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5・冒険者ギルド

 ファフニールは報酬の金貨を貰い、宿屋の一室に泊まり寝ていた。


 ゼウスは、ファフニールに文明を滅ぼしてほしいと頼むときにはファフニールの夢の中に介入して伝える。

 そして、この日は別の用途でファフニールの夢の中に介入してきていた。


「ファフニールよ。聞こえるか?」

「ああ、ばっちりだよ。で、今回はどこを滅ぼせばいいの?」

「いや、今回は要件が違う」

「?」

「気をつけろ、其方が今いる国に、其方を殺し得る存在が解き放たれる。警戒しておけ」

「え?まじ?なんで?」

「皇帝が1000人の民を犠牲に異世界召喚を行ったのだ」

「異世界召喚って、あの典型的な奴か?」

「そうだ」

「でも、俺を人間の身で殺せるなんて、にわかには信じ難いな」

「単体での勝機は無いだろうが、今回の召喚は複数人での召喚だ。気を抜くなよ」

「ま、あんたがわざわざ言いに来てるんだ。わかった。気をつけるよ」

「うむ。では」

「ああ」


 そこでゼウスが介入した夢は終わりを告げた。


 そして次の瞬間ーー


(!!!なんだ?)


 この瞬間、この帝国から1000人の民の命が失われた。

 その事に勘付いたファフニールは咄嗟に目を覚ました。

 そして今起きている事態を瞬時に理解した。


 竜という種族は、己が強大であるが故に自分より弱い者の気配に鈍感だ。

 だから、もしこの場にいるのがファフニールではなく他の竜だったら、何も気づかずに爆睡をかますところだっただろう。

 しかしファフニールは違う。

 ファフニールはこの異世界に降り立ったその日から、強さに貪欲だった。

 それこそ、他の竜とは比べ物にならないほどに貪欲だった。

 まあ、魔法の1つも無い世界から来たのだから当然の事だろう。


 ファフニールは強さを求める過程で、強大な力で捻じ伏せるだけではダメだと気づいた。

 強大な力では、何かを守りたい時、細かい作業をしたい時に、上手く活用する事ができないからだ。

 そこでファフニールは人間が使う初歩的な魔法、技巧アーツも覚え始めた。


 ちなみに、その訓練のせいで滅んだ国はいくつかある。

 哀れだ。


 結果、気づいた頃にはファフニールは現存するほとんどの魔法や技巧アーツが使えるようになっていた。

 その技巧アーツの中に、気配察知というものがある。

 これを寝ている間も常時発動させているからこそ、今回の変化に気づく事ができたのだ。


 ちなみに、気配察知の効果範囲は半径1kmである。


「えーっと、1000人くらいが死んで••••••強大な人間が5人新たに出現してるね。これなら確かに俺を殺せるかもな〜」


 ファフニールは状況を把握し呟いた。


(ん?何か5人の中に妙な気配の奴がいるな••••••)


「まあいっか!」


 せっかく汚名返上が出来そうな冷静さだったのに全てを台無しにする駄竜。


「それより今日は早速冒険者ギルドに行ってみよう!」

 

 ファフニールは宿屋の人から色々な情報を聞き、冒険者ギルドがあるという情報を得た。


(冒険者といったらファンタジーの代表格!絶対に、何がなんでもなってやる!)


 ギルドに着く前からそわそわしているファフニールだった。




◇◆◇




 「おお、ここが冒険者ギルドか!」


(思ったよりも立派な建物だな)


 と、ファフニールは素直に思った。


 その建物は、赤色の瓦が使われた屋根のついた2階建ての建物で、壁にはコンクリート、ドアには木材が使われた綺麗なものだった。


 そしてファフニールは取り敢えずギルド登録をする事にした。

 登録しない事には何も始まらないからである。


 というわけでファフニールは受付まで足を運んだ。


「ギルド登録をしたいんだけど」

「かしこまりました」


 ファフニールの軽い喋り方のお願いに丁寧に返答したのは、受付嬢のエリーだ。

 このギルドでは、看板娘のような存在になっていて、冒険者から1番人気がある受付嬢だった。

 あいにく、ファフニールは(人気ありそう)くらいにしか思っていないのだが。


「では、こちらに記入をお願いします」

「はーい」


 ファフニールは軽い返事をしつつ、エリーが渡してきた書類を受け取った。

 

 主に書く事は2つ、名前と職業だ。


 この世界では、普通の人間は苗字が無いのが普通。

 だからファフニールは、前世の名前である漆間優斗から取り、名前の欄にユウトと書いた。

 そして職業の欄は選択肢になっていて、その中にあった魔戦士という職業を選んだ。

 そしてその書類をエリーに渡す。


「魔戦士ですか。珍しいですね」

「そうなの?」

「はい。1番多いのが剣士、その次が戦士、その次が魔法士になりますね。ですが、職業によって差別されたりはしませんのでご安心を」

「へえ、そうなんだ」


 一瞬、魔戦士を選んだ事に不安をおぼえたファフニールだっまが、最後の言葉を聞いて安心した。


 そしてエリーがこほんと咳払いをした。


「では、これから冒険者についての説明に入ります。まず、冒険者には9段階のランクがあり、下からG、E、D、C、B、A、S、SS、SSSとなっております。最初は全員Eランクからのスタートになります。依頼にも同じようにランクがあり、同じか1つ上の依頼を受ける事ができます。何か質問はございますか」

「じゃあ、どのくらいでランクが上がるの?」

「最初は10個くらい依頼をこなせば昇格します。しかし、上に行けば行くほど昇格に必要な依頼数も増えていきます。他にはございませんか?」

「うん。大丈夫」

「では、こちらが冒険者カードです。失くすと再発行に銀貨10枚掛かりますのでご注意ください」

「分かりました。じゃあ、今日はこの辺で」

「はい。ご活躍を期待しております!」


 ちなみに、通貨には銅貨、銀貨、金貨、白金貨がある。

 銅貨1枚で10円といったくらいの価値だ。

 そして、それぞれ100枚で上の通過1枚分の価値になる。


(ん?召喚された内の1人がこっちに来ている?まさか俺が邪竜だってバレた!?いやいや、それは無いか••••••でも何でーー)


 ファフニールがそんな事を考えている間に、冒険者ギルドに向かってきた異世界人の1人、優里がギルドに足を踏み入れた。

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