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『キング オブ マスターズ』  作者: 大和大和
~ニューカラーズ・エントリー~
71/71

第71話 ある日の1日




 あんな出来事があってから、しばらくの時間が過ぎた。


 あれからは特に何も起きなかった。

 なのに気付けば大会まであと一ヶ月を切りそうなところまで来ている。

 この前、新パックが発売されるみたいな話もあったしな。

 いやー、時間の流れは早いもんだなやっぱ。


 基本的に今の生活はアルスやメリルと特訓という名目でバトルをやりまくっている。

 大会が近づいた影響なのか、最近はやる気がムンムンしているらしい。

 あとは生活費を少ない資産で頑張ってやりくりしている、くらいかな。

 最悪の場合はバトルで荒稼ぎすれば良いわけだし。


 ……今さらだけど、カードゲームの実力さえあれば好き放題できるってヤバすぎるだろこの世界。

 無法もいいところである。

 カードは命よりも重い。


「おっ、これいいっすねぇ」


 俺が手に取ったのは青色の小さなケース。

 何を入れるケースなのかって?そりゃあ当然、カードでしょ。


 そう。俺が今いるのはカードショップ……じゃなくてアクセサリーショップなのだ。


 俺自身はそんなにアクセサリーとかこだわるタイプじゃない。

 けど、たまには凝っても良くね?ってことで珍しく物色していたというわけだ。


「スリーブとかもあるかな」


 実は俺はあんまり紙のカードを触ったことがない。

 というのも『キンマス』はカードゲームだが DCG。

 つまりは紙のゲームじゃなくてデジタルのゲームなのだ。

 他のカードゲームもちょこちょこと遊んだことはあるけど結局はそこ止まり。

 紙を使うようなカードゲームにはあまり触っていなかったのだ。


 だがしかし!


 俺だってカードゲーマーの端くれ。

 スリーブだのケースだのといった知識はそこそこ持っている。

 それにこの世界ではデジタル要素はあれど全部が紙のカード。


 要するにだ。

 俺はカードにスリーブ付けたりするのに憧れてました。はい。


「三重スリーブとかやってみてー。やっぱバリ硬くなったりするんかな?」


 むひょー、夢が広がリングだぜ。


「楽しそうだね」

「そりゃあな。だってこういうのとか使ったことないし」

「へぇ。あんまりそういうの気にしないタイプだと思ってたんだけど」

「たまにはいいかなって思っ……たり……」


 待って。

 普通に会話しちゃったけど誰だよ。

 聞き覚えの声ではあるんだけど。

 そう思って俺は声のした方に振り向いた。


「やっ」

「なんでおんねん……」


 声の正体は他でもない。

 シーラその人だった。

 気さくに手を上げる仕草はムカっとするくらいには様になっていた。


「なんでここにいんの」

「ここ、パパの系列の店だからちょくちょく覗いてるんだよね」

「ファッ!?」


 それマジで言ってる?

 系列ってことは他にもお店があるってこと?

 それ、一体どこのブルジョアジー?


「マジで?」

「うん。嘘をつく必要なんてないでしょ」

「それはそうだけど……」



 今までの付き合いから薄々と金持ちそうだなー、とは思ってた。

 けどマジか。

 金持ちな上に美少女とかどんだけだよ。


 しかし、なんだろうな。

 さっきから変な胸騒ぎがする。


「まあ、今日はクロハルのことを探してたのもあるかな」

「俺を?」

「うん」


 なんだ、この雲行きが怪しい感じ。


「実はなんだけど……」




「見つけたぞ僕のフィアンセ!!」

「は?」




 大きな声での第一声。

 突如として静かだったはずの店内に現れたのは一人の男だった。

 金髪のオールバックに白いスーツのような一張羅。

 背が俺よりも高いところを見るに年上だろうか。


 けど、俺の知らない人だ。

 全く知らない人だ。

 そんな人が俺の方に向かってズンズンとやってくる。


「なあ、こっちに来てんだけど」

「来ちゃったかぁ」

「知ってる人?」

「知ってるには知ってるんだけど」

「ようやく追い付いたぞ! さあ、今日こそは僕とバトルをしてもらうよフィアンセ!!」

「うへぇ」



 うへぇ、って言ったかコイツ?

 でも残念なことに男はこっちに来てしまった。

 金髪のイケメンロールバックと金髪美少女が向き合う。

 ただ、シーラが俺の後ろに立ったせいで間に俺が挟まる形になってしまった。


 やめてよ。

 これじゃあ俺が関係者みたいじゃないか。

 俺は部外者なんだから巻き込まないで欲しいでござる。


「バトルはまた今度って言ったかな」

「この前もそう言っていたじゃないか! 今日こそ! 今日こそはバトルをしてもらう よ!」

「ま、また今度で……」


 おお、珍しい。

 あのシーラがタジタジだ。

 そう思ってジーッと見てたら金髪イケメンがキッと俺を睨んできた。


「ところで君は一体誰だね」

「えっと……」

「彼は私のフィアンセだよ」

「「はっ?」」


 何言ってだおめえ。

 ってイケメンと声が被ってしまった。

 いやそんなことはどうでもいい。

 マジで何言ってんの!?

 訴え掛けるようにシーラに目を向ける。

 美少女はそっと俺から目を逸らした。

 こ、こいつ……!


「聞き捨てならないね。彼がフィアンセだって? こんな庶民っぽい奴が? 僕はそんな話を聞いたことがないぞ」

「だろうね。最近決まったことだから」

「……」


 待って。

 お願いだから待って。

 勝手に話を進めないで。

 俺を置いてかないで。

 イケメンがこっち睨んでるじゃん!

 俺が一体何をしたっていうんだよ!


(あ~嫌な予感がする~)


 まあ、案の定というか何というか。

 俺を睨みながらイケメンがおもむろにデッキを出し始めた。

 こうなるのか……こうなるよなぁ。


「僕は君のことを認めない! さあ! 僕とバトルをして白黒付けようじゃないか!」

「えー……」


 嫌だなー、と思いながらデッキを出そうとした俺はふと思った。


 よくよく考えたらさ。





 これ、別に負けても良くね?





「クロハル」

「なにさ」

「君が勝ったら今度発売される新パックを箱で買ってあげるよ。四つがいい? それとも五つかな? あー、もしかして六つ」

「任せろ。ぶっ飛ばしてやる」


 よっしゃ!勝てばいいんだな!

 なんか上手く乗せられたような気がしないでもないけどそんなの関係ねぇ!

 任セロリ!

 意気揚々とデッキを出して準備はオッケー。

 俺は金髪イケメンを睨みつけると、


「おい、バトルしろよ」


 立てた親指をクイッとバトルスペースに向けた。

投稿が空いてしまいました。

すまぬ……すまぬ……!

これからも不定期ではありますが続きます。


評価や感想、誤字脱字や要望などありましたらよろしくお願いします!

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