知らぬ記述と無き力
「なんなんだ...これは」
そう呟いてしまった、職業が...俺だけ違う。
これは他の奴らが嘘をついているのか、
俺の表記がバグってるのかがわからんが、
圧倒的に嫌な予感がする。こんな序盤で周りから浮くわけにはいかない!
「おい、顔色悪くして大丈夫か?」
「いやぁなんだ、その3本線ってのがどこかわからなくってな。」
「たしかに見切れてるもんなぁ、右下の方に視界を持っていってみたらあるはずだぜ。」
「あったあった、ありがとう。確か名前は...」
「雷基だ、よろしく。」
「あぁ、よろしくな。それじゃあ改めて、俺の名前は如月 文也、職業はみんなと同じ勇者だ、そしてアビリティはソウルイーター、大学一年生だ、これからよろしくお願いする、陛下、そしてみんな。」
俺がアビリティを話した瞬間、俺の仲間達以外の俺を見る目が変わった気がする。
驚き、戸惑い、焦り?騒がしいな、上の方が。
「まぁなんだ、いきなりそなた達も召喚されて驚きを隠せんだろう、今日は休み、明日から冒険に出てほしい...と、なぜ召喚したかの理由の説明がまだだったな。」
つまるところ魔物の襲来による被害が甚大で深刻な状況の中、それをどうにかできるとされる勇者の力がいるとのことだ。
そしてなによりも報酬の件は自らの世界にあるもので、こっちの世界に存在するものなら幾つかは持っていけるらしい。
これで俺もバイトに勉強と忙しい日々が少しはマシになるわけだ。
そして魔物の襲来の間隔はどうにも分からんらしいが兆しはあるとのこと。
魔物の活性化、異常気象の多発、不漁、その他etc、どうにも少々めんどくさそうだ。
仲間は用意しておいてくれるらしい。
そして俺たちの部屋は...
「「「「「「ひっろおおおおぉぉぉい!!」」」」」」
すごく広かった。
「ベットがフカフカだよ!」
「これはすごいですね...流石、勇者といったところでしょうか、待遇がいいですね。」
「これってバナナだよな?こっちの世界のはうまいの
かねぇ?」
どいつもこいつもはしゃいでるがそんなにいいものなのかねぇ...俺にはそう言うのは良くわからな...
「なんだこれ...」
こんなのに毎日寝れる生活とか羨ましすぎておかしくなりそうなぐらいに気持ちがいい、眠気が...やばい...寝よう、そうしよう
「皆さん、聞きたいんですが、日本というものは同じでも別世界の日本から来たということはないのでしょうか?」
隼人とかいうやつのせいで安眠が邪魔されたがたしかにそうだ、もしかしたら連携に関わるかもしれん。
「確かにそうだ、一度確認してみよう。」
そこでわかったことがある。
「一番目に来たお前と俺が同じ日本、そして後の4人が別の同じ日本からってことか」
「常識的な知識すらもが異なっていた、
連携は十分な話し合いが必要だろう。」
この翔也とかいうやつ、すごい頭良さそう、全部こいつに任せよっかな。
「なぁ君、如月...といったか、同じ日本から来たモノ同士、少し話をしないか?」
いったいどういうことなのだろう、まさか俺の職業が別のことがバレたのか、あとはなんだ、思い当たる節がない...焦るな、落ち着け、
「大丈夫だ、なにもしない。この世界の救世主として俺は誓う」
なんだって...俺と、同じ⁉︎
となると少数派がそれに該当するわけか、
となれば断る意味はない
「わかった、積もる話もあるだろうしな。」
そしてよくわからん場所にきた、こいつもあまり分かってない、意外と抜けているのか?
「単刀直入に言う。俺はこいつらを信用どころか頼る気なんざ微塵もない。」
こいつから出た言葉には耳を疑った、だがそれも当然のことだって思う。
なんせよそ者なわけだ、俺たちを騙そうとしてる輩もいるかも知れん。
「そんなわけであんたにこれを託す、
もしも何かあればそれを地面に埋めて踏んだら起動し、その地点に俺がテレポートする。俺がなにをしててもな、寝てても食事中でも戦闘中でも、なんでこれを渡すかって、俺とあんたは少数派、そして職業も違う、なによりあんたのアビリティを行った後の様子がおかしい、何かある。過去にここでなにかが起きた。ソウルイーターというアビリティを持った者による裏切りか、反逆か、わからんがとにかく何かあったが、俺はお前を信じる。
今お前に渡した弾丸には、俺のテレポートとお前の思惑の奥底を見るための能力を付与した俺特製の弾丸だ。それで確認させてもらった。」
こいつの話は長かった、それでも十分実のある話だ。仲間が得れるのはありがたい
「文也でいいよ、あんたが呼びたくないってんならいいけど。」
「そうか、なら俺も翔也と呼んでくれ。よろしくな、文也」
「あぁ、よろしく。翔也」
この日はぐっすり眠れた。不安なんかはきっと、誰かといれるっていう安心感で消えたんだろう。そして今日から始まる、俺の、異世界での物語が...!
