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次代開きの大祭り  作者: 荒野銀


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1/5

(序)

 滅亡だの終末だのと人は言うけれど、その到来が実体をもってやってきたためしはない、ノストラダムスにしろ、有名を馳せた予言者たちにしろ。彼らはうそぶく、来年ですよ、近日です、いえいえもっと近く、明日の✕✕時◯◯分です。そんなの分かるわけないって。だって、神様は、途轍もなく長生きなんだもの。それこそ人の一生が、川面に写る一瞬のきらめきに映るくらい。神様はゆうに数十万年は生きる、もしかしたら数百万年も。神代では、1分が人界の12時間なのだ、人世の時分秒などオハナシにもならない。180年、これが神代の1季であって、4季で1年、そして人世3600年に当たる神代5年の歳暮にこそ、天界でも重要な祭事があった。次代を生む、次代開きの大祭り。その詳細は後述するとして、神様方のおわす「中津国」の大要について、まず、説明しておかねばと思う。

 中津国は北極点の延長上10万メートルほどの宙域を遊覧している。仏教では10万億土かなたの極楽なんてされているけど、要は永遠に辿り着けないってこと。中津国もまさにそうで、空間上では可能でも、肉体を持っては門前に立つことさえ許されない。仮にいらえがあるにしても、一番上等なもので笑殺、次点でお遊戯会での喝采だ。神々様から見れば、君らは植物。その地、その肉、その物理法則に就縛された存在。まあ僕は、人間とは神様の開発した新種の稲だと思っているんだけど。

 国土は広大で、陸の半分は葦の湿地であり、中央には巨大な湖ーー星湖というーー、この星湖の湖畔に豪壮な宮が4つ、四方に建っている。あと湖の中心に小島があって、ここにも宮が1つ。この5宮は木・火・土・金・水の役割を与えられ、四方4宮の周囲には、役割に応じた敷地と農工のための建築物がある。どれも長大だ。まあ、中央の土の宮だけは一種異様で、巨大な地下迷宮となっているんだけど。宮は東の木の宮から数えて、北の水の宮で終わるようにグルっと配置され、各宮は時計回りに周流する自動の小舟で連絡される。陸路はないーーでもこの舟、じつは仕掛けがある。小舟の下ではワニがせっせと曳航してるだけだから。領地も同様で、葦によって仕切られ、余所への進入はおろか、一顧さえできない。まあでも、ショートカットならある。木から土、火から金、といった具合に、1個飛ばしの宮に限っては、ちょっと物々しい船団が用意されている。暴走を抑制するようだな、つまりは(あとクレーム入れも)。過度に猛った場合、抑制できるのは2つ前の宮だけだから。三すくみならぬ五すくみなのだ。有利が不利に勝つ、これ道理。

 5宮には次のような役割がある。

 木の宮:農耕、酒造、採油

 火の宮:炭製造、高炉管理

 土の宮:鉱石生成、土器製造

 金の宮:鉄器製造、精金抽出と熔解

 水の宮:精気の保管と循環

 金の宮で精金を抽出、熔解し、水の宮でそれを保管、5宮に循環させているが、でもいったい精金とは? それは生命の根源、すべての生物が誕生時に授かり、それを吸引し燃焼し、更にはそれを増幅し拡散する、その循環によって自己も周囲をも拡大させ、繁栄を、更なる繁栄へと導く無限の仕組み、拡大する渦、そこに結実する生の喜びこそ精金なのだ。これを神々様は融かして精気とし、あるいは飲料に、あるいは耕作物への水やりに、あるいは身を清める浄水として、日々の生活を静かに豊かに送るために使用していた、あたかも君たちがそうするように。でも、この精金とは一体どこにあって、どこから来るのか? それは星湖の南東側に大規模な湧水があって、精金は、この湧水に含まれている。淡い緑に輝く小さな結晶、それが精金だ。そしてこの湧水は、河川ーー精金川ーーとなり、星湖の西岸に流れ込む。で、もちろん金の宮は精金川の流入口に鎮座しているわけだ。で、その一部を頂戴しーー6割くらいかなーー、薄口になった河水を星湖にながす。要はこれが上水で、では下水は? それは星湖の北東、流入口と対偶をなす方角に流出口があって、ここに炊事、洗濯、禊の後の精気を流す。もちろん、用をたした後の排泄物もだ。これらは星湖から流れ出た河川ーー豊恵川ーーの流れに乗って、中津国の北端で次元を落ち、現世での北東ーー鬼門に流れ込む。で、これら糞尿交じりの聖水でもって、君たち生命は生育するのだ。君たち動物も、糧となる植物たちも。そして生き、実り、枯れて緑の砂粒となって、また中津国の南西に湧出する。で、それが精金川となってーー、と、まあこうなるわけ。

 そして中津国の東北にはもう1つ、重要な祭祀の峰が存在していた。それは蓬莱。豊恵川の西どなりに位置し、国の境域で、逆さすり鉢のごとき巨躯を屹立させるもの。岩肌荒く、色合い青黒く、ひとたび入っては、その身を損なわずには立ち去りがたい、そんな山。そしてこの神山に、蛇行しながら伸び、山腹を横切っては道となり、螺旋を収縮させながらからまる険難の参道がのびていた。ここを大荷物ひいて踏破する、その準備もふくめたあれやこれ、バカ騒ぎと斎なる祈祷こそ次代開きの大祭りだった。

ほぼ書き上がってるので完結は保証します。

毎月3日リリース、全6 or 7回。

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