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第38話 スタンピード(魔物大量発生)のはじまり

「ええぇ! ミレーネさんいないのかよぉ!」


 常連の男性客がガックリと肩を落として、はぁ~と息を吐く。


「クソ~~今日を楽しみにしてたのによぉ~~」


 まったく、何目的で来てるんだ……


 ミレーネは【結界】をはるために、王都の中央教会に行った。

 ちなみにこの宿屋も王都にある。思いっきり郊外のはずれにだけど。


 実はミレーネ、美女美少女まみれの宿屋「親父亭」の中でもトップクラスの人気を誇る。

 元聖女の清楚さと、短すぎるであろうミニスカートがまぶしい純白メイド服姿のギャップが、とんでもない威力を発揮しているからだ。主に野郎たちに。


「ミレーネは休暇中だ! あたしで悪かったな! とっとと荷物を運ぶぞ! じゃない……運びますよ!」


 ガックリうなだれる男性客に、アリシアの威勢のいい接客が炸裂する。というかセリフ前半は接客じゃないような……重そうな荷物をブンブン振り回しながら客室に向かうアレシア。


 額に青筋が浮き出てますよ……アレシアさん……


 リエナは受付カウンターで、「やっぱりセイジョハ、キョウテキキョウテキキョウテキ……」と意味不明にブツブツ言ってる。なんの呪文だ?


 リエナがハッとしたように顔を上げて俺を見た。


「バルドさま! やっぱり私もアレシアたちみたいなメイド服にするぅう!」


 ええ! いきなりどうしたの……いやでも……

 ヤバイ……リエナのメイド服、想像しちゃったよオッサン。

 しかし、まてまて、オッサン冷静になれ! これ以上ミニスカ率を増やしてどうするんだ! 誰も心が静まらないじゃないか(主に男)!


「リエナの受付嬢服も、とっても似合っているぞ。いいじゃないかそのままで」


「でも~これじゃ露出少なくて~私1人だけ不利なんですっ!」


 不利ってなんだよ……


 有利不利の意味がよく分からないが、とにかくリエナの受付嬢服を褒めまくる。これでもかという程に。


「う~ん、まあバルドさまがそこまで望むんならしかたないか……」


 若干頬を膨らましてはいるものの、メイド転向は思い留まってくれたようだ。

 ふぅ、なんとか店内ミニスカ率100%はブロックした。


 するとロビーのドアが勢いよく開いて、別のミニスカが駆け込んできた。


 セラだ。


「ご主人様―――きマシタ!」


 セラの言う「きた」とは……



 ―――魔物の群れが来たってことだ。




 ◇◇◇




 セラの報告によると大森林から複数の魔物が出てきたらしい。目視での確認だ。

 ちなみにセラは魔導人形の望遠レンズとやらを使用して遠くまで見ることができる。


 王都の家屋で最も大森林に近いのは、郊外の外れにポツンとあるこの宿屋だ。

 少し歩けば大森林がみえる近さだ。


「姫様! 守備隊配置に就きました!」

「ご苦労様です守備隊長。追って指示あるまで待機です」

「ハッ!」


 王都からも若干の兵が駆けつけてくれた。もちろん王都の防衛陣地は無数にあるので、駆けつけた兵はごく一部だが。

 彼らには固定位置にて、弓や魔法での防御に徹してもらう。


 切り込むのはアレシアと俺だ。


 剣聖アレシアの攻撃は凄まじく、うかつにその範囲に入るとひとたまりもない。

 俺はある程度彼女の攻撃範囲が肌感でわかるので、アレシアの邪魔にならずに動くことができる。


 アレシアには強力な攻撃をバンバン放ってもらう。大振り広範囲な攻撃ゆえに多少のうち漏らしは出る。

 俺の役目は彼女のうち漏らし処理である。


「バルドさま、はじまりの魔物たち……どのぐらいのレベルなのでしょうか」

「そうだなリエナ……はじめは対応しやすい魔物が出てくるだろう。ブラックウルフやレッドボアみたいな」


 魔物大量発生スタンピードは基本的に弱い魔物から出てくる。大森林の奥地から強い魔物に押し出されてくるからだ。


 ブラックウルフやレッドボアは、魔物としてそこまで強くはない。いわゆるEクラスの魔物だ。だから、はじめに現れる魔物「はじまりの魔物たち」として出てくることが多い。


 だが……


 まれに、序盤からAクラスやBクラスの強い魔物から出てくることもあるらしい。


 その場合は、最奥にはとんでもないやつがいる。弱い魔物たちが大森林を出る時間すら与えられずに全滅するほどの。


 まあ、それは本当に稀だ。俺も経験したことはない。魔物大量発生スタンピード自体が滅多に起こらないのだから、まあ確率的には非常に低い。


 ―――よし


「リエナ―――ちょっと行ってくる」

「ええ! ちょ、バルドさま行くって!?」


「大丈夫だ、見てくるだけだ!」


 俺は地を蹴り、大森林に駆け出した。


「あ~ん、行っちゃった~~またこのパターン~~」




 ◇リエナ視点◇



「リエナ、先生は?」

「いつものパターンで行っちゃった……」


「ハハ、先生らしいな。宿屋の方は大丈夫だ。全員部屋に待機させている」

「そ、そうね……ありがとうアレシア」


 ダメダメ! しっかりするのよリエナ。

 バルドさまの近くにいてずいぶん経つのよ。もうバルドさまのことを理解しているはずよ!


 ―――自信をもって! わたし!


 まずは現状把握よ。


 王都守備隊50名、各自持ち場についているわね。

 セラは宿屋玄関前に待機。なにやら物騒なハンマーを持っているわ。しかも両手に。


 剣聖アレシアはわたしの横で待機。聖剣の柄に手をかけている。



「リエナ~~~~~~」



 戻って来た! バルドさまだわ!

 その後ろには土煙が……魔物もすぐそこまで来てる!


「第一派ブラックウルフ約50だ~~総員せんとうじゅんび~~~」


 バルドさまの声に守備隊が身構える。



 ふう……ブラックウルフですね。順当通りにまずはレベルの低い魔物から……って!



 ―――あれ本当にブラックウルフ!? 私が知ってるのとなんか違う!


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