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冒険者通り十三番!  作者: 鼠色猫/長月達平
第二章  『部屋の片づけは協力してやりましょう』
9/21

『片付け終わって団欒の時間』

 昼を少し回った辺りで、全員が切りよく小休止を挟むことになった。フロアに五人が集まり、それぞれの進行状態などの話題に華を咲かせていたところだ。


「そだ。片付けとかに夢中になっちゃったけど、お昼ご飯まだじゃない」


 ティファが笑顔でそう発言した瞬間、ティファ以外の全員の表情が死んだ。その異変に気づかないでいるティファに対し、最年長のバルトが先陣を切る。


「ドワーフという種族はだな……一日は晩飯だけあれば満足なのだ、これが」


 早々と逃げの布石を打ちやがったバルトに追従するように、次はプリカが手を挙げて、


「実はエルフも水と光があれば食事はいらないんです」


 お前は光合成する植物か何かか、と視線で問うも目も合わせようとしやがらない。残念ね、とティファは疑う素振りもなく信用した様子で、その純真さが恨めしい。


「ティファさん、食材もタダではありませんヨ。昨晩の食事でこちらとしては満足しておりますから、昼食につきましては各々が用意するということでネ?」


「そ、そうそう! それに正直、俺は今そんなに腹減ってないんだよ。昼飯はあれだ。小腹が空いたら外で適当に済ませっから……」


「むぅ、確かにお金は……でもアル。王都の通貨、持ってなかったじゃない」


「うぐぉう、俺のバカ!」


 ノエルの提案の尻馬に乗ろうとして落馬する。が、ここでデッドフラグを踏んでたまるかと、ノエルの肩に手を乗せて、


「いやぁ、実はさっき仕事を手伝ったときに、ノエルが礼をしてくれるってんでさ。俺はいいって言ったんだけど、そんなわけで飯でも食いに行きましょうよノエルさん」


「何でお礼される側が敬語でへりくだってるの?」


「イェイェイェ、急ぐような話ではありませんヨ? ここはティファさんのご厚意にドロドロに甘えてみてはいかがでしょうかネ」


 頼る相手を間違えたのか、あっさりノエルはアルを切り捨てた。というか、さっきの無辜の民を救う発言はどうしたんだこのシスター。


「あ~れ~、ノエルちゃってば何を言ってるのかなぁ。貸し借りなんざとっとと清算しちまった方が今後のためだと思うので俺のエスコートに乗れよレディ」


「ハハハ。でしたらそもそも貸し借りなんて作らないところから始めてみてはどうですかネ。それが一番だと思いますヨ~」


 笑顔で稲妻をぶつけ合う視線の応酬、その醜い闘争に終止符を打ったのは不機嫌そうなティファの咳払いだった。彼女は微妙にご機嫌の傾いた視線でアルを睨む。


「短い時間でずいぶんと仲良しになったのね。喜ばしいことだわ」


「これから一緒の店をやってく仲間だからな。まったくもってその通りだ」


「イェイェイェ、親睦を深めるのはよいことですけれどネ……」


 ティファが肩を震わせることに気づかず、二人は口論を再開しようとする。その眼前でティファは大きく手を叩き、椅子を蹴って立ち上がると顔を背けた。


「そんなに仲良しならお昼もご一緒にどーぞ。あたしはあたしのお昼作るからっ」


 そのままティファの体重では考えられない足音を立てて厨房に消えていく。その背中が見えなくなると、全員が緊張感をほどいて長い息を漏らした。


「ノエル、お前、恨むからな……仲間甲斐のない奴め」


「おやおやおや。私はただ単に、アルさんとティファさんがもっと仲良くなればと思っただけですヨ? 他意や悪意や害意や敵意や反意は全然なくてですネ」


 いけしゃあしゃあと言ってのけるノエルをアルが睨みつける傍ら、厨房の方を見つめながらバルトが困ったように呟く。


「しかし参ったぞ。ティファには自分の料理のことで自覚はないのか」


「いけませんよ、バルトさん。そんなはっきりとティファさんの味覚が異常だなんて」


「味覚と断定した時点で貴様も同じこと考えとるだろうが!」


「ご自分でも食べてらっしゃいましたし、ティファさんの味覚には適応してるとしか」


「気づけぬ分だけ性質が悪いな……。正面から言おうにも、好意以外の感情が料理にないから否定してやりにくいぞ。今後の食事はどうするべきか」


 こちらはこちらでティファの料理の腕前を心配しながら、先ほどの言葉が真っ赤な嘘であったことを告白しあっている。まあ、疑うまでもなかったわけだが。


「種族違いはいいよな。あんな突拍子のない嘘で誤魔化せて」


「嘘ではない。ドワーフは一食あれば、三日は空腹を誤魔化せる」


「普通に絶食して三日はもつってだけだろ。俺だってやれるわ」


「まあ。エルフだって水と光があれば二週間は死に至りませんよ」


「だからそれも絶食状態を誤魔化しながらって話だろ。人間族と一緒じゃねえか」


「ちなみに教会には神への信仰心を示すため、一週間飲まず食わず眠らずに祈りを捧げる荒行がありますヨ」


「まさに狂信のなせる業だよ」


 がやがや四人で醜い人間性を押しつけあっていると、不意に店の扉が開くベルの音が鳴った。クローズの札がかかっているはずの宿に足を踏み入れてきたのは、いかにもガラが悪いという形容詞の似合う四人組だった。


