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噛みしめて群青

作者: だだっこ番長

だだっこ番長 処女作です。よろしくお願いします。

地響きが響きわたる


ゴゴゴゴゴゴゴ。。。


というより


ドタバタドタバタ。。。


この街を初めて訪れた人はこの地響きに驚き、平衡感覚を失って尻餅を付く。初めての「お尻スタンプ」を地面に押すことがこの街の入館証だ。

街ゆく人々は地響きを諸共せず、平然と歩いている。その歩き姿たるや歴戦の勇者のごとく。眉間にはしわが寄り、目からは血が流れ、唇から血が垂れている。顔の施された血化粧がこの街の険しさを物語っていると言える。勇者の横には苦労もしたことがない如何にも楽をして生きてきましたという顔をしたクズが宝石箱のような箱や袋を持って楽しそうにしている。クズの持ち物は神々しさを放っている。皆その宝物を求めてこの街を訪れるのだ。


「アレカッテ」


商業都市として栄えており、主要な産業はお菓子や低年齢層向けの玩具である。小さい子供から大きなお友達まで幅広く人気があり、休日と給料日に行きたいNo.1の街として1000年の歴史を持つ。市長であるゴミカッスー38世は民主主義のこの社会でゴミカッスー1世からずっと市長に当選を果たしているカリスマである。国家予算の45%はアレカッテの税金でまかなわれており、総理大臣よりアレカッテ市長の方が使える予算が多いとも言われている。ゴミカッスー家は「ゴミ」「カス」と蔑まれ、常に命を狙われているが、ものともせずに虫けらを見るように行政を行っている。人を虫けらのように扱うもののアレカッテ産は世界最高峰の品質を誇っておりブラック企業が未だになくならない理由となって問題視されている。しかし、そんなことはアレカッテ産の品質に比べれば些細なことである。


歩いていれば、そこらじゅうで小さい子供から大きなお友達までわき目を降らずに大声をあげ地面を這いずり回っている。


「あのベルサイユ28号かって~。ギャース!」

「さっきオスカル25号ブレード買ってあげたでしょう!早く立ちなさい!みんな見ているでしょ恥ずかしい」

「ぎゃーす!あっちの大きいおじちゃんだってやっているから辞めないもん。かってー」


「レトロポン44型マグナム買って欲しいでござるよー。」

「えっ!こんな値段なの、アフター何回行かなくちゃいけないと思っているのよ!」

「365回くらいアフター行けば簡単に無料でかえるでござるよー。おいしい冷凍餃子毎日レンチンしてまってあげるでござるよー」

「やさしい~。もう買ってあげちゃう」

「やったでござる~。好き好きちょろりん」

「もーちょろりんって言わないっ!メっ!」


「ちょっとそこのムチムチ女ちょろりん!あんたがそんなことだからうちの子供があきらめないのよ!」

「ちょろりんって何よ!地味主婦BBAあんたには関係ないでしょう。」

「だれが地味主婦よ!キー!BBAぱーんち」

「BBAはみとめるんかーい!」


「うちのBBAがゴメンね」

「いやいや。小童こわっぱ、財布には優しくしてあげるでござるよ。」

「わかったよ。ござる。ござるは頭いいなぁ」

「大きいお友達を続けるには地頭が必要でござるからなぁ。はっはっは」


地面にはだだをコネるゴミ虫が暴れ周り、お財布達はそこら中で胸ぐらを掴みどったんばったんの大騒ぎ。


これが地響きの震源地。


ここは欲望と絶望の都市「アレカッテ」


「アレカッテ」へようこそ


--------------------------------------


まちゆく人々を今日も青い瞳がショウケースから見つめている。


我が輩は痴話喧嘩を見るのが大好きである。


BBAの右ストレートが綺麗に入り、ムチムチのエロい身体の女が720度錐揉みを加えながら宙を舞う。芸術点 9.0の高得点を叩き出すほどの美しい曲線とエロい肉体美である。今日も空が青い。晴天である。


我が輩は先ほどだだをコネていた小童がほしがっていたベルサイユ28号である。


ベルサイユシリーズは型番108号が最後であり、煩悩の数だけベルサイユ人形は作られているのである。この欲望が渦巻く都市にはふさわしい設定である。

人気があるのは77号とか99号あたりの数字がかっこいい・演技がいい番号である。我が輩の28号は素数でもなければ、売れ始めたころで量産した結果売れ残ってしまい、中古でも値が付かないのでお店が処理に困っている売れ残り品である。


しかし、腐ってもアレカッテ産の最高品質。自慢の瞳には高級な藍銅鉱らんどうこうがはめられており。


「空の青より澄んでおり、海の青より深い」


青において至上とされていた。


しかし、47号が28号より青の評価が高くなってしまい、青と言ったら47号という評価になってしまい。ここ250年ほどショウケースから街の様子をみる日々が続いている。


