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Single Love  作者: 心&tihiro
9/9

9、Good Bye 


私は放心状態になって、

私の身体は震えず、

もう既に固まっていた。


「由衣!」

翔くんはとっさに叫び

由衣の肩をつかむ

「なに!こいつをかばう気!?」

「う…。」

「後でどうなってるかわかってるの!」


翔くんは私の顔を見ると

唇を噛み締める。


『春、これ…もしかして。』

裏切り。

友達だと…私の唯一の友達だと…


「友達…?はっ!笑わせないで!」

「由衣…」

「あんたに呼んで欲しくない!!

私が求めてるのは…あんたじゃない!」


由衣は私に向かってビンタしてきた。

私は頬がジンジンすることがわかる。



翔くんはびっくりして、

私と由衣の傍に来て

由衣の腕を引っ張る。

「なにすんだ由衣!

約束忘れたのか!?」


約束?なにそれ。


「は?何のことかなぁ?」

由衣はきつい口調で言った。

「僕が由衣…お前と付き合えば

春に何もしないって言ったじゃないか!」


え?…なにそれ。


「あんたが…翔は…

付き合っただけじゃん!

他にはなにもしてくれない

こいつばっか構ってさ

私にはさ…何もしてくれないじゃん!!」


由衣は翔くんが掴んでいた手を振り払い

叫んだ。

由衣は…泣いてる。

由衣の言葉から…翔くんへの

愛が伝わってくる。

震えてる…必死に伝えようとしてる。


「僕は由衣が好きじゃないから…」


そぉ…私が知らなかったことばかりで

私は…何もわかってなかった。


「なんで…好きになってくれないの…」

由衣はしゃがんで泣きじゃくっていた。


私はベッドから降りて由衣の頭を撫でた。

「触らないでよ!…私のこと

みじめだって思ってるでしょ。

あんたは愛されてるからって…。」


撫でてる手を弱い力で叩く由衣。

「どうせ…私なんていつも1人だよ。

友達も…彼氏も…いない。」


由衣は服で涙を拭き下を向く、

私はポケットの中にあるハンカチを

出して由衣に渡した。


「私は…友達だょ?」

私は由衣に微笑みかける。

たとえ裏切られたって分かっても

やっぱり由衣は私の友達。


「あんた…優しいよね、

いつでも誰にでも。」

由衣は私に睨みかける。

そして、ハンカチをとる。


「私は友達が欲しくて欲しくて

話しかけて仲良くなっても

結局は私1人になった。

けど由衣は違ったよね。」


「私のせいだもの。それ」


ん?

「どういうこと?」

「私があんたの悪口を広めたの

皆真に受けてあんたから離れていったんだよ」


私は由衣のおでこにデコピンした。

「いっ!…」


「バーカ!それで離れていくなら

ほんとの友達じゃないよ。

本当に友達だと思うなら

真に受けないし、離れていかないよ。」


でも由衣は、いつまでも一緒にいてくれた。

離れる事なんか簡単だった。

嫌いなら、すぐ離れてく、

でも由衣は私と仲良くしてくれた。

色んな話をして楽しく喋ったもの。


由衣は、私の友達。


『本当に、由衣が好きなんだね。』

「当たり前。友達だもん」


「私は…春が羨ましかった。

でも、翔と仲良くしてるから

嫉妬しかおきなかった。だから…」


「翔くんが好きなんだね。」

由衣は頷く。

私は翔くんを見て何かしろと

言わんばかりの目線を向けた。


「え…。うーん」


翔くんは考え込み手を顎にあてる。

私は、翔くんの背中を押して

なんとかさせた。


「うわぁ!…ゆ、由衣。

好きになってくれてありがとう。」


しゃがんでいた由衣は立ち上がり

翔くんのお腹を一発殴る。

「うっ!…」

「いいもん!今は春に渡すし、

いつか奪うし。」


由衣は翔くんを殴った後

私の前に来て、頭を下げた。

「ごめんなさい。辛い思いさせて。

でも…友達のままで…。」


「当たり前。」

私は由衣に抱きつき耳元で囁く。


「ずっと友達。」

「う…うんー」

由衣はまた泣いて、私が由衣が持ってた

私のハンカチをとって

由衣の顔を拭いた。


「私帰る。ありがとう」

由衣はお礼を言うと病室から出て行った。


「大変だったな。」

翔くんは私を見つめ頭を撫でる。


「私は何もしてないよ。

翔くんこそ、私のために頑張ってくれたみたいで。」

「僕はただ、春を守りたかっただけだから。」

『よかったね。春』


レインは私に笑いかける。

私もレインに笑い返す。


あれから翔くんは私に全部話してくれた。

二ヶ月前のあの日の事も。



もし春を傷つけられたくないなら

私と付き合って。

もし告白されたら

私のことが好きだからって断って。



その由衣の言葉に翔くんは従い

あの二ヶ月前の告白にいたる。


「ごめんな、傷つけて。」

「大丈夫だよ」

『嘘つき』

レインは私に向かって渋い顔で指をさす。


「う、うるさい!」

「僕はずっと春が好きだから。」

「あ…うん。」


翔くんは私を見つめて言った。

私は急に恥ずかしくなって

顔を下に向ける。


「僕が春を守ってあげる。」


ずっと守ってくれた。

私の見えないとこで

守ってくれた。


私は顔を上げて微笑む。

「私も翔くんが好きだよ。」


両思いだったんだな。

ずっと好きでいてくれたんだな。

嬉しいな…。


『じゃあ、僕は帰るね。』


レインが私に呟く。

どこからか寂しいそうだった。


「え…なんで。」

『僕の役目はこれでおしまい。

君の…春の恋が叶ったから

もぉ僕はいらない』


悲しそうで辛そうだけど

無理して笑顔を作ってることがわかる。


「大丈夫!春は僕に任せろ!」

『少し心配だけど…まぁ、

大丈夫な事を信じてる。』

「おぅ!」


翔くんは自信たっぷりに言い張る。

レインは私を見ると微笑んだ。


『春…バイバイ』


レインは手を振る

私は急に涙が出てきて

泣きそうになった。


「僕がちゃんと傍にいるから。」


そういって翔くんは私を抱き寄せる。


「レイン…また会おうね!」


私は涙が止まらなくなり号泣する。

レインも涙目になりながらも

笑顔を消そうとしない。


「『バイバイ』」


レインは私の目の前で砂のように…

塵のように消えていった。


「いっちゃったね。」

「うん。」


短い間だったけど…

ありがとう。


ー終わりー

読んでくださってありがとうございます。


無事に終わりました。


最後まで読んでくださった方

ありがとう^^

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