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超短編集

あーん

作者: 西山景山


 メイドがあーんをしてくれる。


「坊っちゃまはお利口ですね。まだ1歳とは思えません」


 そりゃ俺、36歳だもん。

 前世の話だけど。


「はい、あーん」


 あーん。うん、メイドからのあーんは最高だけど味は最悪だね。

 全然美味しくない。


「坊っちゃまの為にシェフが食べやすいよう調理してくださったのですよ。たーんとお食べくださいね」


 それはありがたいんだけど、このスープ何でこんなに冷たいの? 出来立てだよね?

 ていうかほぼ味ないよ? 水じゃんこれ。


「あまり味の濃いものは小さな子供には良くありませんからね」


 えー、味濃いの食べたーい。

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