魔王エンゲル
現魔王に命を狙われる元魔王
エンゲルという魔王がカインの命を狙った理由
襲ってきたグランから聞き出せたが実に下らなかった
「エクレアに文句を言うか」
大魔王エクレアの配下が魔王エンゲルである。
そのエンゲルはカインに対する対抗意識から手下を刺客として差し向けてきた
別にそれは構わないのだが如何せん刺客が弱すぎる
送ってくるならもっと強い刺客を送ってこないと首は取れない
ある意味舐められたモノだ
一応グランにはその旨を伝えて解放させた
俺の首を取りたければ自分で来いと
それはそうと久々のリギウの街
1000年経ってもキーレンズ城下と同様大きく変わった事はない
ただ街の名物だったアッシュ氷が無くなっているのにはガッカリした
凄く甘く冷たいかき氷のアッシュ氷
遥か北方の氷山から切り出した氷がベースだが凍竜フォルテウス率いる氷の竜が住み着いたとかで危なくて氷山周辺地域には近寄れないとのこと
竜は強い
下手をすると魔王より強いかも知れない
カインもかつて竜族を従えた事があったが寝返られると手に負えないと思ったものだ
「それは仕方がない」
そんな恐ろしい竜を相手に戦うなど正気の沙汰ではない
近寄らないのが正解だ
「おや、カイン様ではありませんか?」
杖をついた老人が言いながら近寄ってきた
声に聞き覚えがある
「ジン・パー・リヒトか、生きていたとはな」
「なかなかしぶといでございます」
ジンはカインのかつての部下だ
大魔導師として当時から既に高齢だったが1000年経っても変わらない容姿で爺さんだ
「ここに住んでいるのか」
「はい、なにぶん私も歳なもので」
「なるほど」
容姿は1000年前と変わりないが身体はガタがきているのだろう
「エンゲルという魔王はどんな奴だ?」
「若くてイケメンの魔王です」
「若くてイケメンか、なるほど」
「何か気になる事が?」
「いや、聞いただけだ、私の頃にはいなかったからな」
「エンゲルが頭角を表してきたのはここ400年ぐらいの間ですからな」
「なるほど」