グラン・デスト襲撃
キーレンズ城下を出たカインは地図を手に西方のリギウの街を目指す
距離にして50キロほど
乗り物は使わず、馬に乗りたどり着く
移動系の魔法は使わない
というか使えない
カインが魔界を統一していた時代とは違い今は各地に魔王達が割拠している状態で、結界により移動系魔法が使えないようにされている
正確には指定された場所以外では使えない
結界を破る術はあるが一定のルールが敷かれているならばそれに従う方が良い
なにせカインはもう魔王ではなく今は単なる旅行者に過ぎないのだから
幸い街道は整備されている
しかしこれは他国からの侵入を容易にもできる整備でもある
その辺りエクレアはどう考えているのかは知らないが
いや、そもそもエクレアの支配地であるマイラロ地方以外の他の地域はどうなっているのか
リギウの街にたどり着くカイン
着いて早々に何やら強そうな武人らしき者に絡まれた
「貴公がカイン・ア・ドーロ殿か」
「そうだがお前は?」
「我が名はグラン・デスト、早速で申し訳ないが死んで頂く」
「ほう、それは何故だ?」
「貴公が邪魔だからだ」
「邪魔とは?、私は何もしていないぞ?」
「我が主人魔王エンゲル・ジ・ラクタル殿下の命によりお命頂戴する」
そう言うとグランは何か閃光系魔法を撃ってきた
カインはかわさずそれをそのまま跳ね返す
閃光系魔法らしきものはグランの腹に当たりそのまま倒れた
「……」
まぁ、見ただけで弱いと分かったから単に魔法を返しただけだがあっさりしたものだ
「エンゲルか」
エンゲルという名前に心当たりはない
その現魔王がカインの命を狙う理由は知らないが、グランはまだ生きている
詳しく聞き出さなければならない
カインは回復魔法を唱えた
切り裂かれたグランの腹はみるみる塞がっていく
後は意識を取り戻してからだ