第1話:「聖戦は半年後! だが勇者は未定」その1~メテオフォール開発の始まり~
急に作りたくなっちゃった作品
続くのかは不明ですが、ネタはたくさんありそうですよね。
更新は週末に不定期になると思います
炎上案件情報お待ちしております
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王都メルキオール。
この国の中心に位置する王宮の広場では、大勢の貴族や官僚、技術者たちが集まり、壮麗な式典が行われていた。
「――本年も、技術競技大会を開催する!」
王の宣言が響き渡ると、広場に歓声が巻き起こる。
《グラン・アーク》――それは、隣国との技術力を競う一大イベントであり、王国の威信をかけた戦いだ。
王国技術省に所属する俺――エルク・ラドクリフは、その光景を見つめながら、
今まさに、自分たちの半年間の運命が決まろうとしていることを実感していた。
(……ついに今年も始まったか)
技術省にとって、この技術競技大会は避けて通れないビッグイベントだ。
俺はエンジニアとして、今年のプロジェクトにも当然参加することになっている。
ただ、技術省内での俺の立場は、開発チームではなく、技術管理と補佐業務が中心。
いわば、プロジェクト全体の進行を支える裏方のポジションだ。
(開発の最前線には立たない。……はずだった)
そう思っていたのに――
俺のそんな甘い考えは、この数分後に打ち砕かれることになる。
***
「今年の技術競技大会は、半年後に開催する!」
王の高らかな宣言に、会場が一層沸き立つ。
「そして、今年の大会テーマは――」
(テーマ? 今年はどんな技術が競われるんだ?)
俺は、壇上に立つ王の言葉を聞きながら、静かに息を呑んだ。
「《対戦型技術開発部門》とする!」
――対戦型?
「今回は、各国が開発した技術を実際に競わせ、優劣を決定する新たな試みである!」
広場がどよめく。
従来の技術コンペは、技術開発の成果をプレゼンし、審査員が評価する形だった。
だが、今回は実戦形式で技術を競わせるという新ルールが導入されるらしい。
「対戦型……つまり、実際に技術同士をぶつけて、どちらが優れているか決める形式ってことか?」
俺は思わず呟いた。
(プレゼンじゃなくて、直接戦わせる……?)
当然ながら、このルール変更は各国に大きな影響を与える。
これまでのように、開発技術を発表するだけでは勝てない。
実際に動作し、対戦形式で「相手の技術に勝つ」ことが求められるのだ。
(これは……技術競争というより、技術戦争じゃないか)
俺は一抹の不安を抱いた。
技術省は、過去の技術コンペでも王国の誇る技術を開発し、実績を積み上げてきた。
だが、それはすべて「審査員の評価を得る」ことが目的だった。
相手の技術と直接戦うという発想は、今までなかったのだ。
そして――
この不安は、数秒後に現実のものとなる。
「王国代表の技術開発は、王国技術省が全面的に担当する!」
――は?
「技術省には、この半年間で最強の技術を完成させることを命ずる!」
――マジかよ。
会場が再びざわめく中、俺は己の運命を呪った。
王の命令は絶対。
つまり、技術省全体が、この技術コンペの開発プロジェクトに巻き込まれることが確定したのだ。
***
技術省の本部に戻ると、すでに建物内は騒然としていた。
「半年で最強の技術を作れだと!? 何を作るんだよ!」
「テーマは『対戦型技術』だぞ? 具体的にどんな技術を開発するんだ?」
「そもそも予算は? 人員は? 何も決まってないじゃないか!」
各部署のエンジニアたちが、次々と声を上げる。
当然だろう。テーマだけ決まっていて、開発すべき技術の具体案は何も決まっていない。
それどころか、技術省の上層部ですら「何を作るべきか」を把握していないのだ。
「とにかく、半年で完成させるのだ!」
「王の命令だ。言い訳は通用しない!」
――そう言って、具体的なプランもないままプロジェクトをスタートさせた。
エルクは頭を抱えた。
「最悪だ……」
半年という短期間で、どのような技術を開発するのか――仕様すら決まっていない。
「完全に、納期だけ決まってて何を作るか分からない案件じゃねぇか……」
この時点で、技術省全体が炎上プロジェクトに巻き込まれることが決まったのだった。
最初書いていた流れだと微妙だったので、1話から書き直しました