討伐開始
よろしくお願いします
〈バイリス〉
体高2.5m〜3mぐらい。見た目は犬か狼みたいな感じ。鋭い牙と猛毒を持つ爪に気をつけること。
動きは速いが、一直線、予想通りの攻撃のため避けるのは簡単。そして相手の攻撃のパターンが分かっていれば仕掛けるのも簡単
「悪いけど私たちを攻撃してくるなら、容赦なく殺すね」
《風属性選択 颱》
颱とは通常、発動者の半径1mの空気を凝縮し放つ魔法である。そう…通常は
フィリアが放った颱は一直線に向かってきたバイリスに直撃した。風の渦が消えると同時にバイリスは消滅し、目の前の土地は更地になった
「あっ……やりすぎた」
更地にするつもりなど全くなかった。バイリス相手ならこのぐらいやっても大丈夫だろうと思って発動した。バイリス弱くなったのか?と彼女は全く自分が強くなったという感覚がなかった。
(まぁでもみんな無事だったからいいでしょう!)
(おい、やりすぎだ…少しは調整しろ)
結果オーライ!と言いたいが……この状態を見られるのは良くない。危険レベルの高い魔獣がいると思われれば良いが、たったひとりでこの被害を起こしたと知られれば面倒だな
(起きたことを気にしてもしょうがないし、魔法でどうにかするよ)
「……」
アイルは目の前で起きた出来事に驚き、言葉が出なかった。数秒前まで魔獣の殺気により恐怖で震えていた。しかし、一瞬にして目の前はフィリアの背中だけで、魔獣ごと綺麗さっぱり何も無くなっていた。
アイル自身、自分は環境に恵まれ圧倒的な強さを持つ人たちを多く見てきたと思っていた。だが、自分の父や兄たちにも感じたことがないほどの圧倒的な風格。強者としか言いようがなかった
「大丈夫?」
後ろを振り向きアイル顔を覗き込み、視線を合わせる。
「う、うん。大丈夫」
「そう、よかった」
前を向き、魔法を発動する。元には戻せないが、新しくつくることはできる。
《光属性選択 エリア確定 花輝》
光が消え、目の前に広がったのは花畑。何万本の色鮮やかなスカビオサ。
フィリアはさらっと簡単にやっているが、アイルは信じられなかった。バイリスをひとりで倒してしまったことにも結構驚いたが、光属性の使用はさらに彼を驚かせた。
「こんな感じでいいかなー」
「…光属性使えるの?」
「うん?…あー、少しだけ。でも」
「治癒ってできる?」
アイルはフィリアの話を最後まで聞かず、治癒が使えるのか、使えるならどの程度なのか、光属性が最適性なのかなど質問攻めだった
「多すぎ!期待しているところ悪いけど、簡単な初級程度しか出来ないよ」
「そっか…でも光属性使えるのすごいよ…俺も使えたらな、、」
アイルが期待するのも理解はできる。魔法を使用するには魔力と属性の適性がいる。属性の中でも光属性に適性を持つ人間は少ない。最適性とは自分に1番合う属性のことである。そして最適性に光属性を持つ人間はさらに少ない。適性が少ない理由は不明のため、光属性の適性を持ちかつ、《治癒》の中級以上の魔法を使える魔法士は貴重とされている。《治癒》は中級魔法で失った腕や足の治療、脳や心臓部分の治療には上級魔法が必要となる。
そのため、フィリアだとかすり傷を治療する程度となる。ちなみに先程フィリアが使用した花輝は光属性の初級魔法である。
誰か助けたい人がいるのだろう…アイルには悪いが、私にも私の生活がある。
貴重な光属性使いとして、大切に扱ってくれる国があることは分かっている。しかし、国によっては奴隷のように働かされているところもある。戦争や魔獣討伐で負傷した騎士や魔法士を永遠と治療し続けるのだ。魔力切れを起こせば、ポーションで回復させ治療を再開させる。死ぬのが先か、戦いが終わるのが先か…
「フィリア」
「ん?」
「えっと…やっぱり何でもない」
作り笑いで取り繕うとする姿。私は何も気づかないふりをした
「そう。…そろそろ出発しようか。タラエアへ」
「…うん!」
片付けを済ませ、忘れ物がないか確認している時にアイルに声をかけられた
「馬どこにいるの?」
「馬?いないけど」
「えっ?冗談だよね」
「冗談ではないけど」
「…いない」
「準備完了!行くよ」
繅霧の森からタラエアまで約150km。
魂が抜けたように立ち尽くすアイルだった
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