表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/69

第21話 剣聖アレシア視点、アレシアを救う者

 ズーン、ズーン、ズーン


 大きな地鳴りと共に接近してくる大型ゴーレム。


『ナトルのクソどもが~~! まさか王城攻略用に温存していたキングゴーレムを出さねばならんとは! こいつを稼働させた以上は覚悟しろよ!』


 ゴーレムの頭部から拡張された声が聞こえてきた。人が乗っている。おそらくはこのゴーレムの指揮官だろう。


「うわぁああ! デカい!」

「各小隊! 戦闘陣形を崩すな! 魔法部隊攻撃魔法用意!」


 たしかにデカい。


 あたしに斬れるのだろうか。


 だが……


 ―――やるしかない!


 あたしは腹を括って、大きく深呼吸して体内に【闘気】を練りこみ始める。聖剣を正眼に構えたようとしたその時―――


 ブゥウウウンという音と共に徐々に周りが見えなくなっていく。


 ―――こ、これは……



 周りの景色が漆黒に染まっていく。どんどん黒く……



『ギャハハっ! ナトルのゴミども! 貴様らに攻撃の機会など与えるかぁあ!』



「な、なんだ周りが突然暗くなったぞ!」

「各小隊、持ち場を離れるな! クソ何も見えん!」

「魔法部隊、目標を見失いました。攻撃できません!」



『そりゃそうだ! わがキングゴーレムが【闇のスモーク】を発動させたからなぁ! 貴様らの視覚は奪われたんだよぉ!』


 クッ……暗い、がひるんでいる場合では……ガッ!!


 あたしの体は重い一撃とともに、後方に吹っ飛んだ。


「ご、ゴーレムの一撃か? だがどうやって?」


 あたりを見回すものの、全てが暗い闇だ。なにも見えない。

 辛うじて聖剣を合わせたことにより直撃は回避できたようだが。体中が痛い。


『ギャハハっ! キングゴーレムは魔導暗視ゴーグルを標準装備しているのだぁ! すごいだろう! 暗闇だろうがなんでも見えるんだぞぉお! ナトルのド田舎兵士どもにはこんな技術力はないだろうがな! 魔道具最高国家ノースマネアの力作にひれ伏すがいいぃい!』


 とうことは、こいつだけがこの暗闇で攻撃できるということか。

 マズイ、あたしがなんとかしないと。


 闇の奥から、フォンフォンとなにやら不気味な音があたりに響き始める。


『さてと、お遊びは終わりだ! 魔力ゴーレム砲門ひらけ! 砲撃開始ぃいい!』


 あたり一面に、ズドンズドンと地鳴りが連続して響き渡る。

 地鳴りがするたびに、兵たちの苦痛の叫びが聞こえてきた。


『ギャハハっ! 手も足もでないか! ナトル兵ども~~!』


 あたしはなんとか体を動かすも、どんどん動きが鈍くなっていく。

 さっき受けたダメージが原因じゃない……


 ────怖いんだ、やっぱり暗闇が。


 ついには動かなくなってしまった自分の体を恨んだ。なぜだ、闇さえなければこのぐらいの苦境乗り切ってきたはずなのに。いや違うか……


 ────単に鍛錬が足りなかっただけ。


 なんだか自分の思考が、自分のものなのかどうかもわからなくなってきた。

 ただひとつだけ。わかっているのは、あたしはこのまま何もできずに死を迎えるということ。


『そこにいるのは先ほど暴れまわってた小娘かぁ? ん~んん? それは聖剣だな? ということは貴様が剣聖かぁああ! ギャハハっ! これはいいぞ、剣聖を葬り去ったとなれば我がノースマネアの技術力は大陸中に知れ渡ることになる! 最大のゴーレム砲で始末してくれる! 極大魔力ゴーレム砲、発射準備ぃい!』


 もう両手もろくに動かなくなった。虹色の聖剣に申し訳ない。

 こいつを振るうこともなく、あたしは終わるのか。


 ────なにが剣聖だ。あたしは未熟な小娘だ。


『極大魔力ゴーレム砲へ魔力注入開始! 魔力充填50%!』 


 コロン


 破けた上着からパンが落ちた。アンパンだ。

 先生と別れる前に1つ持たせてくれたんだったか。先生は本当にアンパンが好きだな。


『魔力充填100% 最終安全装置を解除! ゴーレム全乗員は衝撃に備えよ!』


 アンパンを見ながらふと思う―――先生は諦めるだろうか?

 たぶんだけど、あたしに対しては諦めも重要だと言ってくれるだろう。


 でも、先生なら諦めないだろう。少なくともやれることは絶対する。


 ―――なら


 弟子のあたしもやる!!


 あたしは最後の気力を振り絞って立ち上がった。

 聖剣を正眼に構えて、いまできる限りの【闘気】を集中させる。いつもならしっかり地に根を張る両足がガクガクと揺れている。ベストでないことはわかっている、でもそんんなことは関係ない。


『魔力充填120% 発射準備完了!』


「―――ふぅううううう」


 今できる最大の斬撃を―――


『極大魔力ゴーレム砲!! 発射ぁあああ!』


 闇の奥からあたしに近づいてくるゴゴゴゴゴという、轟音。


 勝負だっ―――!!



 ――――――「剣技最大奥義! 一刀両断!!!」



 渾身の虹の斬撃があたしの聖剣から放たれる。


 闇の奥から現れた極大の衝撃波と正面からぶつかり、凄まじい炸裂音があたり一面にこだまする。


「クッ……」


 ―――押される


 せめてこの一撃だけでも相打ちに! これを防がないと後方にいるナトル軍は全滅だ。


 ―――でも押される


 全身の【闘気】をこれでもかと体中から無理やり練りこむ。意識も飛びそうだ。全身が震え始める。


 ここまでか……

 そう思った時―――


 うしろからとてつもない斬撃が飛んできた。


 ゴーレムの放った極大の衝撃波は、その斬撃により見事に真っ二つに裂かれていき。一瞬にして四散した。


「こ、これは……!?」


 さらにあたしたちを覆っていた闇のスモークも真っ二つに裂けていく。暗闇が消えて光が戻ってくるではないか。その先にいたのは……


 ああ、やっぱり来てくれた。先生……


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