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フレンド  作者: 七瀬 夏葵
4/10

第三話「年下男子にただいま!?の巻」

それから車は順調に進み、やがて懐かしい我が家へと辿り着いた。


「到着~~」


車を停めたジュンちゃんに、私はにっこり微笑んだ。


「ありがとうジュンちゃん。運転お疲れ様でした」


「いえいえ。カナさんも長旅で疲れたデショ」


ドキン!

返された笑顔に思わず胸が高鳴る。


――や、だからその笑顔、ヤバイって!


焦りながら車を降り、荷物を取り出そうと後部座席のドアに手をかけた時だった。


「あ、カナさんは先行って。荷物は俺が運ぶから」


「え!?や、そんなわけには・・・・」


遠慮する私に、彼は眉をしかめて言った。


「いいってば。長旅で疲れてンでしょ。俺が運ぶからカナさんは行きなっての」


「あ・・・・うん・・・・・」


思わず頷き、素直に玄関へと向かって歩き出した。

何て言うか、ホント、変わったなぁ、ジュンちゃん。

昔は本当に悪ガキって印象しか無かったのに、すっかり男の顔するようになっちゃって。

などと思いながら歩いていると、大荷物を難なく抱えたジュンちゃんが追い付いて来た。


「カナさん、ごめん、玄関だけ開けてくれる?」


私はすぐに玄関まで走り、昔ながらの引き戸をガラガラと開けた。


「ありがと~~。お~いゆきっちゃん、カナさん連れて来たよ~~」


ドサリと荷物を玄関に置き、ジュンちゃんは叫んだ。

ドタドタと音がして、二階から弟が・・・・


「・・・・て、えぇぇぇぇーーーーー!!??まま、正志!!??」


思わず叫んだ。だって、その姿は・・・・・。


「お疲れ~~。ありがとね~~ジュンちゃん」


にこにこ笑顔を向けられ、ジュンちゃんは爽やかに笑顔を返している。


「おぅ。あ、コレ、頼まれてたやつ」


空港で買ったらしいお菓子の包みを手渡しているのを見ながら、私は唖然として口を開く。


「ちょっ・・・・アンタ、ホントに正志なの!!??」


目の前の〝正志らしい男″に問いかけると、彼は苦笑いを浮かべて答えた。


「カナさん、酷いなぁ。可愛い弟にその言い草はないだろ」


その声もゆったりした口調も、たしかに弟正志のものだけど・・・・。


「いや、だってアンタ、いくら何でも変わりすぎでしょーーー!!!!」


目の前には、相撲でもやってるの?と問いかけたくなるほどの巨漢男がいる。

五年前、最後に見た弟の正志は、少なくともこんな姿ではなかった。ちょっとぽっちゃりではあるが、それでも普通の範囲だったハズなのだ。それが・・・・。


「その体型!!一体どーーしちゃったのよーーーー!!??」


全力で問いかけた私に、正志は相変わらず苦笑いを浮かべて答えた。


「ああ、まあ、夜中にインスタントラーメン食べたりしてたらこうなった」


「はぁっ!!!??何よソレーーーー!!??」


話を聞くと、どうやらこうなったのは正式に家督を継いでからの事らしい。

私がいない間、食事もほとんどインスタントか冷凍食品が多く、栄養バランスが著しく崩れた食生活となっていたようだ。


「はぁ~~・・・・・。まったく・・・・」


思わず頭を抱えた。よもやここまで我が家の食生活がヤバイ事になっていようとは。

これは本当に、帰って来て正解だったのかもしれない。


「あ、そういえばさ、まだ言ってなかったね」


思わず溜め息を吐いていた私を見て、ジュンちゃんが言った。


「カナさん、おかえり!!」


向けられた笑顔が眩しくて、私は小さく呟くように返した。


「・・・・・ただいま」



――――こうして私は、五年ぶりに我が家へと戻って来た。

数年ぶりに再会した懐かしい家族。そして、ジュンちゃん。

この再会が、後々大きな嵐を巻き起こす事になるなど、この時はまだ、知る由も無かった。

<次回予告>


「ねえジュンちゃん、デートの定義って何だと思う?」

「一緒に出かける事でしょ。男同士でもデート!!」

「ダメだこりゃ・・・・」


次回【フレンド】

第四話「ドキドキ!年下男子と初デート!?の巻」


☆お楽しみに☆

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