戦争チケット
ミゲルの大街のカフェにてトットを飲むカイン
2大魔王の戦争何たらなどどうでもいい
そもそもリバリラティ地方などここからは遠過ぎて到着する頃にはとっくに終わっているだろう
移動魔法が使えるならすぐだが生憎と現在は規制がかかっていて使えない
「1000年経ってもオーガやトロールは進化していないのか」
長寿の魔族と違って魔獣や鬼達は短命だ
当然世代を重ねる訳だが大して進化はしていないようだ
少し気になるのはオーガ軍の装備とやらだ
何かその部分だけ進化というか改良がなされているようで数に勝るトロール軍を打ち負かせるかも知れない力を持つらしい
「おやおや、ここにおられましたかカイン様」
魔法使いのようないでたちでフードを深く被り顔を見せないようにしている怪しげな奴が話しかけてきた
これはいかにも怪しい
「誰だお前は?」
「カイン様でございましょう?」
「そうだがお前は誰だ?」
「これは失礼、私めはこういうモノでございます」
そう言うと怪しげな奴は紙切れを渡してきた
「名刺でございます」
「いらん」
ポイっと投げ捨てるカイン
「自分の名前ぐらい自分の口で名乗れ」
「これは手厳しい、失礼しました…私はロイ・ステップと申します」
「それで何の用だ?」
「ベリオット平原で行われる戦争のチケットはお持ちでしょうか?」
「チケット?、持っていないが」
「それはそれは、格安でご提供できますが如何致しましょう?」
「そもそもそのチケットとやらは何だ?」
「観覧席のチケットです」
「まるで見せ物だな」
「どう致しましょう?』
「いらん、向こうへ行け」
「しかし…」
「いらんと言った」
「はい、それでは…」
渋々退く怪しげな男
商人だったのか?
「見せ物か」
魔法掲示板でも予告されていた訳で何かショーやスポーツ大会の如き扱いだ
「私の頃とは違うか」
トットを飲み干しカインはお代わりを注文した