「おうおうおう! 貧乏宿だってのに休業なんかしてんじゃねーぞ。働け働け!」

「働こうにも客がいねーから、開店休業中ってなもんだけどな!」


 入ってきて早々に唾を飛ばし合う男達は、ふと自分達を見つめるアル達に気づいて、小さく歓声を漏らしながらいやらしい笑みで近寄ってくる。


「あっれー、まさか客? この店に客なんざ来んのかよ。頭おかしいんじゃねーか?」


 一番若い男が自分の頭を指差して、くるくると回しながらこちらを嘲笑う。


「おい。なんだ、この人生幸せそうな小童共は」


 バルトが怒りを通り越して呆れたように腕を組む。プリカとノエルもそれぞれ無言の態度を貫こうとしていた。その沈黙の中、男の一人が突然の大声で叫んだ。


「ア、アニキ! こいつ、昨日のガキですよ! いきなり殴りかかってきたガキ!」


 怒りに震える指でご指名されたのはアルだった。アニキと呼ばれた男も目を見開き、にわかに彼らは色めき立つ。が、生憎アルには何のことだかよくわからない。


「まあ。この少し残念な方々とアルさんはお知り合いなんですか?」


「全然知らない人達。ちょっと危ないみたいだから目を合わせないようにしよう」


「シカトこいてんじゃねーぞ、ガキ! なに完全に知りませんみたいな顔してんだ」


「完全に知りません」


「なに完全に知りませんって言ってんだ! 思い出せ! 俺らを山でボコったろ!」


「自分達の敗北をそんな男らしく言われてもちょっと……プライドないのかなって」


「お前は脳味噌がないのか!? そっちの方が深刻だろうがぁ!」


 頭を抱えて腰をひねり、全員でスパイラルに叫ぶ四人。同情心から思い出そうと記憶をいじって単語検索、昨日、山の中、アルにボコられた、脳味噌――検索終了。


「ああ、俺が森の精霊に体を乗っ取られた際に被害を被った悪漢達」


「なに自然な流れで大自然のせいにしてんだ、完全にお前がやっただろうがぁ!」


「おまけに山の中放置だ。アニキは危うく魔物に尻をかじられかけたんだぞ」


「だって都会じゃ魔物葬が流行ってるってティファが言うもんだから」


「なに訳わかんないこと言って誤魔化そうとしてやがんだコラァ!」


 いちいちうるさい男達には確かに、いや確かかと言われると自信はないが見覚えがあった。どうやら三人とも魔物の胃袋に収まることもなく生還したようだ。


「ちっ、無事でよかったな、安心したよ」


「今隠す気もなく舌打ちしただろうが! この落とし前はどうつけてくれんだコラァ!」


「でも、またやり合っても負けますぜ、アニキ」


「仕方ないから今日のところは見逃しといてやるぜコラァ!」


 いちゃもんつけようとして自己完結した男達は、それから気を取り直したように余裕の態度を取り戻し、座るアルを見下ろして鼻で笑った。


「それにしても、王都にいるのを決めたってのに、よりにもよってこの宿を選んだのかよ。どうせ昨日、助けた女に誘われてってとこだろうけどよ!」


