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フレンド  作者: 七瀬 夏葵
6/10

第五話「愛って何さ?年下男子は無関心!?の巻」

ジュンちゃんと二人きりで出かけるのは初めての事だ。

いつもは正志と三人で遊びに行ってたから。

狭い車内に二人きり・・・・。

緊張をごまかすように、私は明るく話しかけた。


「ねえジュンちゃん、あのさー、ジュンちゃんて彼女いるのー?」


言ってからしまったと思った。

何いきなり超プライベートな質問してンの、私ってば!!


「んー、今はいないよー。カナさんは?彼氏いるの?」


ああっ、地雷踏んだ!!

聞かれちゃったよ、聞かれたくないトコ!!


「んー・・・・、いる事はいるんだケド・・・・」


もごもごと言葉を濁す。

ああ、言いにくい・・・・。


「何カナさん、どしたの??」


「いや、その・・・・一応付き合ってるんだけどさ、もう別れようかなって・・・・」


私の言葉に、ジュンちゃんは「ふぅん」と簡素な返事を返した。

興味がない・・・のかな?


「ま、別に別れたいなら別れりゃいいと思うけど」


クールな反応に、私は思わずたじろぐ。


「や・・・だってさ、酷いんだよ?あたし、彼の家族ごと養ってた時期もあるのに、彼全然働かなかったし。だから嫌になって彼の実家出たんだけど・・・・」


私はジュンちゃんに、彼氏と別れようとしている理由を説明して聞かせた。

もう五年も付き合ってて、結婚届けまで書いた事があるのに、両親への挨拶には行こうとしない事。油断しているとすぐ働かなくなって私の稼ぎをあてにしてしまう事。

一時期彼の実家で同居してた時も、彼の家族の分も生活費を出していたのは私だけで、彼は働いてすらいなかった事。おまけに私の貯金を使いこんだり、私に借金させたりと、ろくな事をしてない事。あげたらキリがないくらい、この先続けていく事に希望が持てない要素しかないのだ。


「じゃあさっさと別れれば良かったじゃん」


「別れようと思ったよ。思ったけど!好きだから、いつかは・・・て、思っちゃったんだもん!!」


それで別れるタイミングを逸した。というか、別れては復縁を迫られて了解してしまっていた。自分でも情けないとは思うけど、やっぱりこれが、惚れた弱みというやつなんだと思う。


「ああもう!!じゃあカナさん、結局どうしたいのさ!?」


苛立ち始めたジュンちゃんに、私は思わず泣きそうになる。


「別れるよ!!別れるもん!!あと一カ月待って迎えに来なかったら!!」


「結局待つのかよ!!来ないって!!ソレ絶対来ないから!!」


断言するジュンちゃんに、思わず声を荒げた。


「来るもん!!絶対来るもん!!!!」


言ってから気付いた。

何だかんだ言いつつ、結局私、待ってたいんだ・・・・。


「あ、そ。じゃあ待てばいいんじゃね?」


気まずい沈黙が流れる。

あー・・・・、まずったなぁ。


「ジュンちゃん・・・あの・・・・」


躊躇いながら声をかけると、ふぅ~っと溜め息が返って来た。


「・・・・カナさん、悪い。この話、ここでやめよ。これ以上話しても仕方ないしさ」


「あ、うん・・・・」


気まずさでうつむいた私に、ジュンちゃんが優しく言った。


「ごめんねカナさん。カナさんの問題なのにとやかく言って。もう俺、さっきの事については何も言わないからさ、今日はもうパーっと遊んで楽しくやろうよ。ね!」


「ありがと・・・・。ごめんねジュンちゃん」


思わず謝ると、ジュンちゃんは笑って言った。


「謝ンないでよ~。カナさんが悪い訳じゃないデショ。もういいからさ、気にしないで!言ったデショ、この話はもう終わり!!ハイ、切り替えようね~~」


有無を言わせないその口調に私は思わず頷き、気まずい空気は一気にいつもの明るい空気に戻った。


「ところでさ、どこ行こうか?どっか行きたいとこある?」


「ん~~、カラオケとか?」


「お!いいねぇ。俺いっぱい歌っちゃうよ~~」


それから私達は二人カラオケに繰り出し、目一杯歌いまくった。

いつもは弟の正志と三人なのに、ジュンちゃんと私の二人きり・・・・。

それがちょっとだけ新鮮で、なんだかちょっとドキドキした。



――――今になって思う。

多分この時が、全ての“始まり”だったんだ。

鈍いあたしがそれに気づくのは、それからずっと後の事だった。

********


<次回予告>


「片思いってヤだよねえ」

「何カナさん、好きな人でもいんの?」

「キャッ!!じゅじゅ、ジュンちゃん!!??」

「いけ!あたって砕けろだよ!カナさん!!」

「砕けちゃダメでしょ!!」


次回【フレンド】

第六話「片恋決定!?年下男子は絶対圏外!?の巻」


☆お楽しみに☆


********

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