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フレンド  作者: 七瀬 夏葵
2/10

第一話「ドッキリ!?年下男子がお出迎え!!の巻」

『・・・・ごめん、カナさんの事は、友達としか見れないから』


倒れそうだった。


――何コレ!?なんでこうなるの!?


耳を疑った。

それは、確かに聞こえた、現実。


「・・・・そ、そうだよね。うん、ごめん、変な事言って」


クラクラする頭で、辛うじてそう言った。


『いや、その、俺の方こそ、ごめん・・・・』


携帯電話越しに聞こえる彼の声が、遠い。


「き、気にしないで!いいの!ホント、気にしないでいいから!!」


目の前は真っ暗だった。どうしていいかわからない。

こうなるなんて、思ってもみなかったから。


――――事の起こりは、三か月前。


「カナさん!久しぶり!!」


5年ぶりに地元の空港に降り立った私を迎えたのは、懐かしい家族・・・・ではなく、まったく見知らぬ青年だった。

ガッシリとした身体。男らしい眉。つるりとした綺麗な肌。つぶらな瞳。艶やかな短い黒髪。

はっきり言ってカッコいい。


・・・・この人、誰??


?マークがいっぱい飛んでいる私に、彼はあからさまに不満そうな顔で言った。


「あ、今、こいつダレ、とか思ったデショ!図星?」


「え、あ、うん・・・・」


戸惑う私に、彼はふーっと大きな溜息を吐いた。


「オ・レだ・よ!ジュン!!佐藤さとう 純平じゅんぺい!!覚えてない?」


言われて私は記憶を手繰る。

佐藤佐藤佐藤・・・・・・・・・・。


「――――て、ええっ!!まさか君、ジュンちゃぁん!?」


「そうだよ。やっと思いだした?」


ジュンちゃんこと佐藤 純平。

彼は私こと行平ゆきひら 加奈子かなこの弟、行平ゆきひら 正志まさしの友達だった。

小学校低学年の頃からよく家に遊びに来ていて、いたずらをしては私を困らせていた悪ガキだ。


「うそっ!?ホントにあの鼻たれ小僧なワケ!?」


「鼻たれって・・・・・・。カナさん酷いな。俺、そんな印象だったワケ?」


彼はげんなりとした顔で私を見た。


「ごめん、だってアンタ、昔はホントにただの悪ガキだったじゃん」


私の記憶にある彼。

それは、お菓子を食べた油ぎった手で私の大事な漫画を汚したり、勝手に大事なチョコを盗み食いしたり、冷蔵庫にしまってあった私の好物のソーセージをぜーんぶ食べちゃったり、大事にしていたコレクションのシールを遠慮なくべたべたと壁にはってしまったりと、本っ当にロクな事をしていない!

しかも、いくら怒っても次の日にはまたやるので、子供の時分には相当に手を焼いていた。


「あはは。まあね。あの頃はガキだったんだし。しょうがないだろ。今はホラ、大人だから」


苦笑いを浮かべ、どうだ!とばかりに胸を張る彼に、私は思わずぷっと吹き出していた。


「何よソレ。まったく、見た目は変わっても、中身は子供の頃と変わってないんじゃないのぉ?」


「あ、笑ったな。よし!男らしいトコ見せてやるよ」


そう言って彼は、私の大きなトランクと大量のおみやげバッグをひょいひょいとあっという間にかっさらった。


「車はあっち。着いて来て」


思わぬ行動にビックリしながら、私は彼の後をついて空港の駐車場へと向かった。

<予告>

「カナさん、同人でも売れてればOKだと思わない?」

「え?まあ、そうだろうけど・・・。何?どういうこと??」

「オタってことさ」

「ジュンちゃん、いろんな意味でアウトだよ・・・」

次回【フレンド】第二話「年下男子はゲームがお好き?の巻」

☆お楽しみに☆

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