TRY-7 林檎(理解者)の話 PART1 side有央
狩人旭の元凶の事を思い出してたらだんだん気分が悪うなってきた。次…サボるか。俺は迷わずサボりに出た。向かった場所は俺のお気に入りの場所。つってもいつもそこでサボってるだけなんやけど。屋上の貯水槽の上。太陽がポカポカ当たって気持ちいーねん。どかっと貯水槽の上に座ってそのまま寝っ転がる。あー今日も良い天気やなーとか呑気な事考えてたら、思いっきり屋上のドアが開いた。げっ来たか…。俺がサボると決まって俺を探しに来る邪魔者…。
「有央ーっおるんやろー?出てきなさーいっ!」
「うっせー、邪魔者!」俺は貯水槽の上からひょっこり顔を出して邪魔者ならね林檎にそう言った。
「ちょっと!邪魔者って何やねん!あんたの心優しい理解者でしょーが!」
「じゃあ言わせてもらうけど、心優しい理解者なら俺がサボる度に毎回毎回俺を探しになんて来ませーん!」嫌味ったらしく言うと林檎は反論せず俺を心配しだした。
「だって有央、顔色悪かったんやもん。また、ターゲット変わったん?」これもいつもの事。ターゲットが変わると決まって元凶の事思い出して気分が悪なる。それでここにサボりに来て林檎が俺を探しに来る。最終的には林檎もサボるっちゅうパターン。
「変わったで。次は佐伯ちゃんにした♪」
「佐伯ってあの佐伯柚子?!」林檎も上に登ってきて隣にちょんっと座った。
「おん。何かダメな理由でも?」
「理由も何も転校生やん。」
「だってかわええやん!それに…転校生やろうと女は女や。」たまに出る、黒い俺。
「そやね。頑張ってちょっ!」それを見ると林檎は何も言わなくなる。
「ラジャ!」それは林檎は俺の闇を知っとるから。俺の唯一の理解者やから…。
「なぁ林檎?」
「ん?何?」
「まだ、気分悪い…抱かせて?」これもいつもの事。もう日常化してる。
「ええけど、ちゃんと避妊してな?」気分が悪かったり、黒い俺が収まらなかったりすると、決まって俺は林檎を抱いて収める。それは林檎も承諾済みや。
「うぃっす。」俺は林檎を押し倒した。今日も始まる。俺のためだけの、愛のない行為…。俺を助けようと、理解しようと林檎は必死で俺を受け入れる。そんな林檎を見る度、俺の胸は激しく締め付けられる。
俺が初めて林檎を抱いたのは中1の春やった…。