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3・お姫様を救出します(?)

「さてと、人化の魔法も無事成功したな」


 ファフニールは人化の魔法を成功させ、身長180cmで黒髪、その紅い瞳を輝かる17歳くらいの非常に美形な少年の姿になっていた。

 そんなファフニールは自分の住んでいる洞窟にある鉄を鏡にして自分の姿を見た。

 そんなファフニールの自己評価はーー


「おお!前世よりもイケメンだな!!」


 であった。


 そして今から人間の国に向かおうとしていたがーー


「どの国にいこうかな?」


 ファフニールは実に無計画だった。

 

 300年周期で睡眠を取るなんて言われているが、実際はただぐうたら寝ているだけであった。

 300年というのは、文明が発展する速度に過ぎないのだ。


 この事を人間達が知ったら皆口を揃えてファフニールを駄竜と呼び始めるだろう。

 

 こんな駄竜には勿体ない容姿である。


 しかし、ここでやっと流石の駄竜ことファフニールも思い至った。

 すなわち、(行き先決めてなかった••••••)と。

 しかし、ファフニールはここで実に邪竜らしい決め方を思いついた。


(そうだ!盗賊に襲われている人を助けて、その盗賊から金品を奪い取ってそこから1番近い国に行こう)


 と。

 まあやる事は善行と言えるが、その思考回路は邪竜(駄竜)その物であった。


「そうと決まれば早速行動に移そう!」


 この行動力はファフニールの()()長所なのかもしれない。


「竜眼!」


 竜眼とは、その名の通り、竜にのみ使える能力で、どんなに遠くの場所でもどんな障害物があろうとも見たい場所を見る事ができるという優れものだ。


「お!いい感じの盗賊発見!見たところ襲われてるのはお姫様?って感じだな。よし、ここにしよう。そうと決まれば、転移テレポーテーション!」


 転移テレポーテーションとは、その名の通り、見える場所、行った事がある場所に自在に瞬間移動できる魔法だ。


「よし、到着!」


 ファフニールは狙い通りにお姫様を盗賊から庇うように転移した。


 お姫様が乗っている馬車を20人程の盗賊が襲っていた。

 そして、馬車の護衛と思われる人が5人程地面に倒れていた。

 そして、馬を操っていたと思われる人も盗賊に刺されていた。

 馬車に残っているのはお姫様ただ1人だった。

 ファフニールが回復魔法を掛ければ治せるだろうが、ファフニールにそんな意志は存在しないため、もう助からないだろう。


「な、なんだお前は!?どこから来やがった!?」

「か、構うな!そいつごと姫も殺せ!!!」

「悪いけど、噛ませ犬は君達だよ」

「か、かませいぬ?何訳わからねー事をーーグハッ」


 盗賊の1人が何かを言おうとしている途中だったが、ファフニールは容赦なく腹にデコピンを食らわせた。

 人化しているとはいえ、元は100mを超える邪竜。

 殴ったり蹴ったりすると遥か彼方まで飛んでいってしまうと思ったファフニールはあえてデコピンを選んだ。

 しかし、やはりデコピンでも強すぎたのか、食らった盗賊は15m程吹き飛ばされ絶命した。


「あらら、やり過ぎたか。なら次はもっと弱くしなきゃだな」

「お、おいてめぇ。い、一体何しやがった!?」

「何ってただのデコピンだけど」

「そ、そんな訳あってたまるか!!!」

「ま、君が理解する必要は無いよ」


 それからファフニールはあっさりと盗賊半分を殺し、そこからは手加減を覚え、もう半分を気絶させた。

 そしてちゃっかり盗賊から金品を奪い取っていた。

 こういう所を見るとやはり駄竜である。


「あ、あの!」

「ん?」


 お姫様が馬車から降り、ファフニールに声を掛けた。


「私はリントラージ帝国の第二皇女、アレクシア・リントラージと申します。まずは助けていただき、ありがとうございました。あなたが来てくださらなければ、私は死んでいたでしょう」

「あー、まあ、無事みたいで良かったよ。それじゃあ俺はこれで」

 

 ファフニールが面倒事はごめんだと言わんばかりに別れを告げようとするがーー


「お待ちください!!!何か、何か礼をしなければ私のこの気持ちは治りません!!!」

「え、ええ••••••」


 アレクシアはファフニールに目を輝かせ、まるで神でも見ているかのような表情で懇願した。

 その態度を見ると、アレクシアを守るために逝った部下達が哀れに思えてしまう。


(なんか嫌な予感がする••••••)


 その予感通り、物事は面倒な方向に進んでいた。


 そう。アレクシアは、ファフニールに惚れていたのだ。

 というか、それはもはや信仰に近いのかもしれない。


「と、とりあえず移動してから話をしよう」

「はっ!た、大変申し訳ございません!このような場所にあなた様を長居させようとしてしまうとは!」

「お、おう。まあなんだ。1回落ち着こうぜ」

「そうですね!!!」


(なんというか、随分とお転婆なお姫様だな••••••)


「まず、君はどこに向かおうとしてたんだ?」

「はい!私は諸事情により、サルティエス王国まで向かうところでした。しかし、この様な状況で王国に向かう訳にもまいりません。なので1度帝国まで戻ろうと考えております」

「なるほど。でももう馬車は使えないだろう?」

「はい、ですから、少し時間は掛かりますが徒歩での移動となってしまいます。あなた様のお手を煩わせるような事になってしまい、大変申し訳ございません!!!」

「え!?あ、謝らなくていいよ!そうだな••••••帝国の近くまで転移してくか?」

「てんい?ですか?」

「ああ。転移テレポーテーションっていう魔法の一種で、行きたい所まで瞬間移動できるんだ。この魔法を使ってここまで駆けつけたんだよ」

「おお!流石はあなた様ですね!!!はっ!そういえば、まだお名前をお聞きしてませんでしたね。教えてくださいませんか?」

「あ、そうだな。俺は••••••」


 ファフニールは考えた。

 流石にファフニールと名乗るわけにはいかない。

 そこで、前世の名を名乗ることにした。


「俺はユウトだ。ただのユウトだ」

「おお!何という神々しいお名前でしょう!!!」

「え"!?」


(いや、前世じゃありふれた名前なんだが••••••)


「さ、さて。リントラージ帝国はどっちの方向だ?」

「はい!あちらでございます!」

「了解。よし、転移テレポーテーション!」


 ファフニールはアレクシアの指差す方向にある国の近くの目立たなさそうな場所に転移した。

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