12.二人の目撃
「今日の夜ご飯はなにかなぁ~」
秋路と夕食をした数日後の日曜日。
由子は彼氏の智光とデートをしていた。今はその帰り道。由子は帰宅した後、智光が作ってくれる晩御飯に期待を膨らませまくっていた。それも智光のご飯がとてつもない美味だからでもあるし、由子が食いしん坊だからでもあった。
「それは、ご飯が出来てからのお楽しみです。そうですねぇ、最近寒くなってきたので温かいものにしようかな」
「うんうん!温かいの賛成!」
近頃は日が暮れると秋の装いでは寒くなる時期になっていた。今も日がだいぶ落ちてきて外は冷えてきていた。
「わくわく!でも、お腹すいたよ~」
「帰れば作り置きのおかずがありますから、もう少し我慢してくださいね?由子さんにあまり僕の以外の料理を食べてほしくないんです」
「ふふふ、それって独占欲?」
「そうかもしれませんね。…あれ?」
「ん?どうしたの?ミツ君」
「いえ…ちょっと知り合いがいて」
前方を見る智光の視線の先を由子も見た。
「どの人?」
「あのヒラヒラの格好したツインテールの女の子です」
「め、目立つね…」
二人の前方、少し先にいるその人物は電柱の陰に隠れるように、側にあるコンビニをジッと見つめていた。
「大学の友達の彼女なんです。ちょっと変わった趣味の子なんですけど…」
「え?ミツ君よりも?」
「ヒドイ由子さん。…でも、いい勝負だと思います…」
智光はその可愛らしい見た目にとてもよく似合う女装をするのが趣味である。しかも、あまり声を大にしては言えないが、その姿を人に見られることで快感を覚えるといった楽しみ方もあったりして…。
「ウソ?ミツ君が認めるほどなの…それはすごいね」
「だから、その僕の友達は大変そうで…」
「ふふ。私は大変だと思ったことないけどね。むしろ可愛いから大歓迎?」
「さすが由子さん、大好きです」
「んー可愛いなぁぁ!」
嬉しそうに微笑む智光を見て由子は悶えた。
しばらく二人が立ち止まって話していると、その女の子が見つめるコンビニの自動ドアが開いた。
「あれ?あの人って…あきちぃの知り合いさんかも」
コンビニから出てきた人物に見覚えがあり由子は呟いた。
その人物はこの間秋路が追いかけていった人物だった。
「え?…待ってください。あの人美々子ちゃんにあとをつけられてないですか?」
「みみこちゃん?」
「あのツインテールの子ですよ」
「…うん、そうだね。どうしたのかな?」
由子がその子を目で追っていくと、物陰に隠れながら本当に秋路の知り合いをつけている様だった。
「美々子の趣味はストーカーなんです。本人は人間観察とか追っかけとか言ってますけど。好みの人を見つけたら、毎日つけまわしてジッと見つめるんです」
「すごい。本物だね…」
「これはサトちゃんに連絡した方がいいかな」
「サトちゃん?」
「あの子の彼氏です。美々子はサトちゃんの言うことしか聞かないんです」
言いながら智光は急いで携帯を取り出す。
「なるほど。じゃ私あの子見てるね」
「すみません、お願いします。
…あ、もしもし、サトちゃん?あのね…」
二人は美々子をつけながら、智光は彼氏に電話で状況を説明した。
「…え?サトちゃん来るの?…わかった。じゃこっち着く頃また連絡して。じゃ、後でね」
「彼氏君、こっちに来るの?」
智光が通話を終えると、由子は携帯を取り出しながら尋ねた。
「はい、そうみたいです。この近くにいるみたいで、すぐ来るって言ってました」
「私もあきちぃに一応メールするね」
「由子さん、すみません…。サトちゃん来るまでこのまま美々子を…」
「うん!後をつけよう。私もあきちぃの知り合いさん心配だし」
「由子さん、ありがとうございます」




