第六話「片恋決定!?年下男子は絶対圏外!?の巻」
ジュンちゃんとのデート(?)から数週間が過ぎた。
その後私は無事就職先も決まり、仕事に家事にと忙しい毎日を過ごしていた。
そんな中で、相変わらずジュンちゃんとはよく遊びに行っていた。
勿論、二人きりじゃなくて弟の正志と三人でなんだけど。
ジュンちゃんと一緒に過ごす時間は本当に楽しくて、あっという間に過ぎて行く。
年齢のわりに周囲に凄く気を使える大人なジュンちゃんに、私はいつも感心していて、段々と彼を見る目が変わって来た。
一緒にいると楽しくて、近くにいるとドキドキする。
これって、もしかして・・・・。
そんな事を思い始めたある日の事だった。
「ねえジュンちゃん、あたしさ、やっぱり彼氏と別れる事にした」
ある時、何気なく電話で話していたジュンちゃんに何気なくそんな話を振ってみた。
『あ、そうなの?まあ、いいんじゃない?カナさんがそうしたいならそうすればいいと思うよ』
相変わらずドライな反応だ。
ジュンちゃんって、本当にこの手の話題にドライだなー。
「ま、そんな訳でさ、新しい恋がしたいなー、とか思ってるワケよ」
『ふーん。いいんじゃない?で、今は誰か気になる人とかいないの?』
一応そういうのは気にしてくれるんだ?ちょっと意外だ。
ジュンちゃんの事だから、てっきり興味ないのかと思ってたけど。
「んー、いることはいるけど・・・・。向こうは全然圏外っていうか、気にされてないって感じなんだよね」
現状ではどう考えても〝そういう対象″に見られている気がしないのだ。
「へー、誰?同じ職場の人とか?」
「ん、えーと・・・・まあ、そんなとこ」
まさかそこまでつっこまれるとは思ってなくて、私は曖昧に言葉を濁した。
いや、だって、ねえ・・・・。言えないよ、ホントの事は・・・・。
『気になるならアタックしてみたら?メルアド交換したりとかさ』
普通に言われた。わかってたけど、ジュンちゃんて本当にこういう事に前向きだよね。
「いや、もう向こう、全然そういう気ないと思うし・・・・」
『何言ってんの!?ンな事言ってないで、自分から積極的にいけば、案外仲良くなれるかもしれないよ?』
と言われても、ねえ・・・・?
「や、無理無理!絶対無理だってば!!」
だって私が今気になってるのは・・・・。
(―――君だよ、なんて言えるワケないっ!!)
ブンブン頭を振り、よぎった想いを振り払った。
今この状態で気持ちを打ち明けるとか、どう考えても無謀すぎるし!!
『なんでさー?普通に言えばいいじゃん。今度一緒に飲みに行きませんかー、とかさ』
ほらね。ジュンちゃんは私が他の男の人とどうなろうと全然気にならないんだもん。
カンッペキに圏外じゃん!!私!!!!
いっそ清々しいくらいの圏外っぷりに、ちょっと悲しくなりながら乾いた笑いを浮かべた。
「やー、うん、そーだねー。今度誘ってみよっかなー。あはは・・・」
『そうだよー。もしかしたら向こうも気になってたりするかもしれないしさー』
ナイナイ。だって今、全力で他の人ススメられてるし!!
内心つっこみつつ「そーだねー」なんて曖昧に頷いておいた。
ああ、自分がイタイ・・・・。
『とにかくさ、まずは自分からガンガンいかなきゃだって!!男って案外自分からは誘えなかったりするからさー』
あーハイ、そうだとイイねー。
まさか今リアルにその人と話してますとは言えまセン。
しくしくしくしく。あーもー誰かこの鈍い人何とかして下サイ!!
ちょっとリアルに泣きそうになって来た。
「まあうん、頑張ってみる・・・・」
弱々しく言うと、『頑張って!!!!』などと強く励まされてしまった。
いや、その励まし、余計にイタイんですけど・・・・。
とか思いつつ電話を切った私は、一人の部屋でふぅ~~っと重~~い溜め息を吐いた。
前途多難だ!!多難すぎる!!!!!
何この展開!!??自分でも驚きデスよ!!!!
まさかこんなに気になってたなんて・・・・。
「あ~~~、ど~~しよ~~・・・・」
さっきの電話のやりとりで気付いた。
私もう、完璧にジュンちゃんのコト好きになってる。
けど、向こうはカンペキに私のコト、何とも思ってナイ。
分かり切ってる片思い。望みはゼロ!!!!
もう切れた電話を見つめ、私は絶望的な気分でいっぱいになるのだった。
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<予告>
「ねえカナさん、俺の事嫌いなの?」
「え!?そ、そんな事・・・・」
(この展開って、もしかして・・・)
次回【フレンド】
第七話「もしかして?年下男子と両想い!?の巻」
☆お楽しみに☆
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