「サービス悪いこんな店で何が礼になるんだかな」


「あれじゃね? 何もないですから、せめて私の体で……とか。ギャハハ」


 下卑た話題で盛り上がる男達は、テーブルの面々がその侮辱を後悔させてやろうと行動しかけていることに気づいていない。しかし、


「あ、あんた達、どうしてここに……っ!」


 厨房から出てきたティファは男達を見て動揺の声を上げた。手にしていた料理を落としかけ、慌ててカウンターに置いてこっちに駆けてくる。ティファにしてみれば襲われかけた男達との再会だ。アルは自分の判断が遅れたことを悔やむ。


「昨日はよくもやってくれたじゃねーか、姉ちゃんよぉ」


「昨日よくもやってくれたのはアルだと思うけど……」


「それはさっきの会話の焼き回しになっからいいんだよ。それより、今日はお客がいっぱいいるみてえじゃねーか。オメデトウ。久々のお客さんだもんなぁ?」


 男達が矛先をティファに変え、俯く彼女を囲んで管を巻き始める。


「いったい、この評判の悪い店にどうやって引き込んだんだ? やっぱりサービス内容を変えたのかぁ? それなら俺達も泊まってもいいけどな!」


「バ、バカ言わないでよっ。あの人達は……共同経営者。お、お客さんじゃないわ」


「共同経営者だぁ?」


 予想外の返答に眉を上げた男は、アル達を見つめるといきなり吹き出した。


「共同経営者って、この宿でか? そりゃお前、どんな笑い話だよ! ぶわははは!」


 笑う男に続いて、周りの仲間達も一斉に高笑いを始める。俯いて唇を震わせるティファはともかく、他の四人がどんどん白けた顔になるのに彼らは気づいていない。


「お前さん方も見る目がねえなぁ! 他のどんな店でもいいのにこの店を選ぶのかよ!」


「こんな客も来ない、寂れた店だ。この料理もどんなだか――」


 馬鹿笑いを続けながら、年若い男がカウンターの上の料理に手を伸ばし、炒めた野菜を指先で掴むと、止める暇もなくひょいと口に放り込んだ。


「――あ」


 その男を除いた全員、一人だけニュアンスの違うティファを除いた全員が同じ意味で止めようとしたのだが、その男には残念ながら届かなかったらしい。

 次の瞬間、男は全身をぴんと棒のように伸ばして硬直し、そのまま床に倒れ込んだ。


「ば、馬鹿、こいつ! 何を当然のように食ってんだ!」


「アニキ、大変です。こいつ新入りで、宿の仕事に来るのは初めてでした!」


「じゃ、ドノヴァンさんの黒の魔法を知らなかったのかよ!」


 倒れた男を慌てて担ぎ、チンピラ達は風のような速さで出口に向かって走っていく。


「今日のところは見逃してやらぁ。次はギャフンと言わせてやっからな」


 アニキが使い古された捨て台詞を吐き、何しにきたのかわからないまま男達が退散していった。それこそ勢いに置いてけぼりにされた感のある四人は黙ったまま、ただ純粋に脅威に感じているらしきティファに何を言えばいいのかわからない。