おっと!ムチムチ女が縦回転を720度入れて、綺麗に着地した。芸術点 9.5に付け替えなければならない。


近年希にみる痴話喧嘩である。回想に浸っている場合ではない。


しかし、小童が我が輩を欲しいといってくれた時は124年と10ヶ月9日4時間3分20秒以来ときめいてしまったのである。

腐っても玩具として生まれた身。持ち主である子供に遊んでもらうこと以上にうれしいことは無いのである。痴話喧嘩を見るのは好きではあるが、やはり観客であってプレイヤーにはなることが出来ない。玩具として生まれたからにはプレイヤーでありたいものである。


あぁ、小童よ。BBAを説き伏せて我が輩を手中に収めて遊んではくれないものか。

ござる。もっとBBAを説き伏せる魔法の言葉を小童に教えるのである。

しかしすごいなあのムチムチ女。走る毎に胸からソニックブームがBBAに襲いかかっているではないか。BBAは風圧にはものともしていないが、精神的にツラそうである。


さすがアレカッテに踏み込みし財布たちのバトルである。観客でいるのも捨て難い。


BBAの地を這う拳から天空に突き上げるあの軌道はまさか!


「地を這う拳から天空に突き上げるアッパー」


BBAよ。「そのまんま拳」の継承者か。

先ほどの芸術点の高さも伺えるものである。東の大陸の覇者が使っていたと言われるあの武術をこの目で見ることが出来るとは。ショウケースに居続けるのも悪くないと思ってしまうのである。


イカンイカン。


「BBAのそのゴツゴツした手って、みんなは怖いって言うけど、僕を守ってくれる優しい手で僕は好きだな。」


ナイスであるござる!小童のほめスキルをこんな短期間で引き上げるとは!

BBAが頬を赤く染めているぞ。もう一息だ。


ござるよ。サムズアップで気持ち悪い顔でしてやった感をこちらにむけてくるな。である。


また綺麗な縦回転をしてムチムチ女が天を舞っているのである。美しい青いキャンパスに赤い絵の具が綺麗な円を描いている。7色の虹がかかり、我が輩の瞳に色彩を加えている。


今日はなんと心が躍る日であろうか。


この空間では誰しもが心をトキメかしている。


おっと!ムチムチ女がツラそうである。これはBBAが圧倒的に有利な展開ではないか。さすが伝説の覇者の拳。しかし、あの胸のソニックブームを下に向けることで空中を浮くことが出来るとは。


「ちょろりん。負けるなでござる!レンチンとご飯を研いで炊いてあげるから。負けないででござるよー!」


「ござる好きピ」


おい!ちょろりん。それでいいのであるか!?


そして、ムチムチ女よ。ちょろりんという名ではないのであろう!?


ござるよ。お主とんでもない財布の持ち主であるな。

250年の月日でこんな逸材を率いてこの街を訪れる勇者がいるとは。長くショウケースにいるものである。


ちょろりんコールがいつの間にかに起きているではないか。

官軍びいきとはいつの戦いでも起こるのであるなぁ。


しかし、声援を受けてちょろりんにオーラのようなものが見えてくるのである。


「ありがとーみんなー。今日はちょろりんのために来てくれてありがとー」


いや。今日初めてあったばかりのもの達であろう。


偶像崇拝アイドル!」


何を言い出しているのだござるよ。


「ちょろりんはあまりのちょろさ故に声援を浴びていると世界の中心はワタシのものと錯覚する自己暗示をかけることによって絶大なパワーを得ることが出来るのでござる。ぜぇはぁ」


1文が長すぎて息切れしているではないか。解説ありがとう。


これは勝敗がわからなくなってきた。


「二人ともやめて!僕のために争わないで!」


「My Son」「小童こわっぱ君」


「僕がこんな売れ残りのベルサイユ28号なんて欲しがるから二人が争うことになったんだよね。僕がこんな人形欲しがらなければ二人は傷つけあうことなんか無かった。だったら、僕はこんな人形いらない!だから二人とももう辞めてよ!」


おいおい、小童よ。今更ではないか。

それにこんな人形とか、売れ残りとかひどいではないか。


「My Son。。。大きくなりやがったわね。グスん」

「BBAごめんね。僕BBAみたいに強くなるよ。」

「わかったわ。帰ったら継承の儀を始めましょうね。」


「あーあ。小童がいっちょ前の漢と書いてオトコって顔しているから飽きちゃった。」

「ちょろりん!はいっ!ソコで配っていたティッシュで血を吹いて上げるでござる。」

「もー。優しいんだからー。ござる好きピ」


おいおい!いい感じにまとめるなである。

あぁ、ギャラリーが解散していくのである。

テヘペロではないであろう。ござるよ。


くっ!さすが我が輩が認めたほどの勇者クズである。上げて落としてくるとは。


一番ダメージを受けたのは我が輩だったのである。悔しいのである。


しかし、このショーケースからみる街はおもしろいのである。


あぁ、今日も空が青いのである。


ー 完 ー

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