表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『キング オブ マスターズ』  作者: 大和大和
~スタートカラーズ・セットアップ~
9/70

第9話 レクチャーとアルスの初バトル




 パックの開封も終わり、三つになったカードの山。

 それを整え終えた俺は、別に取り分けておいたカードを見ていた。


(結構当たったな。ラッキーラッキー)


 初期のパックだから目ぼしいものはない、と思っていただけに。

 予想外の収穫があった俺は、胸がわくわくしていた。

 まさに、わくわくアー……なんでもない。


「どうだった? いいのあった?」

「まあ、そこそこな」


 トントントン、とカードを整えてくれたアルスがそう聞いてきた。

 ウルトラレアもあったし、スーパーレアもちょこちょこ入っていた。

 どちらかと言えば当たりだとは思う。


「さて、そろそろやるか」

「え、やるって何を?」


 おい。

 カードショップに来たせいで本来の目的忘れてるやんけ。


「何ってお前、『キング オブ マスターズ』を教えて欲しいって言ってたじゃん」

「えっ? …………あっ! そうだった!」


 腕を組んで長考したアルスがバッと顔を上げる。

 どうやらしっかりと思い出してくれたらしいようで何よりだ。

 カードの山をどかし、俺のデッキをテーブルの上に出す。

 同じように、ケースからデッキを取り出したアルスもそれをテーブルの上に置いた。


「よーし! 負けないぞー!」

「まずはルール確認からだぞー」

「えっ?」


 最初は少しでもいいからルールの確認をやらなきゃダメだろう。

 ただやる気は十分にあるのでどうにかなりそうな感じはある。


「最初は手札交換(マリガン)からだな」

「マリガンってなに? クロハル君、どういう意味なの?」


 やめろ。

 俺だってマリガンという言葉自体の意味は知らないんだ。

 その質問やったら二度と許さんからな。




 ☆☆☆




「じゃあ、そろそろ大丈夫そうか?」

「うん! もうばっちりだよ!」


 ゲーム前に行う手札交換(マリガン)やバトルゾーンやスペルゾーンなどフィールドの説明。

 それからマナやデッキについて。


 そういった『キング オブ マスターズ』の基本的な部分を説明し終えた俺は、再びテーブルの上にシャッフルをしたデッキを置いた。

 それに倣い、バラバラになっていたカードをデッキにまとめたアルスもそれをシャッフルしてからテーブルの上にセットした。


「次は実際にバトルするからな覚悟はいいか?」

「大丈夫! 僕も覚悟できてるよ!」


 なら遠慮はいらないな。

 お互いにデッキからカードを五枚引き、手っ取り早く手札交換(マリガン)を終える。


「先行はどっちからやろうか」

「僕からやりたい!」

「オッケー。先行はアルスからな」

「やった!」


 先行になったアルスが嬉しそうにはしゃぐ。

 そんな姿を横目に、俺は自分の手札に目を落とした。


(いつものようにベルギアワンキルで決めるか)


 遊びとはいえ、本気で来るなら俺だって本気で答える。

 それがカードゲーマ―というものだ。

 何、先行制圧というものを御存知かって?

 知らない子ですね。


「僕のターン、ドロー! ……はできないから、1マナを使って手札から『ファイヤーボーイ・ゲキ』を召喚するよ!」

「ほお」


 一マナを使い、アルスがバトルゾーンに一体のユニットを出す。

 それは、少年の姿を模した火のユニットだった。


 アルス

 マナ1→0

 手札5→4


 『ファイヤーボーイ・ゲキ』

 コスト1/火属性/アタック1/ライフ1

 【効果】

 『速攻』

 ①このユニットは可能であれば毎ターン攻撃しなければならない。


(すっげ、攻撃的やんけ)

