男達の考察〜ヤンデレとメンヘラについて
「病んでる女の子って可愛いよな」
「はいはいドM乙」
「違えよ何でだよ! そして最後まで話を聞けよ!」
「お前と話したってろくな結論にならねぇじゃん」
「誰のせいだと思ってんだ。そしてどの口が言う、どの口が」
「はっ、しゃーねーな。付き合ってやるよ」
「何で上から目線だ。まぁとにかく、そそるじゃんか、ヤンデレ属性の女の子って」
「生憎俺の趣味嗜好はノーマルだから知らんが、一応理由を聞いてやろう」
「二次専のどこがノーマルだ。思いっきり振り切れてるじゃねぇか」
「悪いか、あぁん? ヤンデレだって現実に存在しねぇ時点で似たようなモンだろうが」
「は、はぁ? ちょっと何言ってるか分かんないですね」
「じゃあ具体例挙げてみろよ。どうせ現実のヤンデレ(笑)なんてメンヘラだろ」
「言いやがったなテメェ。それは俺を含めた全ヤンデラーを敵に回したと、そう認識して良いんだな?」
「ヤンデラーって何だよ、ヤンデラーって。そこまで言うならお前、ヤンデレの魅力に付いて語ってみろよ。そこまで言い切るからには、さぞや素晴らしい考えをお持ちなんでしょうなぁ」
「勿論だよ! 存分に語って聞かせてやろうじゃねぇか。まずはほら、あれだよあれ」
「あれって何ですかー? ちゃんと名詞を使って説明して下さーい」
「その顔と言い方ムカつくなオイ。だからつまりだな……」
「最後まではっきり喋って下さいよー。全く聞こえませんが?」
「ぶっ殺すぞテメェ」
「あれあれー? 意気は良いけど肝心の反論が全然ありませんよー? まぁそうだよな、所詮お前はその程度の薄っぺらい人間って事だよな」
「意味分かんねぇよ。何がどうしてそうなるってんだ」
「要するにだな、お前はヤンデレという属性が好きなんじゃなくて、ヤンデレというジャンルが好きだと言い張ってるだけなんだ。あるいはブランドと言い換えても良い」
「……つまり、何が言いたい」
「だからお前は駄目なんだよ。どうせお前、未○日記とかひぐ○しとかの有名所しか知らねえんだろ」
「……あぁそうだよ。どうせ俺はにわかですよはいはいすいませんでした。でもじゃあお前は二次元という物の魅力に付いて、万人が納得できるような答えを返せるんだろうな」
「お前と一緒にするなよ。まず第一に、二次元というのは理想を限りなく近い形で実現させる事が出来る、その気になれば完全再現だって不可能じゃない。強姦でも猟奇でも洗脳でも人外でも、倫理的物理的現実的に不可能な事柄だっていくらでも思いのままだ。お前の好きなヤンデレだって余裕だぜ?」
「……」
「第二に、絶対に裏切られる事が無い。そりゃあ多少の例外はあるが、どんな漫画でもアニメでもラノベでのゲームでも、大抵は大衆の望む終わりに持っていく事が出来る。どうしても気に入らなきゃ二次創作って手もあるんだから、バッドエンドやら鬱エンドやらが好みの奴らでもカバーできる。そういう意味じゃ、期待外れなんて事は皆無と言って良いだろう」
「……お前凄えな。初めてお前を尊敬した気がするわ」
「第三に———」
「もう結構です! お前の二次元への愛は充分伝わったから! 今回は全面的に俺が悪かった!」
「何だよ、もう良いのかよ。まぁとにかく、これで俺とお前の格の違いは証明された訳だ」
「あぁ。ついでにお前が魔法使い一直線コースだって事も証明されたな」
「何か言ったか賢者?」
「だ、誰が賢者だ! そんなモン絶対なるかっつーの!」
「あーそっかそっか。お前はヤンデレの女の子によく分からない内に恨みを買って嫉妬されて監禁された上で最終的に刺されて死ぬんだっけ」
「何それ何てご褒美? どこの理想郷? どこ行けばやってくれんの?」
「……お前がにわかだというその一点に置いては発言を撤回しておこう」
「ん、何がだ?」
続