらなんでも転校生に手を出すのは早すぎやと思うたけど、有央は転校生やろうと女は女って言うた。私はあえて何も言わずにただ、頑張ってとだけ伝えた。何故かと言うと、私だけが有央の理解者やだら。「有央には私しかおらん」そう思うと何だか有央に何も言えなくなる。本当は、有央の理解者になれとらん気がする。だってほら、今日もまた有央に抱かれとる。有央に抱かれて、有央を受け入れて、有央を理解しようとしとる。一緒に、側におるだけじゃ有央が分からなくて、肌を重ねて有央を分かる。私って最低な女や…。でも、ごめんな有央。愛のない行為やって分かっとっても、有央に抱かれる事が、求められとる事が、有央と肌を重ねられる事が私は嬉しいんや。
-有央が好きやから…。
分かりきっとる。この恋は叶わへんって…。やから、誰にも明かさへんで私の胸だけに、しまっておくんや-…。
よしっ切り換えて!佐伯柚子ちゃんとの接触を図りますか!有央はいつも新しいターゲットを必ず私に教えてくる。そのターゲットに私があらかじめ接触し、有央がその子に気がある事、私と有央の関係が親密である事を明かす。そして彼氏ナシの確認が取れたら、トドメの一撃で
「もし有央と付き合いたかったり仲良くしたかったりしたら私に言ってな?私が2人の仲をとりもってあげる♪」って言うんだ。それでターゲットが「ウソ?ありがとーっ!」とか肯定の言葉を発したら、完全に黒。有央に遊ばれることになる。ちなみに黒とは、ターゲットが有央と付き合いたいとか、肯定の言葉を言ったり、遠慮・否定の言葉を言わなかったりしたら、いつか男を捨てるとみなして有央に遊ばれる事。それを私は事前に調査して黒か白かを有央に報告する。いわゆる、探偵とかスパイとかって言うヤツ。悪い女な役やけど、全部有央のためやから頑張ってるんや。こんなに辛くて、面倒な事、有央だから受け入れられる。有央のためだからできる。さて…
今日も私は悪役になります。
愛する有央のために…。