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彼女より近い君

作者: 蛍さん


彼女といる時も、一番近いのは君だ。


友達といる時も、家族といる時も。


離れている時は、いつも君のことが頭に浮かぶ。

でも、頭の固い大人以外そのことを咎めないし、多分、大多数の人がそうだろう。


君はとっても完璧で、他の事を放り出してしまうほど魅力的だから。


でも、「一番大切なのは?」って聞かれたとしたら、僕は君を選ばない。


選ぶとしたら…そうだな、家族か、親友か、恋人か。


沢山選択肢があって選べないかも知れない。

それでも、君は選択肢にも入ってないだろう。


なら、なんで君ばっかり僕は見てるのだろうか。


その答えを、きっと誰もが知っているのだろうけど。





君は、とっても物知りだ。


いつも僕が知らないことを教えてくれる。


僕が興味あることも勿論だし、知りたかったことだって聞いたら答えてくれる。

政治とかに疎い僕に、最新のニュースとか最新の情報も教えてくれるし、身の回りの些細なこともそれとなく教えてくれたり。


いつも助けられているけど、やっぱり君の言うこと全てが正解ってわけじゃないよね。


僕だって、信じ込んでいたものが実は違ったり、それを人に自慢げに教えてしまったり。


鵜呑みにしちゃだめだとは思ってるんだけど、ちょっと難しいこともあるよね。



そういえば、僕は君に何にも教えてない気がするな。


君と出会って最初の時に、ちょっとだけ僕の事とか教えたけれど、それっきりな気もするね。


でも多分、君は僕の事を沢山知っているんだろうね。


だって僕は、君を通じて沢山の話をしたから。


これも君の魅力の一つかな。


友達とか、家族とか、勿論彼女にも。

君は、僕の声が届かない時に、僕の言葉を代わりに伝えてくれる。


だから僕は、次のデートの約束とか、お休みの言葉とか、帰ってくる時間とか、いろんな話を君を通して話した。


君を通じてだからこその失敗とか、恥ずかしい思い出も、君はきっと覚えているんだと思う。



後、君は沢山の人を僕に紹介してくれるね。


趣味が合う人とか、同じ学校の人とか。


君は顔が広いから、僕の知らない人も紹介してくれる。


その人と、君を通して話したりすることは楽しいし、新しい人と仲良くなれることは嬉しい。

だけど、君から伝えられるその人の事だけじゃ、実際会ってみた時に少し違う風に感じてしまったりして、少し怖いな。


だから、君の善意をうまく受け取れるように、僕も君のことを知らなくちゃいけない。

難しいけどね。



後はそうだな、君は沢山の娯楽をくれるね。


ゲームとか、他の人がしてることを教えてくれたり。


これが君を手放せない理由でもあるね。


リラックス出来て、何にも考えなくていい空間を作ってくれるから。


そういう時に、君が彼女の言葉を伝えてきたりすると、めんどくさくなってスルーしてしまったり。


そうすると、彼女はいつも怒って、それにまたちょっと苛立って、でも、最後は仲直り出来る。


仲直り出来るけど、君を通じてじゃ、きっと出来ない。


君を通じてじゃ、彼女の思ってることが正確には分からないから。



君はとっても素晴らしい。


でもね、少し顔を上げた時に見える木の温かさとか、彼女が食器を重ねるときの音とか、カーテンが揺れる寂しさみたいな。


君の書く文字の可愛らしさとか、笑った時の目尻の柔らかさとか、少し弾んだ声の調子みたいな。

君からちょっと目を離した景色は、君より、ほんのちょっとだけ、綺麗なんだ。


それだけ打ち込んで、スマートフォンを机の上に裏返した。


彼女をまっすぐ見て、ありがとうって言うために。







許して欲しいです。

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