第二十四話 陽炎神
「何…死んでんだよ…」
そこには翼は無く牙や爪もない見るに耐えない姿で横たわるルザがいた。
「誰だよ…こんな事した奴は…」
「人間です」
「人間…?」
「はい…ルザさんが魔族と戦っているところこの街に滞在していた冒険者が金儲け目当てで……」
俺の中で何が切れた音がした。
「ヴ…ヴェル様!オーラを抑えて下さい!」
「どこのどいつだ?ルザを殺したのは」
「分かりません…」
俺は怒りで今にも爆発しそうだった。人化を解いて龍の姿でありったけの魔力を込めて咆哮した。
「グウォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ」
この咆哮でこの街にいる生物全てが気を失っていた。
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「ここは…?」
「翔君!久しぶり!」
「ユヅキ様久しぶりです」
「もうっ!お嫁さんになったんだから呼び捨にしてって言ったでしょ!」
「すみません」
「何故俺を呼んだんだ?」
「ルザちゃんの事でね」
「っ!」
「ちょっとちょっとそんなに殺気立たなくてもいいじゃない」
「ルザちゃんは生きてるよ」
「え?」
「生きてるっていうか神様になったの」
「神様に?」
「うん、ルザちゃんおいで」
「主人殿、心配かけたな」
「っ!ルザ!」
俺はルザに抱きついた。
「主人殿、そんなにくっつくな」
「むー嫁の前で他の女とイチャイチャしないでよ!」
「どうして神様になったんだ?」
「主人殿を見守りたいと強く願ったら、神様にしてくれたのじゃ」
「してくれた?ってことはユヅキか?」
「いやいや、私は転生を司る神だよ?そんな事は出来ないよ」
「じゃあ創造神か?」
「多分そうだと思う」
「ルザはどんな神様なんだ?」
「陽炎神じゃ」
「アマテラスか、ルザにぴったりだな」
「これでルザも俺達の仲間入りだな」
「って言っても神らしい仕事してないけど」
「ルザにも会えた事だし俺はここら辺でお暇させてもらうよ」
「主人殿、元気でな」
「バイバイ!あ・な・た」
「うっ」
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「はっ!」
「ヴェル様!」
「ご無事でしたか」
「あぁ、それよりもルザは生きていたぞ」
「…?それはどういう事でしょうか?」
「陽炎神になってたよ」
「っ!そうでしたか!それは良かった!」
「みんなのステータスにも俺の加護のほかに陽炎神の加護も着いてるはずだ」
「本当ですね」
「とても暖かいです」
「そうか」
「と、呑気に話している場合じゃねぇな」
「みんなを集めてきてくれ」
「御意」
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「よし、みんな集まったな」
「会議を始める」
「まず、ルザを殺した冒険者だが、身元が分かり次第殺す」
「異議のある奴はいるか?」
「…」
「いないな」
「次ば魔族についてだが、近頃人間とも戦争するらしいから、その時に根絶やしにしてやる」
「僕たち暴れちゃっていいの?」
「あぁ、好き放題やってくれていい」
「やったぁー」
「リヴィの戦闘狂っぷりは相変わらずですね」
「む、ロードだって同じじゃないか」
「否定はしませんが、貴方よりはマシです」
「むむむむむむむむ!」
「そこらへんにしとけよ」
「「申し訳ございません」」
「開戦しだい、俺達の全戦力を持って魔族を滅ぼす、いいな?」
「「「「「「御意」」」」」」