「『速攻』を持ってるからすぐに攻撃できるよ! 僕は『ファイヤーボーイ・ゲキ』でクロハル君に攻撃!」


 『ファイヤーボーイ・ゲキ』

 アタック1


 クロハル

 ライフ20→19


「やるじゃない」


 俺のライフが19になる。


「攻撃が終わったから……うん、ターンエンド!」

「俺のターンだな。ドロー」


 クロハル

 マナ1→1

 手札5→6


 デッキからカードを一枚引き、それを手札に加える。


「まあ、こいつで安定だな。俺は1マナを使って『不等価交換』を発動」


 マナ1→0

 手札6→5


「カードを1枚ドローしてから手札を2枚捨てる」

「うわっ、もう持ってるの!?」

「マリガンしたからな」


 手札5→6→4


 五枚の手札をそのまま交換したからな。

 むしろ欲しいカードを外す確率の方が低いまであるだろう。

 具体的な確率は知らないけどな。


「俺はこれでターンエンドだ」

「よっし、僕のターン、ドロー!」


 アルス

 マナ0→2

 手札4→5


 さて、次はどんな動きをしてくるだろうか。


「えっと、僕は1マナずつ使って『火の拳マサル』と『マグマグスライム』を召喚するよ!」


 マナ2→0

 手札5→3


 『マグマグスライム』

 コスト1/火属性/アタック1/ライフ1

 【効果】

 ①このユニットがバトルする時に発動する。そのターンのエンド時までこのユニットのアタックを+2する。


 『火の拳マサル』

 コスト1/火属性/アタック1/ライフ1

 【効果】

 ①このユニットが攻撃する時に発動する。そのターンのエンド時までこのユニットのアタックを+1する。


「へぇ」


 予想以上に攻撃的だ。

 一気にアルスのバトルゾーンへ三体のユニットが並ぶ。


「召喚したばかりは攻撃できないから……『ファイヤーボーイ・ゲキ』で攻撃だ!」

「おっふ」


 『ファイヤーボーイ・ゲキ』

 アタック1


 クロハル

 ライフ19→18


 どんどん攻撃してくるおかげで、俺のライフが18になった。

 あれ、これは意外とマズイのではないだろうか。

 アルスのターンが終わり、俺のターンが回ってくる。

 デッキからカードをドローし、手札から一枚のカードを取った俺は、焦る気持ちを堪えながらそれをバトルゾーンに出した。


 クロハル

 マナ0→2

 手札4→5


「俺は2マナを使い、手札から『ブラックヴォルフ』を召喚」


 マナ2→0

 手札5→4


 『ブラックヴォルフ』

 コスト2/闇属性/アタック2/ライフ1

 【効果】

 『速攻』

 ①このユニットがバトルゾーンに出た時に発動する。自分のライフに1ダメージ与える。


 クロハル

 ライフ18→17


 まずは『ブラッドヴォルフ』の効果で自分のライフを17に減らす。

 それから俺は攻撃することにした。


「アタックフェイズ。俺は『ブラックヴォルフ』で『火の拳マサル』に攻撃。相打ちだ」

「あぁ! 僕のマサルがぁ!」


 『ブラックヴォルフ』

 アタック2/ライフ1→アタック2/ライフ0


 『火の拳マサル』

 アタック1/ライフ1→アタック1/ライフ0


 ユニットのバトルはお互いのライフにアタック分のダメージが入る。

 『ブラックヴォルフ』と『火の拳マサル』はあっけなくライフが0になり、両者共にドロップゾーンへと送られた。

 少々痛いが、お互いにライフの少ないユニットなので仕方がない。


(これは本気でヤバイかもしれないな。……ちょっと舐めてたわ)


 相手はかなり攻撃に特化した布陣。

 それに対し、俺の使う闇属性は自分のライフを削るようなカードが多い。

 このままでは押し切られる可能性がある。


(何とかアルスの攻撃を捌かないとダメだな)


 アルスはカードの引きも良さそうで、勢いが止まりそうな気配はない。

 先輩プレイヤーとして軽く勝つつもりだったのに、このままでは負ける可能性もありえる。

 思わぬ緊張感に駆られた俺は、心の冷や汗を拭いつつ自分のターンを終了した。


(ただ攻撃するだけじゃあ勝てない。……それを見せてやるよ。アルス!)


 勝負はまだ始まったばかり。

 そう、まだ、始まったばかりなのだ。

 アルスが嬉々としてカードをドローする。

 その姿を見ながら、俺は手札の陰でフッと口角を上げた。




2022/7/30 大幅に色々と修正しました。『火の拳マサル』『マグマグスライム』のテキストを修正しました。


評価や感想、誤字脱字や要望などありましたらよろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