負けそうです
よろしくお願いします
「初めてまして、フィリアと申します」
礼儀正しく挨拶をした。不敬と思われないように
「初めてまして、フィリア嬢。私はルーセンク・ヒューゼン。よろしく」
突然差し出された手を見つめていると、彼は首を少し傾け、こちらを見てくる
握手しようってこと?
意味が分からず、同じように首を傾けると突然手を握られた
「…!?私は平民です。敬称は不要です。あと…あの、、この手は、、えっと、何でしょうか…?」
「あぁ…すまない」
ん?
謝るだけで握られた手は離してもらえず、そしてこの笑顔が一段と怖い
まさかね…バレていることは無いと思っている
でも、怖いくらい笑顔の圧を感じている。ヒューゼンと名乗っていたことから、アイルの身内かつ結構金持ちの貴族だと思っている。という事はバレた瞬間、良くて誘拐犯として連行。場合によっては即刑執行となってもおかしくはない
ここが1番重要。なのだが、正直この圧に負けそうになっている自分がいる
ーーーー
『ドォン!!!!』
「赤か。喧嘩は終わりだ、一度戻るぞ」
「「了解」」
「…了解」
「りょーかいです」
不服そうに返事をしたミルジアといつも通りのミスト
急に流れが変わり、移動することになっている。信号弾が合図だったらしい
さっきまで私の話を聞かずにポーションが自分たちの利益になるとか、渡したら不法討伐の件は見逃してくれるとか。まぁ…見逃しては欲しいけどなっと思っていたところ、殴り合いの喧嘩が始まりそうになり、終わるの長くなりそうだな、待っているのめんどくさいな、喧嘩している間に逃げようかなって思っていたところ急に話が進んだ
「君も一緒に来てもらうよ」
「あっ、はい」
問答無用で決定していた
とことこ皆さんの後ろを大人しく歩いて行った。
合流先には20名ほどの騎士が集まっていた。そして歩くだけでとても目立った
「ゼルドさん、その子は?」
「えっ、なになに??女の子いるじゃん!」
「ウルフもいるけど、どういうこと?」
団長さんが他の騎士の方に捕まっている中、
「邪魔〜通れないから道開けてー」
ミストさんは注目されている中をどんどん進み、1番大きなテントに向かって歩いて行く。その時、テントから騎士が出てきた。結構な距離があるにも関わらず、その1人の騎士と目が合った気がする
私を見て、目を見開き…そして笑った。なぜ笑われたのかが分からないまま、その騎士に近づいていく
「第一部隊ただいま戻りました」
あのちゃらちゃらしていたミストさんがちゃんとしていたことに驚きつつ、近くで服装を見てこの方はただの騎士ではないことが分かった
質のいい生地に、ひと針ひと針丁寧に作れらた刺繍
「お疲れ様。…それで後ろにいる彼女は?」
「周辺の捜索中に不法討伐を確認し、まぁその後、色々あって一緒来てもらいました」
ミストさんの報告を聞き、彼はクスッと笑い、今回は確実に目が合った。挨拶しないといけない空気を感じ、礼儀正しく至って普通の人として思っていただけるように頑張った…結果がこの状況
この場合はどうしたらいいのだろうか
「それで…あの…手を」
「離して欲しい?」
「はい…」
「どうしようかな…」
どうしようかな?
離さないという選択肢を取らない意味が分からない。貴族の方が平民で、美人でもない私と握手していること状況もよく分からないのに、離して貰えないのはもっと意味が分からない。助けて欲しいと思い、横をチラッと見ると、絶対に目を合わせないという雰囲気を纏い助けてくれないミストさん。
ヒューゼン様は何と言うか…私の反応をみて遊んでいる感じがある
「えっと、これはどういう状況ですか…ルーセンク様」
やっと他の騎士かの質問攻めから逃げ出すことができたゼルドは状況が理解出来ずにいた
「ゼルド、君はやっぱり仕事の出来る男だよ」
「ありがとうございます?って話を逸らさないでください!」
大変困っているフィリアとは逆にルーセンクはこの状況をとても楽しんでいた。彼らが連れて来てくれたのは、自分が会いたかった魔法士であり、想像していた以上に可愛らしい女性だった。
手を握っただけで、あわあわしている彼女の反応をみて、楽しんでいる自分がいた。
そして、今後のことを考えていた。この珡手の森で討伐を行える実力。基本的には騎士団や冒険者など集団で討伐を行っているが、彼女は従獣のみ。魔法士として使える人材…欲しい
だから、君を逃がすつもりはない
お読みいただきありがとうございました




