約束
よろしくお願いします
アイルに助けを求められ、正直言うと逃げたくてしょうがなかった。
「そんな簡単に私を信用しないで!人攫いだったらどうするつもり?」
「何もしてこないじゃんか!それに俺、良く勘が当たるんだよ。だからフィリアは大丈夫!」
どこからくる自信なのか…幼いから出来る賭けなのだろうか
声をかけたのは私だから、ご飯は分けてあげたけどこれ以上何かをするつもりは無かったと思いたい…自分の意思がこれほど弱かったのかと…
「フィリア…お願いだよ」
このガキは分かってやっているのだろか。はぁ……私はほんとにバカだな
「分かったよ…でも条件がある。この約束が守れなければ置いていくから」
約束とは2つ。
1つ目は私の指示は絶対。
2つ目は何があっても私を信じること。
「この2つを守ること。これが条件。どうする?」
「守る!!ありがとう、フィリア!」
目を輝かせ嬉しそうに笑っているアイル。決めたからには頑張らないとな…
「じゃあ、決まり。アイルは約束を守ること。その代わり私が君を家族に会わせる。これでいい?」
「うん!よろしく、フィリア」
「契約成立ね」
差し出された手を握って握手をする。
「明日の朝、タラエアの王都に向かう。そこでご家族に連絡できる人間を探すつもりだけど、目的地合ってる?」
「合ってる!…でも何でタラエアの人間って分かったの?俺、フィリアに話したっけ?」
理由は簡単。アイルの目の色とゲートの転送範囲。この目の色は結構珍しい。夕日のような綺麗な色。タラエアの王族の血筋を持つ人間にしか現れない。だから声をかけたとき驚いたし、後悔した。上着にはタラエアの王家とは違った家紋が刺繍されていたが、間違いなく王家に関わりがある高位貴族だと分かったから。
それとゲートの転送範囲には限界がある。繅霧の森から近い国はカリセルとタラエア。カリセルにはアイルの目の色を持つ人間は見たことがない。だから聞かなくても分かった。
「ゲートに触ったって話になったときに話してたよ。自分で話した内容も覚えてないのー?」
王家と関わりがあるって知っていることを話すのはやめていた方が良いと判断した。転送範囲を理由にするよりはアイルが話したことにしておく方が楽。この感じ会話内容をちゃんと覚えてる訳ではなさそう。アイルは少し考えていたが、「そうだった気もする」っと疑ってはなさそうだった。
「父さま許してくれるかな…」
ボソッとアイルは不安そうに呟いた
「ゲートに触った理由は知らないし、アイルの父親がどんな人なのかも知らない。でも許して欲しいって思うなら帰ってごめんなさいと謝れば良いと私は思うけど」
「そっか…」
「まぁ、そう簡単にいくかどうかは保証できないけどー」
「さっき謝れば良いって言った!ずるいよ!」
さっきの不安そうな感じはなくなっていた。安心されすぎるのも良くはないけど…家族に会わせるまでの関係なのだから
「それ食べ終えたら出発するよ。あっ…その前にやることできたわ。んーっと後ろ向かない方がいいよ」
「えっ、フィリア?後ろ向かない方がいいってどういうこと?」
ハクも異変に気づき警戒態勢に、そして私も立ち上がる。
「今からこっちに魔獣来るよ、ハクの傍から離れたらダメだからね」
「え?今から来るの?」
パニックになっているアイルの目を見て一言だけ伝えた。それだけ伝えれば問題ないと思ったから
「…約束守れる?」
「……守れる。ハクと一緒にいる!」
魔獣が来る方向を向き、敵の位置を確認する。そろそろ見えるはず…
(ハク、アイルをよろしく)
(分かった)
足音が段々と大きくなってくる。
私がする事はひとつ。目の前の敵に集中すること。
「グッッヴォォーーー」
「フィ、フィリア…そ、それ」
魔獣〈バイリス〉危険レベル4
*危険レベルとは魔獣の強さを表すものである。そして最大レベル7まで存在する。ちなみにレベル4の魔獣は6人以上で協力して討伐することがほとんどである。
「よし!頑張ろ」
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