16・宮坂鈴音
すみません!投稿サボってました。
リントラージ帝国国境付近、ローランドと異世界組4人は魔物を倒して経験を積み、この世界で生きる術を身につけていた。
(もう数日で国境に着く。そうすればアレクシア様のご命令通りにこいつらを自由にできる)
最近、この世界で生きていくのに反抗的だった龍之介と健が随分と素直に言うことを聞くようになった。
これはローランドにとって、嬉しい誤算だった。
ここまで経験を積み、それぞれ得意な魔法、戦術が判明してきた。
まず、俊介。
彼は主に、自分の身長ほどある大剣と光魔法を使う前衛スタイルだ。
異世界組の中で1番バランスが良く、時には臨機応変に後衛や中衛もこなす。
そして鈴音。
彼女は主に後衛で支援魔法と結界魔法を得意とする。
前衛での直接的な戦闘力は皆無と言っていい。
次に龍之介。
彼は俊介よりもさらに前衛に特化している。
装備は棘のついたメリケンサックを使い、敵を殴り殺すタイプだ。
時には蹴りも使う。
身体強化以外の魔法はからっきしだ。
そして最後に健。
彼はこのチームの目と耳だ。
気配察知や気配操作に長けており、敵が襲ってくる前に事前に察知し味方に伝える。
そして自分の気配を消し、敵に気付かれずに背後に回り込む事ができる。
所謂暗殺者だ。
このバランスが取れた戦闘力を見てローランドは安心していた。
これで自分がいなくても生きていけるだろうと。
そして国境まで後2日のその日。
ローランドは違和感を感じ取った。
確信はないが、龍之介と健の眼が虚に見えたのだ。
しかし、俊介と鈴音は特に気にした様子もなかったので気のせいだと思い、歩みを進めた。
それがローランドの失敗だった。
「よし、目的地まであと1日だ。今日はここで野宿しよう」
「「はい」」
「「••••••」」
その日の夜、ローランドが4人に対して声をかけたが、俊介と鈴音は返事をしたが龍之介と健は魂が抜けたかのように無言を貫いていた。
ローランドはこの様子を見て違和感を感じたが、疲れているのだろうと思い特に気にせず眠りにつこうとした。
そしてーー
「ローランドさん。話があります」
「ん?鈴音か。入りなさい」
ローランドのテントに鈴音が訪ねて来た。
そして自然にローランドの背中がテントの入り口に向くように鈴音は座った。
「じ、実は相談があって」
「うむ。話してみなさい」
「は、はい。えっとぉ、その」
「ん?どうした?話してみなさい」
何か言いづらそうにする鈴音に優しく話しかけるローランド。
そして大きく深呼吸した鈴音は笑顔で言う。
「死んでください」
「え?グハッ!」
鈴音がそう言った瞬間、気配を消して背後に回り込んでいた健がナイフでローランドの急所を刺した。
「な、なぜ?」
ローランドは残った力を振り絞り掠れた声で言う。
「龍之介と、健の、眼が虚に、なっ、ていたのも、お前の、仕業、か?」
「ええ。そうですよ」
「どう、やって?」
その問いに鈴音は笑顔を崩さずに答える。
「私、支援魔法と結界魔法の他にも精神操作魔法も使えるんですよ」
「なっ!」
ローランドは目を見開いた。
何せ精神操作魔法とは、この帝国では忌避されてきた魔法だからだ。
その魔法があれば国を落とすのも容易いからだ。
「その力で龍之介君と健君の精神の自由を奪ったんですよ。これで2人は私の人形です。そして仕上げに俊介君」
ここで鈴音は笑顔をさらに禍々しい笑顔に変えるように口角を上げる。
「私はずーっと、ずーっと彼が欲しかったんですよ。だから精神の自由を奪うなんて勿体無いことはせず、自我を残したまんま精神を操る事にしたんですよ」
「なら、なぜ、私を、殺す?」
「だってあなた、この中で1番弱いでしょ?用済みなのよ」
「なっ!」
「殺しなさい」
「ーー」
その鈴音の指示でローランドの首は飛ばされる事になった。
「さてと、次は星野優里ね。あの強力な魔法。是非とも欲しい!」
そうして龍之介、健、俊介を引き連れた鈴音は帝都へと戻っていった。
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