TRY-6 元凶の話 PART2 side有央
小5の俺にはまだ知るには早い感情を色々知りすぎた。それこそ俺が負った傷は一生治らへんし、かさぶたにもならへんやろう。復讐の相手は母さんやない。女全員や。後々女が誰かを捨てるんやら、それより先に、捨てられろ。捨てられて悲しみを、怒りを…憎しみを味わえ!そうすれば、もう…誰も女に捨てられへん。
「有央っ?!」鍵を閉めていなかった玄関から人が入ってきた。俺は床に寝っ転がってボーッと天井を見つめていた。
「有央っ?!いるんやろ?!」俺のいるリビングにイライラした声の人がきた。
「林檎…。」家に入ってきたのは葵池林檎、俺の幼馴染みやった。
「ちょっと有央っ何でそんな所で寝てるん?!それでどうしてランドセルがあんな所にあるん?!」林檎は責任感が強くてしっかりしとる。
「有央の叫び声がしとったから来てみればこの有り様!いったい何があったん?」ついでに言うと家も隣。
「なぁ、林檎…。」あっと思い立って俺は立ち上がった。
「な…何よ…。」いくら強くても林檎は女。無論、俺の敵や…。
「林檎って…女やったな?」俺の奇妙な質問に絶句しとる。当たり前か…。
「きゃっ…ちょっと有央!何してんねん!」俺は林檎が絶句しとるうちに林檎をソファーに押し倒した。
「何って…わかるやろ?楽しいことやん。」林檎が抵抗できへんように両腕を頭の上に縛り上げた。
「…///って私達、まだ小学生だよ?!」
「んなもん、関係ねーやろ。」焦る林檎をよそに俺は林檎の服に手をかけた。
「っ!良い加減にせぇへんかこのっバカ有央ッ!」そう言った林檎は俺の股間を力いっぱい蹴っ飛ばしてきた。
「~~~!ってぇ!!!何すんねん!」俺は蹴られた衝撃で股間をおさえて飛び上がった。その隙に林檎は体を起こして俺に
「何すんねんはこっちのセリフや!お前は阿呆か!」と言った。
「…悪い。」この時俺は思った。林檎には一生手が出せへんと…。
「…で?何があったん?」だいぶ落ち着いてきた俺にそう問いかけてきた。こいつには言う必要なんてあらへん。これは俺自身の問題なんやから。そう考えとったら林檎がいきなり俺を抱き締めてきた。
「私…信じてるから!有央が理由もなしにあんな事するはずないって。」
「……俺、母さんに…捨てられた。」一瞬、林檎の抱き締める力が弱なった。
「そんなはず…あらへんっ!」
「嘘やない。机の上にある15万。母さんが置いてった。灰皿の中の灰…春の遠足で撮った母さんとの2ショット写真。俺が燃やした。母さんの部屋…母さんのものなんて何ひとつ残ってない。母さんの姿も、声も、匂いも何ひとつ…残ってない。」そう言いながら、俺は泣いていた。
「俺には…もう、誰もいないんや。林檎…俺、女に復讐するから。簡単に言うとプレイボーイになるから。だから林檎、お前は俺に近寄るな。林檎も女や。簡単にお前を敵にまわせる。そうなったら最後…林檎、お前はさっきの続き、俺に最後までやられるで?」
「有央には誰もいなくない!有央、私がいるで?私が有央の1番の理解者になる!有央を独りになんてさせへん!だから、ずっと有央の側におるっ!」林檎は泣きじゃくりながら俺にそう訴えてきた。
「わかった。わかったから…。林檎、俺の側にいてくれる?」
「おんっ。」
「言っとくけど林檎が側におったって復讐はやめへんからな?」返事の変わりに俺を抱き締める力が強くなった。
これでわかったやろ?狩人旭の元凶は俺自身の母親やったんや。