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面白い話だ、まさか仲間…予定の人が決めに来るなんてな。なんていうか…どうなんだろうな、俺のところに来られてもどうしようとない気もする…が、それ故に誰かに来て欲しいところもある。どっちかというと人がいないなら誰かにやってもらうしか無い……ああ、クソ。
「で、これはどうなってんだ一体...」
「俺たちの仲間がいないじゃないか!」
「一応俺には二人いるぞ、いいのか俺なんかについてきて」
翔也の仲間は話をしているみたいだ、でも俺には一人もいないっておかしくないか!?
「すまないが...翔也、文也共に職業に偽りがあったという噂があたりで流れている。
そのうえでの君のアビリティソウルイーターという恐ろしい能力を持ち、我々は貴様を要注意人物として見ている、それゆえに貴様にはわしの娘であるリージェント=ラルカを監視役として置かせていただく。拒否権はない」
まぁ、そりゃあそうか。職業も違う、世界も違う。警戒するのも当然だ。
「よろしくお願いします、私の名前はラルカです」
正直侮っていたが、とても綺麗でお淑やかでどんな人にでも優しく接するモテるタイプの人だろう。
そんな人が俺の監視役の為に来てくれたんだ、極力頑張って不便はさせないようにしたい。
「よろしく、如月だ。せっかくきてくれたんだ、不便はさせないように努力するよ。」
「では、銀貨を受け取り、レベルを上げに行き、我々の国を救ってくれ」
そうして次々と扉を通り、門を出て外に出る。だが俺はまず武器と防具を揃えないとな...
「なぁラルカ、俺はアビリティによる使用武器の予想ができないってことが理由に武器の支給がなかったんだ。だからいい店とかあれば教えてほしい。それと...服もどうにかしないとなぁ。」
「わかりました勇者様、知る人ぞ知る穴場に行っていましょう!」
そうしてついていってる真っ最中なんだがどうしてそんなところ知ってるんだろうか...まぁ王族だもんな、把握してて当然か。
「つきました、ここがそのお店です!」
ここが、俺達の始発駅...まんま武器屋!って感じの場所だな。
「失礼します...どなたかいらっしゃいますかー...」
思ったよりも、いや予想の数倍、俺は人と関わりを持つのが苦手になっているらしい。
「いらっしゃいますか!?おやっさんは!」
「おいおい、少しは遠慮ってもんを...」
「別に遠慮なんかいらないぜ、お嬢ちゃんに...それと見たことのねぇ顔のにいちゃんは新しい勇者様かい?」
「あぁ、そうだ...如月 文也って名だ、よろしく。」
「おう、んでそちらの嬢ちゃんは恋人かい?」
「そんなわけないじゃないですかぁ!もう!」
「そりゃそうだ!でだ、なにが欲しい!」
少々期待したが、やはりダメだったか。
「俺は自分の使えるであろう武器がわからないんだ。アビリティがアビリティなだけあり、どう使うかすらもわからないんだ」
「なるほどねぇ、なんの職業でも均等にに扱える短剣なんかどうだ。どれぐらいの資金がある」
「確か俺たち仲間の少ない勇者たちは銀貨五百枚、仲間の多い奴らは銀貨二百枚だったよな?ラルカ」
「えぇ、ですので二百枚ぐらいで見立てて貰えばいいかと。」
「と、いうらしいから二百枚で頼む。」
「おう、ならばここはこの魔法鉄で作り上げた短剣なんかどうだ、なかなかに軽いぜ。
力が4以上なら持つことができるうえに火力も申し分ない、本来は四百枚だが負けといてやるから今後とも贔屓にしてくれよ。」
「ありがとな。ところでその力ってなんなんだ?」
「知らないのか?ステータスって書いてる欄があるだろ、それに意識を集中して押してみろ。」
「これか...んーっとこのステータスはどうなんだ...どうやって人に見せれる?」
「範囲指定をして、それを上に飛ばしてみな」
「こうか?これで見れるようになったか?」
「あぁ...な、なんなんだこのステータスは!?」
「これは...いままでこんな勇者様、聞いたことありません!」
「この世界じゃどんなへっぽこでも男の力は11はあるもんだぞ...女であったとしても、7はある!それなのにお前のその力は...それじゃあお前さん、体力や攻撃力も必然的に...」
俺はこの世界に詳しくはない、だからこのステータスが高いのか低いかもわからない。
でも一つわかることは、俺のステータスは
おかしいってことだ。
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ステータス欄
・力---5
・精神---6
・柔軟---3
・知恵---7
・その他---13
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