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4・残念皇女様

「よし、転移完了っと」

「お、おお!!!これが転移テレポーテーションでございますね!!!これほどの魔法をお使いになるとは、流石はユウト様です!!!」

「お、おう。そっか」


(うん。竜眼で見た通り、ちゃんと目立たないところに転移できたな。流石はこの俺。素晴らしい腕前だ)


 と、自分に高評価をするユウトことファフニール。

 こういう自分にも高評価をし、謙虚さのかけらもないところがまさしく駄竜である。


「よし、ここから数分歩けば帝国に入れるはずだ」

「分かりました。入国の際には私にお任せください!」

「ああ。頼りにしてるよ」

「おお!勿体なきお言葉!!!」

「お、おう」


 自分の事を神格化される事にファフニールはむず痒く思っていた。

 なにせ本当の姿はありとあらゆる生物から恐れられる邪竜なのだから。


 ファフニールはそんな事を考えると、ふと気になる事ができた。


「な、なあ」

「はい!何でございましょう?」

「邪竜ファフニールって何なんだ?」


 そう。人間達が自分の事をどう認識しているかだ。

 ファフニールは人間達の意見を直接聞いた事はない。

 だから気になったのだ。


「邪竜ファフニールですか?あれは怪物ですね。どんなに強い存在であれど、あの化け物の前では赤子同然。そのくらいに理不尽な存在なのです。それなのに気分屋で、すぐに国や集落を滅ぼす。まあ、一言で表すなら()ですかね」

「そ、そうか」


 想像の倍以上に禍々しく受け止められていた事にファフニールは動揺した。

 そして思った。


(絶対にバレたらヤバイ)


「あ、でもユウト様はあんな奴とは違い素晴らしいお方だと思いますよ!!!」

「お、おう」


(同一人物なんだよな〜)


 ファフニールはアレクシアのそのまっすぐな視線に苦笑いすることしか出来なかった。




 それから数分後、2人は帝国に入るための門の前まで来ていた。

 そして入国者の列に加わる。


 そしてとうとう2人の番が来た。


「次!ってあなたは!?アレクシア様!?」

「ええそうよ。サルティエス王国に向かう途中に盗賊に襲われて、こちらにいらっしゃるユウト様に救われたわ!」


 と、目をキラキラと輝かせながら手短に説明した。


「そ、そうですか。で、では護衛の者はどうしたのですか?」

「全員死んだわ••••••」

「そ、そうですか」


 アレクシアの表情が一瞬曇った様に見えた。


「で、では城までの馬車を手配しますので、待合室でお待ちください」

「ええ。そうさせてもらうわ」


 そうしてファフニールとアレクシアは待合室にて馬車を待つ事になった。


「申し訳ございませんユウト様、馬車がくるにはもう少し時間が掛かるようです」

「気にしなくていいよ」

「おお!流石はユウト様!寛大でいらっしゃる!!!」

「お、おう」


 実際のファフニールは謙虚さのかけらもなく、無計画でぐうたらの駄竜である。


「お待たせしました。馬車が到着しました」

「ありがとう。あなたは仕事に戻りなさい」

「承知いたしました」


 先ほどの門番の人が馬車の到着を知らせに来た。


 そして2人は馬車に乗り込んだ。


「それでユウト様。先ほどの礼の件ですがーー」

「ああ。考えておいたよ。まず、金が欲しい。盗賊から奪いはしたけど、あるにこした事はないからね。そしてもう1つ。俺の事を皇帝とかには内緒にしてほしい」

「前者の方は分かりますが、後者はなぜです?」

「政治絡みのドロドロに巻き込まれたくないんだよ」

「なるほど、分かりました!!!父上や母上には内緒にしておきます!!!」

「ああ。助かるよ」

「それと、お金はーー」


 アレクシアは流石は第二皇女と言うべきか。

 お金の渡し方がちゃっかりしている。


 まず、アレクシアはファフニールに自分の息がかかっている宿をおすすめに紹介し、そこにいる部下にお金を渡させるという方法だ。

 ファフニールがそこの店員にアレクシアのサインが入った手紙を渡せば金が渡されるという寸法だ。


 ちゃっかり監視もできるようにしているあたり、流石は第二皇女だ。


 まあ、その事に駄竜のファフニールが気づく事はなく、転移テレポーテーションで馬車から姿を消し、紹介された宿屋の屋根の上に姿を現した。


(アレクシアの奴、口止め量としてちゃっかり金貨10枚くらい渡してたな)


 アレクシアの手際の良さを思い出し、身を震わせるファフニール。


(怒らせるような事はしないでおこう)


 駄竜にしては賢明な判断だった。


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― 新着の感想 ―
[一言] これは確かに残念皇女www
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