6・爆誕!!!
(え!?なんか入ってきたんだけど!?)
ファフニールは優里が冒険者ギルドへと入ってきた事に動揺していた。
「どうかしましたか?」
「あ、ああ、いや、何も」
そして優里はというとーー
(あの魔力、気配!人の姿になっているから一瞬分からなかったけど間違いない!ファフニール様だ!!!)
ファフニールの人化の魔法を一発で見抜き、こんなにもすぐに会えた事にとても興奮していた。
優里は今すぐにでも「ファフニール様!!!」と声を掛けたかったが、流石にこの人目でそんな事をするのは不味いと思い踏みとどまっていた。
だからまずは、一緒にパーティーを組まないか、という体で話しかける事にした。
「ねえ、そこのあなた。よければ、私と一緒にパーティーを組まない?」
「え?俺?」
ファフニールは酷く困惑していた。
なぜ召喚された身でありながらここにいるのか、なぜ自分に話しかけてくるのか、と。
そして、ファフニールにとってはそんな事よりも重大な事があった。
それはーー
(なにこの子、めちゃくちゃ俺のタイプなんだけど。やばい、可愛すぎて内容頭に入ってこないな〜)
所謂、一目惚れというやつだ。
その黒髪ロングで少し眠そうな眼がファフニールのストライクゾーンに見事に命中していた。
「そうよ。私には分かるわ。あなたの強さが。普通の奴らには分からないだろうけど、私には分かる。その膨大な魔力が、あり得ないほどの身体能力が」
「へ、へえ、そんなんだ。すごいね」
ファフニールは素直に驚いていた。
自分の実力を即座に見抜かれたからだ。
ファフニールは、何もしないで人前に出ると、その一般人ですら知覚できてしまうほどの存在感のせいで注目の的になってしまう。
だから、自分の魔力や身体能力、存在感を限界まで隠していた。
それなのに優里に一発で見抜かれた。
それが素直に驚きだった。
「まあ、ここじゃなんだし、どう?ちょうどお昼だし、どこかへ食べに行かない?」
「ああ、分かった。そうしよう」
そうして2人は近くの飲食店まで移動した。
2人はそれぞれ自分の好きな食べ物と食事を頼み、向かい合うように座った。
先に口を開いたのはファフニールだった。
「話を始める前に、聞きたい事がある」
「何でしょうか?」
ファフニールは優里の口調が敬語になっている事に疑問を覚えたが、話を進める事にした。
「君、邪竜討伐のために召喚された異世界人だよね?」
「はい。愚かにも、偉大なるあなた様を討伐しようなどというゴミクズの様な理由で召喚されました」
「うん、やっぱりそうか••••••ん?今なんて?偉大なるあなた様?」
一瞬流しそうになったが、ファフニールはギリギリで気づいた。
「ではまずは、私の事情から話しましょう」
「お、おう」
「まず、私は転生者です。元々はこの世界で生きていました。そして死に、別の世界に星野優里として転生しました。そして、今度はその別の世界からこの世界に召喚されて今に至ります」
「なあ、その世界って、地球っていう星の日本だったりしないか?」
確信は無かった。
だが、その顔立ち、名前、雰囲気から懐かしい雰囲気を感じ取ったのでなんとなく聞いてみた。
「は、はい、そうですが。なぜそれを?」
「簡単な話さ。俺も元々は日本人だからだよ」
「え!?そうなんですか?」
「ああ」
「言われてみれば、そのお顔も日本人の顔立ちに似ているといえば似てますね」
「ああ、俺の元々の顔を原型にしてるからね。で、続きは?」
ファフニールは大体の事情はもうすでに察していた。
が、一応聞いておく事にした。
「はい、私がまだ、この世界でセシリー・アズレイドとして生きていた頃、私は人類最強レベルの魔法使いでした。しかし、そんな私でも手も足も出なかった相手がいました。それがあなた様、ファフニール様です」
ここでファフニールは思った。
(やっぱり俺の正体に気づきてたんだな)
と。
「私は私の国もろともあなた様に消し飛ばされました。その瞬間、私はその強大な力が美しいと感じました」
「え?」
「私はその時、生まれて初めて恋をしました。あなた様のあの強大な力に惚れたのです」
「え"?」
「そして今、私はあなた様との再会を果たした。という訳です」
「な、なるほど」
ファフニールは想像の斜め上の解答が来たせいで困惑していた。
てっきり、自分は恨まれていると思っていたからである。
だから常に警戒をしていた。
が、今は驚きのあまり口を半開きにしていた。
ファフニールは情報を整理したかった。
そのための時間稼ぎをする事にした。
「そ、そっか。そういえば、自己紹介がまだだったな。俺はファフニール。ここではユウトと名乗っている」
「私は先程も言った通り、星野優里です。ここでもユウリと名乗ろうと思います」
「••••••」
(やばい!さっきの話のインパクトが強すぎて全然会話が進まない!!!)
そして、もうどうにでもなれ!という思いでファフニールは口を開いた。
「俺と付き合ってください!!!」
「え?」
2人は、お互いに困惑していた。
ファフニールは自分で言った事に自分で驚いていた。
優里は状況が理解できずに困惑していた。
が、優里は頭を全力でフル回転させ、なんとか状況を理解した。
そしてーー
「はい!喜んで!!!」
こうしてここに、1つのとんでもないカップルが爆誕した。
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