「あのさ、ティファ」


「ごめんねっ」


 アルが何か言うよりも早く、ティファが謝罪の言葉を口にしていた。俯いた顔を上げると、その表情は痛みを堪えるような笑みが張りついている。


「あ、あいつら、何かこの宿に文句あるらしくて、しょっちゅういちゃもんをつけに来るのよね。お客さんいるときとかも平気……むしろ狙って。だから、みんながここでお店を開くときも迷惑かけちゃうかもしれなくて……」


「それはティファが悪いわけではあるまい。お前が謝ることなぞありはせん」


 バルトらしからぬその言葉の穏やかさは、思わずティファが顔を上げたほどだ。


「それにだな。本音を言えば奴らがそこまで脅威になるとは到底思えん。お前がそこまで必死になる必要があるとは到底、な」


 深刻そうな顔のティファには悪いが、アルもまったくバルトに同意見だった。昨日の件も思い出せば、ますます彼らが王都の日々の壁になるとは思えない。むしろちょっとした賑やかし系のキャラじゃあるまいか。


「そうですよ、ティファさん。気にすることはありません。次に来たらあんな人達、私の魔眼で追い返してさしあげますから」


「プリカの魔眼は道案内で俺をたぶらかすのに使って打ち止めのはずだけど」


「まあ。何のお話ですか……?」


「明らかに本気で言ってる目がつぶらで素敵だなプリカ!」


「まあ。ありがとうございます。アルさんも眉の角度とか素敵ですよ」


「マア。私もアルさん素敵だと思いますヨ。苦難の相が出ていてグッドですネ」


「あんまり嬉しくない褒め言葉と全然嬉しくない褒め言葉をありがとう!」


 やけくそで叫んで笑うと、全員がそれにつられたように笑った。その声の中にはティファの声もあって、彼女はくすくす笑いながらカウンターに向かう。


「そうよね。みんななら嫌がらせなんてものともしないかもしれなかったわね」


 それから料理をフォークで口に運び、飲み込んでから満足げに頷いた。


「一番腹が立つ嫌がらせはこれよ。人の料理がマズイみたいに、クサい演技して」


 ねえと同意を求めるティファに、全員が苦い顔で曖昧に笑った。



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



 片付けと同日の夜、アルは新たな自室でティファと雑談を交わしていた。


「バルト達、意外と組合のテストすんなりいけたな。毎回、あんななのか?」


「姉さんが組合長なのにそんな甘いと思う? 不手際があったら推薦人ごと黒コゲにされるもの。みんなのレベルが高かったってこと。一発合格って珍しいもん」


「推薦人ごと黒コゲって……意外と紹介するのも命がけなんだな」


「組合売上ってあって、組合ごとの年毎の成績ランキングがあるの。だから半端なレベルの人を組合に入れると全体のマイナスになっちゃうわけ」


 なるほどね、などと納得しながら、アルは仲間達の実力を確かに見抜いたティファの先見性に感心。いざというとき、仲間と一緒に自分も燃やされる覚悟があったことも。


 カインド・ベルの改装が終了した後、バルト達は組合の試験に挑むことになった。組合長のロッテが仕切る三十名に及ぶ観衆の中、彼らは堂々と自分達の職人芸を披露。このときばかりは流石に彼らも真剣な様子で、アルも見ていただけで緊張したものだ。


「でもさして心配してなかったとはいえ、ちゃんと大丈夫ってわかると安心するな」


「あたしは心配だったの。特にプリカはお昼の失敗があるし」


 昼の失敗というとサギタスという植物の爆発的な成長か。確かに被害を最大限被って逆さ吊りにまでなったティファからすれば不安要素だったことだろう。


「白……か」


「今、何を思い出してその色を呟いたの?」


「いや、俺は白は健康的で全然いいと思うぞ! 子どもっぽいとか思わないよ!」


「誰がそんな必死で切羽詰ったアルの感想を聞いたのよっ!」


 アル的には昨日、出会った時点で誘蛾香を使用したりしてくる時点でプリカの知識に心配はなかった。しいて心配だったのは三人揃って性格の問題だったが、その辺りのことは評価の対象にはならなかったようで安心している。


