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11.秋子のお願い

その後、二人は楽しく夕食を食べ終え、店を出て駅へ向かって歩いていた。

「あきちぃ、今日は話してくれてありがとう」

「いいんだよ、由子と享子がすれ違ったままなのは嫌だしな」

「うん、私頑張るね。…ん?あきちぃどうしたの?」

急に立ち止まった秋路を見上げ、由子は首をかしげる。

その秋路は車道の方をじっと見つめていた。

(あの人は…)

それも反対側の歩道によく知った人物を見つけたからだった。

「なんで秋子さんがこんなところに…」

「え?あきちぃの知り合い?」

由子は秋路の視線の先を見る。

「由子、悪いここで解散でもいいか?」

「あ、うん!大丈夫だよ」

「ごめん。じゃあ、また会社でな!」

「うん、またね!」

秋路は由子の声を背中で聞きながら走った。


「秋子さん!」

「え?」

秋路は走ってやっと秋子に追い付いた。

振り返った彼女は息を切らす彼を見て驚いて目を見開いた。

「どうしたんですか?こんなところで」

「あ、鮎川君か。…いや、ちょっとね。バイトも休みだし、暇だからフラフラしてたんだ。このあたりで君が働いてると聞いたから、偶然会えたりしないかな、なんて…」

「連絡してくれれば俺が行きますよ。こんな遅くにあなた一人は危ないですから」

「そうかな?」

「ただでさえ目立つんですから。外をフラフラしたら、面倒なことになるのはあなたが一番よくわかっているでしょう?」

「……」

(どうしたんだ?なんか様子がおかしい…?用もなしに外を歩けば、女性が寄ってきて面倒なことになるのはわかってるハズなのに…)

「まぁ、でもこうして君に会えたからいいじゃないか」

秋子はそう言って嬉しそうに笑った。

「それに君だって私とたいして変わらない」

「まぁ、それは…」

(気のせいだろうか…)

秋路は自分のことを言われてしまうと、秋子の行動もおかしいとは言いきれなくなった。

「ねぇ、今日家に帰りたくないな。泊めてくれない?」

「…秋子さん?」

「ダメかな?」

「…ダメなんて、言えるわけないじゃないですか…!」

彼女に照れくさそうに見つめられてしまえば、さっきまでの懸念事項はあっという間に吹き飛んでしまう単純な秋路だった。

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