6、Passion For
「あー、春ちゃんだぁー。」
突然蓮さんは私を見て
猛ダッシュしてきた。
「かわいいなぁー。」
「おい蓮、春から離れろ!」
翔くんが黒い微笑みを浮かべ
蓮さんのえりを引っ張り
引きずろうとする。
「えぇー、春ぅー」
んー。一体誰なのだろう。
なぜ私を知ってるのかな?
「え、えっと…私。」
私は困ってしまい、どうすればいいのか
わからずおどおどしていると、
『ねぇねぇ、あの人変じゃない?』
「変?」
私はもう一度蓮さんの方を見る。
翔くんが勘付いたみたいに私に近寄る。
「言っておくけど、蓮は男!だから」
「『えぇー!!』」
あんな綺麗な顔してて、
綺麗な髪をしている。
ツインテールの髪は金髪でモデルみたいに
とてもスタイルもいい。
まぁー声は…低かったから違和感があったけれど
あんまり気にしてなかった。
「だから気をつけろよ。
あいつは…一匹狼だからな!
いつ襲われてもおかしくねーから。」
へぇー。
男の子って…皆ヘンタイ?
私は分身の顔をじーっと見る。
『僕をあんな人たちと比べるな!』
分身はそっぽを向いて
ふんっと言わんばかりの顔をしている。
「じゃあ…翔くんも?」
「え?」
私はいきなり翔くんに質問をしたせいか
驚いているようだった。
「だからぁー、翔くんも一匹狼なの?」
「ななな、そ、そんなことは…」
翔くんは動揺を隠せず、おどおどしている。
そうすると蓮さんが、
「こいつは、ちょー、一匹おお…」
「おい!」
翔くんは蓮さんの口を塞ぎ耳元で何かを囁いてるみたいだ。
「んー!!」
蓮さんは何度も頷いて
翔くんの手を口から剥いだ。
「もぉ、いいもん!翔なんて知らないんだから!
ばいばい!!」
「ちょっと待て」
蓮さんが逃げようとしてるとこを止める翔くん。
「春、ちょっと待っててな」
そういうと翔くんは私の頭を撫でる。
私を撫でた後、翔くんは蓮さんを連れて離れていった。
なにか話してるようだ。
『何話してるんだろうねぇ』
「さぁー。」
『それにしても翔あの時何言おうとしたんだろうね。』
あの時?
・・・
「でも翔くんは…由衣が好きなんじゃ…」
「ごめん…それは…!」
・・・
「あの時…」
『なにか熱い思いを感じた。』
私もわかってた。
必死に何かを伝えようとしてるようで。
『君もわかってたんだ。」
「そりゃあ…ね」
翔くん…。
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