「しっかし、こうなると明日から早速店開きってことになるのか?」


「バルトとプリカはちょっとわかんないかな。でも、ノエルは単純にノエルの体一つでできる仕事だから、試験運用でもあるしすぐ見てみたいかも」


「そうか。個人教会ね……不安要素バリバリだな」


 個人的に腕以外で一番心配だったノエルが、もっともあっさり通過したのが驚きだ。


「まあ、何度も臨死から復活させられてたから腕の心配はしてなかったけどさ」


 アルがアンニュイに呟くと、ティファが不思議そうに首を傾げて、


「二人って王都からの知り合いよね。なのに何回も瀕死になることがあったの?」


「……ああ。ちょっと漢の意地と少女の心を守るための戦いがあってな」


「ふぅん。よくわかんないけど、最近は王都も物騒ってことかしら」


 わからなくていいんだよ、と親が子を見守る眼差しでアルがティファを見る。そんな父性を尻目にティファは立ち上がり、それじゃと前置きして勉強の準備を始めた。

 そう。朝に約束した文字の勉強だ。目前に迫った勉強タイムにアルはやる気で目を輝かせた。が、準備が進むに連れてその瞳が徐々に翳りを帯びていく。

 目の前に荘厳とそびえ立つ、膨大な量の参考書に圧倒されて。


「とりあえず用意できたのはこんなもんね。ちょっとハードルが低いけど、初日なんだから甘く大目に見といてあげましょ」


「これでハードルが低い? ひょっとして俺とティファは見えてる世界が違うのか? それとも王都ではこれが平均的な学習量?」


「バカ言わないの。アルは急いでみんなに追いつかなきゃいけないんだから、それこそ死ぬ気で頑張ってもらわなきゃいけないの。死んだらごめんなさいだけど」


 スパルタ方針を打ち出し、ティファは笑顔で羽ペンを差し出して参考書を開く。ずらっと細かいサイズのアルケス文字が、ページの上で軍列を作っているのが見えた。


「アルはジョークはつまらないけど話は通じるし、そんなに時間はかからないわよ。文法を掴んで、単語を覚えるだけだから。キタルファって言語形態が全然違うの?」


「いや、文法の組み合わせは一緒。単語は……日常生活で問題にならないようには勉強したんだけど、字だとわからないな」


「そ。じゃあまずは文字を覚えるところから。それさえ覚えれば、単語はそこそこ自分でも書けるようになるはずよ」


 今後の勉強の進め方を決めると、ティファは時計を眺めてん~っと眉を寄せ、


「四時間は寝たいから、月が沈むまでには終えましょ。明日はみんなの初店開きだし」


「あんまり深夜まで食い込むと、お肌に悪いと思うんだが」


「それぐらいは織り込み済みよ。心配されなくても、努力してるから大丈夫」


「いや、ティファじゃなくて俺のお肌に問題が発生すると言って……」


「乙女みたいな心配をするんじゃないのっ!」


「ぶあぢゃぢゃぢゃ!」


 炎を纏ったティファの拳で後頭部を殴られ、焼けるのと打撃のダメージを同時に受ける。局所的な赤の魔法は室内に気を遣ったものだが、反面で気遣いされなかったアルの頭部は炎上して偉いことになった。


 ティファはすぐに謝ったが、その後もアルが問題発言する度にその突っ込みが飛ぶ。

 夜明けが迫るまでの時間、アルの後頭部は何度となくアフロになるのを繰り返した。



 ――こうして、王都での二日目も穏やかかつパワフルに過ぎてゆく。


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