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フレンド  作者: 七瀬 夏葵
9/10

第八話「デート再び!?年下男子と二人きり!の巻」

仕事明け。私はロッカールームでそわそわしながら着替えをすませ外に出た。


(いた!!)


外に出てすぐの所にある駐車場に、ジュンちゃんの車が停まっているのを見て、私はさすがに胸のドキドキが止まらなかった。


(どうしよう!ホントに来ちゃったよ!!)


ああは言っていたものの、まさか本当に来るとは思っていなかった。

しかも、車内にはジュンちゃん一人。正志の姿は見当たらない。


(ホントにあたしを誘ってたんだ・・・・)


電話の時はもしかしたら正志も一緒に来るのかも、と思ってたんだけど、迎えに来たのはジュンちゃん一人だ。

という事は、つまりこれは・・・・。


(そういう、意味なのかな、やっぱり・・・・)


『カナちゃんから好きって言われるの待ってるんだと思うよ?』


伊藤さんの言葉が頭をよぎり、鼓動が速くなった。

いや、まさか、そんな・・・・・。

安易に期待するのは良くない。もしかしたら単に正志の都合が悪かっただけかもしれないし。

そんな事を思いながら、私は深呼吸してなんとか心を落ち着け、勇気を出してジュンちゃんの車へと向かった。


「お疲れ~」


ドアを開けるなり、ジュンちゃんは普通に声をかけて来た。


「あ、うん。お疲れ。ごめんね、待たせて」


「いや、別にそんな待ってないし、大丈夫だよ」


私が助手席に乗り込むと、ジュンちゃんはスッと車を発進させた。

それなりに空間があるとはいえ、車内に二人きり・・・・。

何だか気まずい私をよそに、ジュンちゃんは至って明るく、普通に話しかけて来た。


「とりあえずカラオケでいい?」


「あ、うん・・・・」


曖昧に頷き、私は思考を巡らせた。

電話では怒った様子だったけど、今のジュンちゃんは至って普通で、全然怒ってるようには見えない。

まあ、彼は元々、『喉元過ぎれば』というタイプで、物事を長く引きずらないタイプだから、あの時は怒ってたとしても、気にしないように振る舞ってくれているのかもしれないが。


「あの、ジュンちゃん?」


思い切って声をかけてみた。


「ん、何?」


受け答えも至って普通だ。特にいつもと変わった様子は無い。


「あのさ、今日さ、正志は抜きで二人でってコトでいいのかな?」


するとジュンちゃんは、「え?」というような顔を浮かべた。

私は内心、あー、やっぱりね、と思いつつ気持ちを奮い立たせて言葉を続けた。


「あのさ、あたし、たまにはさ、家族なしで遊びに行きたいんだけど、ダメかな?」


言った!言ったよ!!

さて、ジュンちゃんはどう出るかな?


「そうなの?んー・・・、まあ、そういう時もあるよね。じゃあ今日は二人で行こっか」


(やった!!OKだよ!!やっぱりコレは脈ありってコトなんじゃない?)


私は内心思いっきり喜びながら表には出さないようにして普通に「ありがと」と短く述べた。


「でさ、ご飯はどうする?」


「んー、カラオケ屋で食べるんでいいんじゃない?」


などと普通に会話しながら車は市街地へと進んでいく。


「カナさん、これ知ってる?新曲なんだけど・・・」


車内に流れ出したBGMは、綺麗な女性ボーカルの声の切ないラブソングだった。


「んー、知らないけど、いい曲だね」


「このアーティスト、カナさんと同じ名前なんだよ」


「え!そうなんだ?」


ごそごそと片手で車のセンターボックスを漁り、ジュンちゃんはCDのジャケットを取り出した。

そこに映っていたのは綺麗な茶色の巻き毛の若い女性だった。


「うわー、たしかに同じ名前だけど、スゴイ美人だね!私とは大違いだよー」


「いや、そんな事ないよー。たしかにこの子可愛いと思うけど、カナさんにはカナさんの魅力があるんだからさ♪」


自信持って、と眩しい笑顔を向けられた。


「あ、ありがと・・・・」


思わず照れて目を逸らした。

そんな優しい笑顔を向けられると、やっぱりこう、何か、期待しちゃうよ。

もしかしたら・・・・。

そんな思いの中、私はジュンちゃんと二人、カラオケ屋へと向かったのだった。


まさかその先、あんなコトになるなんて・・・・。

この時の私にはまだ、知る由もなかった。

********


<予告>


「あのねジュンちゃん、あたし・・・・」

「ん?何?どしたのカナさん」

(言えっ!言うのよあたしっ!!)


次回【フレンド】

第九話「アレアレ!?年下男子と大喧嘩?の巻」


☆お楽しみに☆


********

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